赤谷山

        2269m (富山)
AKATANYAMA

2008年6月15日 晴れ

14日自宅20:30〜木之本(北陸道)立山〜15日馬場島ブナクラ谷P1:00(車中泊)

15日P5:00発〜(ブナクラ谷)〜ブナクラ乗越(ブナクラ峠)7:30〜赤谷山(10:10〜11:10)〜(ブナクラ谷)〜P14:45〜馬場島青少年旅行村(入浴)16:00〜自宅20:30

14日。馬場島から早月川沿いの道をブナクラ谷駐車場へ。車が一台。空を見上げれば満天の星。明日は晴れそうだ。

15日。登山口は堰堤の階段から。傍に毛勝三山猫又岳への登山口もある。ブナクラ谷や谷沿いの道を行く。この辺りは地質が肥沃らしく植物が大きい。

芽吹き始めた谷には木々の新芽。フキノトウ、コバイケイソウの新芽も。
雪どけ跡には花が咲き始めている。ニリンソウ、カタクリ、シラネアオイなどの蕾。春から夏の花が一斉に咲くようだ。
谷にはスプーンカット状の残雪が現れる。雪渓の表面は凍っている。蹴りこんでも崩れない雪なので慎重に一歩ずつ。
冷蔵庫に入ったような冷気が雪渓表面を流れる。寒くてカッパ上衣を着る。凍えて足の指の感覚がなくなった。
足元に雪があるのに、新緑の林からは鈴鹿と同じようにホトトギスやカッコウの声が聞こえる。


振り返ると青空に白き峰。大日岳と奥大日岳らしい。その手前の白い尾根は早月尾根かな?さらに赤谷尾根も目に入る。
ガラガラした岩場に出た。剣が見えた!手前丸い山頂が今から行く赤谷山らしい。猫又への尾根には新緑にごつごつした岩峰。
この岩場で一休み。足指をマッサージするとやっと感覚が戻った。いつも急激な気温の変化に即対応できない私。まったく困ったもんだ・・・。

ブナクラ乗越。
ブナクラ峠と猫又山、赤谷山の看板がある。そのまま乗り越して雪渓に進むと前方に白き峰々。何処だろう?この時は分からなかった・・・。
右に折れ稜線を歩きはじめる。大きく張り出した雪渓を歩かなければならないので滑落に備えアイゼンをつける。夏道は消えて雪の下になっている。時々現れるが道がどこかよくわからない。背後には大きく新緑と残雪の山、毛勝三山。

山桜、ムラサキヤシオツツジ?イワカガミ、ツマトリソウなど、足元は花いっぱいで楽しい稜線歩き。
息が上がって・・・。ただ喘ぎながら進む。林に入って數こぎも。この辺りにも山桜が咲いている。さらに急登は続く。


巨大雪渓が現れた。垂直とも思える雪壁を上るようだ。「一歩間違えば滑落するよ。」と思いながら慎重に進む。確実にピッケルを刺して一歩。次の一歩と・・・。
ヘッピリ腰で時々滑りながら無事難所を越え、胸を撫で下ろす。「ホッ・・・。」


そんな雪渓をいくつも越える。急斜面を登りきると平らな雪原が広がり、その先に突然剣が現れた!「わあーい。」と思わず大声を上げ駆け出した。

赤谷山。
登山口から約五時間。標高差1000m以上。赤谷山山頂だ。標識も何もない。広く平らな雪渓台地だ。先端の岩に乗ると目の前にどーんと剣岳。右に大日岳、奥大日岳、白山も。
剣手前には恐竜の背のような険しい岩山の北方稜線。白萩山や池の平山など・・・。ここから先には道がないそうだ。數こぎの岩歩き?やはり剣への道は険しい。



その左に双耳の山が・・・。鹿島槍!そうすると丸いのは五竜?唐松、不帰の剣、天狗ののぼり?白馬三山。先ほど乗越で見えた山は後立山連峰だったとここでやっと気づく。
蒼い峰に残雪が美しい。大きく迫る毛勝三山も魅力的。

足が冷えて困った雪渓も、急登の苦しさもどこかに吹き飛んだ。それは剣岳に会う為の序章にすぎなかったのだ。
爽やかな風、たっぷりの雪と蒼い峰々、そして柔らかい陽射しに包まれ360度のパノラマを独り占めできて幸せ。これ以上何もいらない。
残雪の剣岳に魅せられ心奪われる至福のひととき。熱い紅茶が体の隅々までしみわたる・・・。



剱岳に釘付けになって一時間!山での楽しい時はあっという間。「山の神様ありがとうございました。」天候に恵まれ剣岳に会えたことに深く感謝して赤谷山山頂を後にする。

急登の雪渓を降るのが心配・・・。踵を入れたり、はの字にしたり、ジグザグなどで降る。雪は朝より緩んできたので歩きやすい。雪面の照り返しがきついのでバンダナをしっかり顔に巻いて雪焼けを防ぐ。




雪渓と新緑を背に咲く躑躅やオオカメノキの花が可憐。
赤谷山Uにつづく。

         トップメニューへ
inserted by FC2 system