御在所岳
    1212m
(三重)



2005年12月11日
 くもりのち小雪

温泉最奥P7:15〜(本谷)〜朝陽台9:55〜(藤内沢)〜前尾根下テストストン〜P13:20

駐車場に早くも車が十台ほど。OさんはTさんと鎌ケ岳へ。我々は本谷から藤内沢へ。雪はどんなだろう?
本谷一枚岩下部は雪の階段になっていたので立って歩く。上部は岩とふわふわ雪なので怖くて立てない。アイゼンもフラットに置けない。まだまだだな。
こんな雪の日にここに来ると、数年前、Mさんがこの一枚岩で目の前を滑り落ちた姿が目に浮かぶ。その時は幸い大事に至らなかった。ザックと雪がクッションになって・・・。
たしか雪もまだ締まってなくてアイゼンに慣れていないこんな時期だった。降り始めた頃の雪は柔らかく対応が難しいから今日も慎重に行く。
大黒滝下は一番左の木の根から。雪があるから緊張する。滝は少し凍りツララができていた。又今年もシャンデリアになるかな?


三角岩右岩も積もったばかりの雪で足応えがない。ここでアイゼンをつけるが、このふわふわ雪じゃと登るのはあきらめて久しぶりに岩を潜る事にする。二回ほど潜った事があるが・・・。
岩の中に入る・・・。これってチムニーと同じ?背中を後の岩に押し付けて上がると楽だった。たしか以前にはなかなか登れなくて苦労したところ。それはチムニーを経験した今だからわかることだった。
この岩辺りから雪が多くなる。ツララもあちこちに。


誰もいない静かな朝陽台。どの木にも樹氷がついている。今にも雪が降り出しそうで空が暗い。生姜湯で温まる。パン一個。
早々に藤内沢に向う。雪が少ないし頼りない雪なので夏道を下りる。ここを降りるのは初めて。ガリガリになったザレを慎重に。



三ルンゼ鋸岩付近は美しい樹氷と氷で被われていた。沢を見下ろすときめ細かい雪斜面。この春の雪崩のことが無意識の中にあって知らず知らず後を振りかえり確かめながら降りている。
ヤグラ下まで来るとホッとする。膝上辺りまでの雪はさらさら。気持ちいい。「やはり藤内の雪は最高。」と大満足。
ガレ場をMさん夫婦が登ってきた。久しぶり。後からIさん。年末に八ヶ岳に行くそうだ。
マイナスの滝もコウモリの滝前も凍っている。岩と雪と氷を楽しみながら慎重に降りる。アイゼンが氷に刺さる感触が好き。気持ちいい。
ここでザイル確保された女性。「ずっとこんな雪ですか?不安で。」と言葉とは裏腹に表情は明るく楽しそう。
私は藤内滝上の狭い岩をクライムダウンで慎重に降りる。
ここから一壁を仰ぐ。岩の隙間にできた雪の白い模様が美しい。モノトーンの世界。
中又も、はや氷がついている。また今年もここをクライミングする人来るかな?こんなところを恐怖感なく登れるなんて感動するけど・・・。


前尾根下テストストン。
左端。アイゼンをつけて練習。今日のストンは雪マット。岩は雪の下。「だから落ちても痛くない。」と思うとなぜか大胆になる。まったくげんきんな人なんだから・・・。
かかとを下げて足だけで立つ。手袋をしている手は補助。片足に体重をかける事を意識するうちにアイゼン爪で立つ事が楽しくなってきた。数回練習。
「アイゼンは引っ掛ける感じだから慣れれば山靴よりこちらの方が楽。」と聞いていた事が自分でやってみてわかった。今年の春山穂高岳ではまだわかっていなかったから。
冬は「壁の雪をピッケルで取り除いてスタンスを見つける。乗る。又雪を除く。」という作業で進む。だから壁を一本登るのにとても時間がかかるとか。
夏にアイゼンで何度も歩いて鍛えないとこの時期の岩は歩けないそうだ。雪山クライミングは想像を越える厳しい世界なのだ。
見れば前尾根P7で果敢にもその「岩と雪の世界」に挑む為の訓練をしている人がいる。





