阿弥陀岳
    2805m
(長野)

AMIDADAKE

赤岳からの続き。


2007年1月3日 快晴

起床3:45〜テント発6:00〜(地蔵尾根)〜赤岳天望荘(8:00〜8:30)〜赤岳(9:25〜9:40)〜中岳のコル11:00〜阿弥陀岳11:30〜中岳沢12:00〜行者小屋12:30〜赤岳鉱泉13:00(テント撤収)14:00〜美濃戸15:00〜美濃戸口15:50〜奥蓼科温泉渋の湯16:15(泊)



赤岳を後ろに見上げるようになって文三郎尾根分岐。
そのまま真っ直ぐ阿弥陀岳へ。手前に中岳。風の通り道らしいこの尾根からシュカブラの彼方に横岳が格好いい。
初めて中山乗越から雪煙舞うこの中岳を見上げて山を畏れた日もあったけど今日は快晴。無風。春山気分。
阿弥陀岳から二人。「奇跡的な天候ですね。」彼らも美しい冬の八ヶ岳に興奮している。
中岳のコルまでは両サイドがきれ落ちて綱渡り状態。そそっかしい私は滑落しないように一歩一歩慎重に。よそ見しないで集中して。風があったらこんなところ歩けないんだから。



コルでほっと一息。いよいよ今日の核心部阿弥陀岳への登り。滑落はできない。
確実な一歩で進もう。春には登っているが冬山は初めてなのだから・・・。


まったく記憶になかったけど数段のはしご。岩を抱きかかえたり、スパッと切れ落ちたりが数箇所。蒼い空に白く薄化粧したゴツゴツした岩壁を見上げてほとんど垂直の雪道を進む。緊張のせいか息が続かないので何度も小休止。
まだまだと思っていたのにふと人が見えて「頂上ですよ。」の声。
急に緊張の糸が切れた。「やったー。」一月三日冬の阿弥陀岳山頂だ。先ほどの声の彼は「広河原から南稜。尾根で一泊。アイスをやるつもりが雪に埋もれていて予定より一時間早く着いた。」とか。
興奮することも気負うことも無くクール。いつも単独だそうだ。「一般ルートですよ。」



二本のバイルを持って颯爽と北稜へ向う若者。凛々しい後姿を見送る。
我々は周囲360度の冬の八ヶ岳をほしいままにする。
今このように冷静な気分で、穏やかな阿弥陀岳山頂にいられることが夢のよう。
横岳にあと一歩と言うところで取り付けなかった春、痛くて寒くて怖くて文三郎尾根を引き返した数年前の正月・・・。どれも私が八ヶ岳に記した足跡。そんな日々が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
そして2007年正月私は今、冬の阿弥陀岳山頂に立っている。幸運にも春のような穏やかな山に。
この好天をプレゼントして下さった阿弥陀岳の神様に「有難うございます。」とお礼を言って下りはより慎重に。
ほとんど垂直に見えるこの急斜面、融け始めた春の雪より今日の雪の方がしっかりして歩きやすく降りやすい。


横岳硫黄岳も美しい。目の前には赤岳。そこからここ阿弥陀岳へ点々と続く我々の落書き足跡。よく見ればその尾根に一頭のカモシカ。木の芽か何か食事中。彼も?単独行動。
それらを俯瞰できるこの場所で、もう一度背後の白く輝く阿弥陀岳を見上げる。美しい。
山を美しいと感じる自分でよかった。山が好きな自分で良かったと思う瞬間だ。今この時だけの阿弥陀岳をしっかり見ておく。
この白い世界にずっといたいけど(山は急変するのだから)そろそろ降りよう。


こんなにしっかりした雪では雪崩れる心配もないだろうからと、この後中岳沢をシリセード。横岳を仰いで、阿弥陀岳を背になんて贅沢な・・・。
ピッケルを体の前に構えて、あっという間に降りてしまった。蒼と白の世界に雪まみれになって飛び込む・・・。目の前に黒い岩の横岳がひときわ美しく眩しい。


余りにも早く下ってしまったのでついでに美濃戸まで降りることにする。
一時間でテント撤収。さらに美濃戸口まで一時間。
そのままM田さんに聞いていた奥蓼科温泉渋の湯へ。
蓼科山を見ながら行く湯みち街道は二車線。行き止まりとも思える場所に渋御殿湯があった。ここから登る天狗岳がいいというのでちょっと下見も兼ねて・・・。
ところが日帰り温泉は三時まで。
ここで一泊することに。お湯は白濁。口にすると名前通り渋い。NHKの大河ドラマがどうとかと書かれている。上杉謙信の隠れ湯、秘湯渋の湯。
今年はきっと沢山観光客が訪れることでしょう。

2007年1月4日

渋の湯9:00〜諏訪大社〜諏訪IC11:00〜中津川〜羽島〜自宅14:00

奥蓼科温泉渋の湯からの湯みち街道を下る。前方には穂高岳、槍ヶ岳の真白き峰。お椀を伏せたような蓼科山も綺麗。
蓼科、諏訪からは背後に八ヶ岳全景。この蓼科に住めたら最高だな。
その後、勝負の神様の諏訪大社に参拝。道の両側の店には「だるま」が並んでいる。昨年我が家の長男に届いたようなでかいのは見あたらない。
「すや」の栗きんとんを買う為一旦中津川で降りる。
総仕上げは、駒ケ岳あたりからの真白き南アルプスの峰々。山が大きいので迫力がある。なんと神々しく気高く美しく白いのでしょう。
写真に撮りたいのにカメラが「もう電池が無い。」と言っている。
冬山赤岳、阿弥陀岳を堪能して帰途につく。
奥蓼科温泉おまけつき・・・。


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