阿弥陀岳

        2805 (長野)

赤岳からのつづき。

2009年12月29日 快晴

赤岳鉱泉前テント6:00〜(地蔵尾根)〜地蔵尾根稜線7:40〜赤岳8:50〜文三郎尾根分岐9:25〜中岳〜阿弥陀岳10:50〜(文三郎尾根)〜行者小屋13:10〜テント13:45

阿弥陀岳の雪を楽しみながらゆっくりコルへ降る。一年のうちで何日もないと思われる晴天にはしゃぎまくり。めちゃくちゃ楽しい雪降り。
梯子を降りてすぐアイゼンの歯をひっかけて転んでしまった。今日の青空は転んでも何しても楽しいよ!



雪に慣れていないので思うように足が上がらない。でも好天だからもっともっと雪を歩きたい。文三郎尾根まで戻ろう。
風紋ができているけど小さい。今日のは優しい風のあと。


ジグザグ道を登って分岐へ戻る。文三郎尾根を降るのはめちゃ気持ちいい。雪はサクサクして軽い雪。重くない。
この時間でも下から何人も登ってくる。皆、天望荘に泊ると言っている。


分岐を少し降りたあたりから望む阿弥陀岳、中岳。美しい!
岩登り入門の赤岳西壁主稜を見上げる。今日は誰も登っていない。まず無雪期に登らなくてはルートがわからないだろう。


行者小屋。
テントも多く大賑わい。余りにいい天気なので、皆にこにこして、八ケ岳の冬を楽しんでいる。


ここからの緩やかな登りがしんどい。鉱泉に戻るとテントの数が増えていた。まだ陽が当るので寝袋などをテントに干す。


目の前には、蒼いアイスキャンデイ。若い人達がガイド講習を受けている。その動きを見てお勉強!基本は岩と同じで足で登ること。でもちょっとハング気味だし難しそう。腕力のない女性はバイルがうまく使えないのと手が冷たくて大変そうだ。

夕食は今日も小屋で。衣類が乾かせるのでいい。頭痛の為バフアリンを飲む。隣のテントは昨日より人数が増えてちょっと騒々しい。夫はマットの空気が抜けて困っている。小さな穴でもあいたのかな?

明日の天候は晴れのちくもり。午後は冬型が強まって荒れそう。


2009年12月30日 くもり 強風

赤岳鉱泉テント4:30〜硫黄岳6:15〜硫黄岳山荘(7:05〜7:10)〜横岳8:10〜地蔵尾根分岐9:00〜(地蔵尾根)〜鉱泉(テント撤収10:00〜11:00)〜(北沢)〜赤岳山荘P12:30〜美濃戸口13:30(入浴)ペチカ(食事)〜諏訪南15:20〜自宅19:00

天候はくもり。できるだけ早く行動したい。今日も足の指がかじかんでいる。一時間ほど動いてやっと解凍できた。手は手袋の中のカイロを持ってぐーにしたまま。
赤岩の頭あたりで突然ライトに照らされ、びっくり。人が立っていた。朝焼けの写真を撮る人だった。稜線は風がきついからここで風除け、時間待ち。

硫黄岳へ向う。強風に顔を上げれない。岩陰でジョウゴ沢からの足跡を見つける。登ったのか降りたのか?どちらにしてもすごい。

爆裂火口へ落ちないように耐風姿勢をとる。がらがらした岩屑が歩きにくい。ケルンで会った人が「硫黄岳山荘はやっているよ。」と教えてくれた。

早速小屋へ。凍っていた足に血が通いだした。トイレも借りる。¥100 小屋入口の温度計はマイナス10度。風がきついので体感的にはもっと寒く感じる。マイナス15度以上?


一息入れ、再び歩き出す。右手、北アルプスからの風がきつくて左に飛ばされる。前へ進みたいのに足が出ない。踏ん張れない。歩けない。自分の足が自分の足でないみたいに進めない。遭難するのはきっとこんな時だろう。
「雪山縦走初めてなんです。」と言う若者もゆっくり歩いている。そう見えたのは私同様歩こうとしても前へ進めないのだろう。

多分、私が今まで体験した中で一番の強風と寒さ。「横岳まで行けば風もおさまる。天気はいいのだから。」そこまでが怖い。そうやって無理をして数日前の赤岳滑落事故も起きたのでは?不安でいっぱいになる。

考えたあげく、風のキツイ所はピッケルで夫につながることにする。夫がドッシリ立っていられるのは柔道で鍛えたから?私はガイドツアー。おかげで一歩ずつゆっくり進めた。

岩場の陰は天国。不思議と風がない。ここでパンを齧って、梯子から横岳の頂へ。「やったー。」この山頂にも風はない。硫黄岳からここまでが風の通り道なのだ。わかっていたけど今日の強風はけた外れだった。

やれやれと胸を撫で下ろす。今からは岩と雪を歩くのだから、滑落に注意だ。アイゼンをひっかけないように一歩一歩慎重に。階段はしっかり手すりを持つ。
赤岳が見えてきた。右に岩場をトラバースしてさらに右下へ鎖場のトラバース。前方から二人降りて来た。対向できないので待つことに。ところがここは吹きさらし。息ができないほどだ。風に背を向けて待つ。すっかり体が冷えてしまった。

左雪壁にピッケルを差し込んで体を横向きにトラバースする。落ちたら何処までも行く斜面。絶対落ちないようにしっかり足を置く。


階段を降りると前方から又人が来た。昨日阿弥陀岳で会った東京の方だった。「風がきついので迷ったけど行きます。」「お気をつけて。」と挨拶。地蔵尾根分岐には今から赤岳へ向う大勢の人がいた。誰かみたいにロープでつながったガイドツアーの人もいる。

一時間でテント撤収。
テントの下はガリガリに凍っていた。「ありがとうございました。」テント場に感謝して山を降りる。



堰堤でアイゼンをはずしていると、名古屋の方が「明日は平地でも雪が降るらしいけど出かけます。」と山に向った。大荒れ予報でも、年末年始を山で過ごそうという人がどんどん登ってくる。

林道を降っていると事故があったのか?ヘリが何度も旋回していた。

駐車場についてホッとする。山が荒れる前に降りる事が出来て良かった。




ここからは車で雪道降り。来るときはなかったのに・・・。二日で真っ白になった道を慎重に下界へ降る。
「見たことある人が歩いている。」阿弥陀、横岳でお会いした東京さん。三度目。「あんなキツイ風は初めて。滑落事故があったらしいが、御互い無事で良かったですね。」と落ち着いた口調で話される。

美濃戸口。
山を降りてすぐ汗を流せるのがあり難い。小屋で連泊していた男性にも会う。今日は阿弥陀だけ行かれたそうだ。そういえば今回稜線で出会った人は男性ばかり・・・。

一日で天候が全然違った。29日が天国なら30日は地獄。山の天気はすぐ変わる・・・。
ガスコンロ、マットのトラブル、さらに一歩も前へ進めない強烈な風。また雪山八ケ岳で貴重な体験ができました。

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