二本のバイルを持って颯爽と北稜へ向う若者。凛々しい後姿を見送る。
我々は周囲360度の冬の八ヶ岳をほしいままにする。
今このように冷静な気分で、穏やかな阿弥陀岳山頂にいられることが夢のよう。
横岳にあと一歩と言うところで取り付けなかった春、痛くて寒くて怖くて文三郎尾根を引き返した数年前の正月・・・。どれも私が八ヶ岳に記した足跡。そんな日々が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
そして2007年正月私は今、冬の阿弥陀岳山頂に立っている。幸運にも春のような穏やかな山に。
この好天をプレゼントして下さった阿弥陀岳の神様に「有難うございます。」とお礼を言って下りはより慎重に。
ほとんど垂直に見えるこの急斜面、融け始めた春の雪より今日の雪の方がしっかりして歩きやすく降りやすい。 |