赤岳・阿弥陀岳
   2899m  2805m
(長野)

AMIDADAKE

2006年5月4日 快晴


硫黄岳からの続き。

鉱泉テント5:10〜硫黄岳7:00〜横岳8:30〜天望荘(10:20〜10:35)〜赤岳11:00〜阿弥陀岳(12:20〜12:40)〜中岳沢分岐12:50〜(中岳沢)〜文三郎中岳分岐13:05〜行者小屋〜中山乗越13:30〜テント13:50

天望荘。
ここで小休止。今日もパトロール中の長野県警の方々に会う。阿弥陀岳への登りの注意点などを聞く。パン、熱いお茶で軽く食事。
小屋から赤岳山頂へ。
昨日は下ったが今日は登る。こんな急登では途中で止まると動けなくなるから一気に行く。わずか25分で山頂。360度の展望。今日も空が蒼い。M田さん夫妻の笑顔が素敵だ。


中岳への下り。
鎖場でザイルにつながれた四人。ぴんと張っていないのでアイゼンをひっかけて転びそうになった。見ているととても危なっかしい。我々は横から雪斜面を駆け下り「お先に失礼する。」
アイゼンをはずし中岳へ向う。しばらくするとやせ尾根で雪庇ができている。雪が融けて滑りやすく歩きにくい。中岳手前で再びアイゼンをつける。
中岳。
ナイフリッジの雪上を行く。右左の雪斜面を見るとバランスを崩しそうなのでただ前方だけを見て・・・。丸で綱渡り。
「アイゼンを引っ掛けないように、一歩一歩慎重に歩きましょう。」
コルからいよいよ阿弥陀岳へ。しばらくはなだらか。その後急登。一壁のような垂直雪壁で高度感もある。「下り大丈夫かな?」と心配しながら進む。
前を行く人はずっとつぼ足。速い。確か朝から先になったり後になったりしている。


岩場を右に回りこんで空にでも続いているような雪道を行く。突然、雪原上に人が見え、雪庇を乗り越えると阿弥陀岳山頂。まだまだ雪斜面が続く心づもりだったのであっけない。
ずっと見上げてきたコブのような黒い岩が西の肩、摩利支天。その下には阿弥陀岳北西稜。北稜。西の肩から美濃戸口に降りる御小屋尾根も広がる。
南は後ろに権現岳を従えて阿弥陀岳南稜。とても長い尾根。すべてバリエーションルート。いつか挑戦したい・・・。
そして先ほどまでいた赤岳がでーんと目の前に。権現岳もいい山容だ。
その権現岳背後の南アルプスの峰、仙丈岳、甲斐駒ケ岳、北岳に雲がかかって来た。絵になる・・・。
M田さん夫妻と一緒に行動でき、ここまで来れてよかった。がっちり握手して感動を分かち合う。
ずっと何年も憧れていた阿弥陀岳。今その山頂に立っているのだ。360度の展望がとても素晴らしい。最高の眺望と天候。これ以上何もいらない。今この山頂にいられて幸せ。


存分に阿弥陀岳を楽しんだ後、急勾配の山頂直下を降りる。前の人が危なっかしい。雪面にへばりついて滑落しそうだ。(ついこの間まで私もそうだったけど・・・。)
我々はその横の雪斜面を駆け下る。この冬御在所岳や唐松、白馬、西穂高などで鍛えた甲斐があって雪斜面を下るのがうまくなった気がする。
下りは雪崩が怖いので文三郎尾根に戻りたい。が夫は中岳沢を行くという。従うしかない・・・。
「何が起きても自己責任」そう覚悟して必死の形相で十分間駆け下る。右左の斜面に目を遣りながら・・・。
怖いから逃げ足が速い。無事に雪崩もなく文三郎尾根に合流できてホッとする。「八ヶ岳の神様ありがとうございます。無事山を降りられました。」
下の方ではデブリが少し・・・。去年のGWに穂高のデブリを見ているので「少ない。」と思ってしまう。


阿弥陀岳山頂から二十分で降りたなんて信じられない。見上げれば中岳コルから右の阿弥陀岳への斜面はとても急。
中山乗越でもう一度硫黄岳から阿弥陀岳まで今日歩いた山を見上げる。「すごーい。」ほとんどぐるり360度歩いたのだ。
八ヶ岳春四回、正月二回で、やっと念願の硫黄岳から阿弥陀岳への縦走。それも名残の雪を足元に感じながら・・・。
達成感やら満足感やらが全身を包んでくれる。感無量。このままずっと見上げていたい岩と雪の峰、八ケ岳。


テントに戻ると隣であわただしく撤収作業。良く御在所岳でお会いするH山岳会。
「落ちた。」横岳と地蔵尾根間の雪面トラバースで滑落。ケガだけで命に別状はないとか。
風もなく穏やかな山歩き日和と思っていたが事故は何時何処で起きるかわからない。
山の事故二番目に多いのはやはり「雪面での滑落」。
確実な一歩一歩の積み重ねが全てなのだ。「絶対落ちないように歩く。」事がいかに大事なことかおもいしらされる。
二日目の夕食ハンバーグ。今日も鉱泉で入浴。さっぱりして休む。


2006年5月5日 晴れ

(テント撤収)鉱泉6:50〜美濃戸山荘P8:20〜美濃戸口八ヶ岳山荘(温泉)9:30〜諏訪南(中央道)〜諏訪湖(昼食)〜小牧JCT〜(名神)羽島〜自宅14:00

朝方、水の音で目が覚める。雨は降っていないし、近くに川もないし・・・。それは人工氷ばくの融け落ちる音だった。
朝食はブドウパンと紅茶。テント撤収。凍ってないので作業も楽。たたみ終えるとテント下だけ高台。周りの雪面は10センチ低くなっている。二日でこんなに雪が融けたんだ。
北沢はまだところどころ凍っていた。
美濃戸口まで降りると落葉松の新緑が綺麗。すっくと真っ直ぐ伸びる樹が潔くて好き。新緑に白樺の美しい白い幹も目を引く。
中央道諏訪南からの高速道路は山桜や、落葉松の新緑、ブドウや林檎の白い花、薄紫色の藤の花など春色の景色がつぎつぎ移り変わる。
一日の始まりに山で冬を感じ、里に降りて春を感じるなんてこの上ない贅沢。
風薫る五月。最高に爽やか。車は「新しい緑」の萌黄色世界を駆け抜ける。

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