ドライチンネA(セストA) 

         (イタリア)  
DOLOMITE


ドロミテDからのつづき。

2014年6月22日 はれ

ドライチンネ(トレチーメ)クライミング。

ホテル5:20発〜(現地ガイドさんの車)オーロンツオ小屋6:15(2320m)〜取り付き@6:50〜ドライチンネ頂上10:00〜取り付きA13:00〜小屋14:00〜ミズリナ湖15:40〜セストのホテル

マウントパテルノのフエラータ体験三人さんとは別行動。ドライチンネクライミング組四人は軽い朝食をとって先に出発する。一時間ほど、ガイドのヘルベルトさんの車で移動。


オーロンツオ小屋到着。

寒い。毛糸の帽子を被ってダウンも羽おる。こんなに寒くて大丈夫かな、登れるかなとちょっと不安になる。


ザレ場を一時間ほど歩いて取り付きへ。

先行は3人パーテイのみ。ハーネス、ヘルメット、スカルパの山靴、準備OK。我々の登攀道具はなし。

いよいよクライミング開始。天気は快晴、ここは風がない。あったかい。既にダウンは脱いで薄着だ。

H谷さんとH生さんは、ヘルベルトさんと。我々は、ハネスさん。24歳の国際ガイドさんだ。ロープで繋がった三人。まんなかの私と相方の間隔は2mほど。言葉はどうするのか心配だったが、ほとんど片言英語で。



登り始めは、雪渓と岩。借りたピッケルを真中の私だけが使う。三番目の相方はない。とても小さくて軽いピッケルだった。


雪渓が消えて目の前には岩ばかりになった。ハネスさんは岩陰にピッケルを置いていく。

一見滑りやすく見える岩も滑らない。それに手掛かりはどこにもあった。はたと困って立ち止まるような岩はほとんどなかった。



ただチムニーに取り付くのが大変だった。その後チムニーを登り続ける腕力がないのでと思っていたら後半はフエースに変えてくれたりした。そのフエースでは、下は絶対見ないようにして、目の前の岩だけに集中した。高度に怖さはなかった。

時々、ハネスさんが「フォト」「ドリンク」と声をかけてくれるとホッとした。その優しさがうれしかった。


ただ、ひたすら目の前の岩を見る、そして登り続ける。


岩棚を歩いて、左にトラバースする。左手はスパツと切れ落ちて見事な風景が広がっている。滑落したらおしまいだ。ビバークするような岩小屋が現れた。天候によってはそういうこともあるのだろう。


大きいチムニーを超えると・・・

ドライチンネ、チマグランデ2999m頂上。やったー!


中高年の山歩きの私達がドライチンネ頂上に立っているなんて、信じられない・・・
さっきまで険しい岩を必死で登り続けていたのだ。その緊張感が、喜びに変わっていく・・・
すると、今までいろいろ山のことを教えて下さった方の顔が浮かび、声が聞こえた。たくさんの人のお陰で私は今ここにいる。「皆さん、ありがとうございます」感動と感激で顔がくしゃくしゃになった・・・

ハネスさんが今にも落ちそうな尖がった岩に立って、写真を撮ってくれた。すごーい!


隣には、チマピッコラ、チマオベストがそそり立っている。周囲360度は雪を纏った山が誇らしげに連なり、緑の大地や登山道が真下に見える。今この時だけのかけがえのない素晴らしい絶景。風もなく穏やかな山頂。ドロミテ、トレチーメで私は鳥になった。めっちゃ幸せ!

山頂ノートに名前を記す。「ありがとう」の一言を添えて。


ハネスさんはナイフでチーズをカットして、そのまま口に運んでいる。ヘルベルトさんはマスカットやりんごなどをこの山頂まで持ってきて下さった。喉カラカラの私にとって、トレチーメてっぺんのフルーツは最高の御褒美だった。
ドロミテFにつづく。

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