槍ヶ岳・南岳・大キレット
   
   3180m 3033m  (長野、岐阜)


2005年8月14日 晴れのち雨

殺生ヒュッテ4:25〜槍岳山荘5:05〜槍ヶ岳(5:20〜5:30)〜槍岳山荘(5:50〜6:00)〜大喰岳6:30〜中岳7:15〜南岳8:25〜獅子鼻8:35〜(大キレット)〜長谷川ピーク〜飛騨泣き10:45〜北穂高岳(11:50〜12:10)〜涸沢岳(14:15〜14:20)〜穂高岳山荘14:35


オニギリ三個と注文したら二個入りを三包みで合計六個。朝一個づつ。味噌汁。紅茶。残りはお昼に食べるとしよう。
テントが霧でベタベタなのでタオルで拭きとり撤収。
暗闇の中、槍ヶ岳に向う人のライトが見える。我々も後を追うように歩き出す。
細かい霧が降る中、ヘッドライトに辺りの花が照らし出される。白い霧に包まれたまま槍ヶ岳の肩に辿り着く。ザックを置く。登る人は誰も居ない。
山頂手前のはしごはダブルになっていた。上りと下りに分けたらしい。はしごは濡れて冷たい。五年前に来た時はこのはしごを登れるか不安だった。今日は怖くない。
ただ足が横に滑らないようしっかり階段の端に置き慎重に登る。わずか十五分で槍ヶ岳到着。
山頂には若者数人。祠に拍手。二度目の槍ヶ岳山頂。しかも幻想的な霧の槍ヶ岳・・・。感無量。



肩に降りると「山旅くん」。今日は西鎌尾根から三俣蓮華方面の予定だとか。濃いガスの中に消えて行く彼を見送る。「気をつけて。」
槍ヶ岳山荘前の岩場にはミヤマダイコンソウ、タデ、イワギキョウ、ヨツバシオガマ、雲間草、濃い紫のミヤマリンドウなどの花々。こんな岩の間にと?思うような、わずかな隙間にも咲いている。
なんて健気で強くてそして美しいのだろう。槍ヶ岳の花に勇気と感動をもらう。
大喰岳でタカネヤハズハハコなど。花の種類も多くなり、美しいお花畑を愛でながらの稜線歩き。最高に幸せ。


この辺りで急に空が明るく青くなって雲がモクモク上がった。
前方に中岳、南岳が望める。「わー。」と歓声があがる。
さらにその先に穂高岳の蒼い山なみ。ベールのような白い霧が少しずつ剥がされていく。前穂北尾根の特徴ある峰、北穂高岳、奥穂高岳、ジャンダルムと次々美しいその峰々が現れた。
振り返ると今来た槍ヶ岳からの稜線も柔らかな曲線を描いている。時々槍ヶ岳も姿を見せる。
中岳あたりからはこれ以上素晴らしい稜線歩きは考えられないほどになった。空も山も何もかもただ美しい。



南岳小屋まで来ると快晴。
蒼い穂高岳が眼前に美しい姿で聳えている。南岳獅子鼻の岩と今から行こうとしている大キレットの緑、雪渓の白が裾もようとなって美しい穂高岳をより美しく見せてくれる。
南岳から仰ぐ穂高岳の新しい魅力に酔いしれる。



いよいよ大キレット。先月ここを歩いたIさんから「キレットより人が落とす岩などのほうがが危険。」と聞いていた。ヘルメットがあれば被った方がいいというので今日は持ってきた。
より慎重に歩こう。南岳からの下りは急坂。はしごやルンゼ状の岩場を下降する。気持ち良い稜線。
最低コルから振り返ると南岳は迫力ある岩山だった。いつものたおやかな南岳のイメージはどこにもない。見る角度によってこんなに違うの?



前方の穂高岳はどんどん大きくなる。あまりの迫力に息苦しくなる。
長谷川ピークのきつい上り。
飛騨泣きのクサリ場。
クサリが大きすぎて手で掴めないほどがっしりしている。足場には固定された鉄板。対向できないのでここで渋滞する。


その後、右手に滝谷を望む。ここからの岩場がきつい。
ロッククライミングのコールが随分下の方から聞こえる。初心者コースかな?クライマーが三人。
天候がはっきりしないからか他の岩場に人影はない。
滝谷の岩は脆いと聞いていたけど近くで見るとそれがわかる。本当に今にもボロボロ崩れ落ちそう。
贅沢にも、今滝谷を見下ろす場所にいるのだ。感動に浸る余裕もなく、ただ私は喘ぎながら、息を切らしながらひたすら登る。


小屋手前でチングルマがお出迎え。「やったー。」北穂高岳山頂。最後の岩場が一番きつかったよ。でも泣かなかったよ。
スリリングな岩稜歩き、南岳から北穂高岳への大キレット。歩き通せた。心も体も心地よい達成感と充実感でいっぱいになる。

この逆のコース、北穂高岳から南岳に歩くのはちょっと怖いと思った。
今の北穂高岳直前の岩場を下るんだもの。
そういえば南岳から歩く人のほうが圧倒的に多かった。より安全なのかな?



この後、涸沢岳への岩稜へ。

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