2005年12月10日 くもり時々晴れ

温泉最奥P7:15〜(中道)〜朝陽台9:50〜望湖台10:25〜朝陽台11:00〜(中道)〜P12:00

千草で写真を撮る為車を降りると鈴鹿おろしの風がきつい。今日の山は寒いだろう。
スカイライン通行止めの為、温泉街最奥駐車場へ。すでに四台。
朝、暗い冬空だったが少し明るくなってきた。キレットで四方の山を望む。岩に雪があるので慎重にトラバース練習。少しずつ雪が多くなる。
凹各部も雪があるので行かない。キレットを見下ろす岩。だれも行ってない。その上の岩に大きく張り出している雪。確かここは去年ピッケルで雪を削りおとした場所。風向が同じなのか去年と同じ雪庇ができていた。
年末点検でロープウエイが休みの為、山はとても静か。今ここにあるのは山と私だけ。他には何もない。ただ雪を歩く私の足音だけが樹間に響く。時々鳥のさえずりも。
ピンと張り詰めた大気に冬を感じとてもいい気分。深呼吸すれば、冷たい空気が体の隅々まで沁み込んで行く感じ。



富士見岩下。
青空が広がった。雲が流れる。今年は早い冬の訪れ。十二月初めと言うのに、もう周囲の山が真っ白に雪化粧している。竜ヶ岳や御池岳が一段と白い。
今季御在所岳初めての本格的な雪。安全の為ここでワンタッチアイゼンをつける。クサリ場下はまだ凍っていない。が慎重に降りる。
富士見岩。
大黒岩も鷹見岩も綿帽子を被っている。彼方に端正な鎌ケ岳。雪が付くと鎌ケ岳山頂からの尾根がくっきり浮かんで今までより美しく感じる。そしてより立体的。
鎌尾根、日陰尾根、長石尾根、馬の背尾根などが丁度十二単の着物の裾のよう。雪が山頂から派生して伸びる峰の美しさを強調している。


御在所岳山頂積雪40cm。気温マイナス3度。
本谷を独りでラッセルしてきたK君。背の高い彼が吹き溜まりでは腰まであったとか。
「最新情報。」をいつも提供してくれる彼。お茶などに入れて飲む「飲む酸素」がいいと言っている。通販で新潟から取り寄せたというワカンも軽そう。
観光客がいないとても静かな御在所岳。独り望湖台へ向う。ケルンで北風が冷たい。手袋で顔を覆って行く。
アゼリアからは30cm幅の雪道がついている。10cmほどの雪の下は氷。雪に慣れないせいか足が重い。アイゼンが重い。所々小さい風紋ができていた。


遠く鎌ケ岳に続く鎌尾根と仙ケ岳が蒼く美しい。階段を登って行くと、笹が雪に埋もれている。又あの白い尾根ができるのかな?待ち遠しい。
誰もいない望湖台に立つ。谷からの風がきつい。墨絵のような雨乞岳が白く浮かぶ。イブネも美しい。気のせいか岩についたエビノシッポが大きくなった。
写真を撮ろうとしても風がきつくてシャッターが押せないほど。踏ん張って必死で立とうとするが吹き飛ばされた。大丈夫。雪があるから痛くない。
体が冷えてしまわないうちに降りよう。休憩所に戻るとAさん夫婦。年末は阿弥陀岳へ行くとか。
K君と中道途中から本谷へ。この道は落ち葉が多く滑って二回ほど転ぶ。下まで中道を降りたSさん夫婦がおばれ岩でカモシカに会ったとデジカメを見せてくれた。シカは不思議な物でも見るようにカメラに向ってポーズをとっていた。目が悪いのかな?

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