御在所岳
    1212m
(三重)


2005年12月25日 快晴

温泉最奥P7:25〜(中道)〜朝陽台(10:50〜11:20)〜(中道)(本谷)〜P13:00

朝マロニエで除雪車を待つ。蔵之助から除雪してくれている。

Uさん久しぶり。Oさんと本谷から藤内沢へ行くとか。我々はK君と中道へ。
雪が多いので古いものだけどスコップを誰でも使えるように(善意で)車の下に置いて行く。


雪は昨日より重い。風もないし気温も高いようだ。登山口辺りにカモシカ、ウサギ、キツネ?の足跡が雪の上に点々と。雪に埋もれて食べ物がないのかな?
ロープウエイの見える岩手前で一人追い越される。
しばらくしてTさん。
「昨日は地蔵岩まで我々がラッセルしたけどその先は誰も行っていないはず。」「先行者が一人。」と話す。
足早にささっと雪の上を滑る様に歩いて行くTさん。その背中が「ラッセルが大変でしょう。早く替わってあげなくっちゃ。」と言っている。

キレットで先行者に追いつく。ここでやっとTさんは「つえを」といってピッケルをとり出す。
右へ行って岩壁を降りる。あまり緊張感はない。いよいよここからラッセル。やはり雪が多くはまり込む。木がある時は木の根近くを行くといいとか。木の階段は踏み抜かないように。(凹各部ははまり込むので今日は行かない。)
その後のキレットの見える岩。ここは二年前Tさんに会った時、私がはじめてラッセル体験したところ。たしか次の標識まで。今日も同じ所を私が行く。やや雪が締まって歩きやすい。気持ちいいー。
北谷テラス。K君がワカンをつけてやっと追いついた。髪も眉も凍ってる。ここで草餅。



テラスすぐ上はとんがり雪庇。吹き溜まりが大きすぎて右の尾根を行く。その上の春まで残雪がある所はとても深い。左の尾根に上がり木登り状態。
スラブ岩は右端の尾根上を行く。
富士見岩下の岩場に来ると樹氷が光っている。空は蒼く澄んで群青色。ヒマラヤの空もこんな色だとか。
周囲の山は白く雪化粧をして息を呑むほど美しい。御池岳や藤原岳、竜ヶ岳の白い峰。遠く仙ケ岳、鎌ケ岳、鎌尾根。十二月一週に見た鎌ケ岳展望台あたりの樹氷が一段と綺麗。手前一の谷の樹氷は丸で八ヶ岳か西穂高のよう。(ほかは知らないので・・・。)
さらに東には白い大地が眩しく広がる。今日のこの岩場は特等席。こんな美しい情景を見られて幸せ。


クサリ場も上部テラス手前も雪が深い。富士見岩下の去年雪崩が起きた所はまだ雪が締まっていない。締まったら又歩きたい。
テラスからはこころもち雪が固い。フワフワ雪でもべたべた雪でもないもの。ピッケルで雪をどけて膝で押す。「わーすごい。」この感触は最上級の雪質。それはアルプスの雪のようで(知らないけど・・・。)これ以上のラッセルはないと思われた。とても車で三十五分の御在所岳にいるとは思えない雪原。独り占めしてはもったいないので交代する。
Tさんの膝と腰で雪を押してそこに足を持って行く姿勢が美しい。沈むか確かめながらそっと静かに一歩一歩進む。私のように「おっとっと」とは決してならない。重心が動かない。手は絶対使わない。片足だけで立つ。
時々ピッケルを立てたままその先で雪を削ってつぼ足跡に入れる。又、雪を靴で右から左からとやさしく蹴ってつぼ足跡に入れたりする。次の人がはまり込まないように。
足の動きが丸で手みたい。いえ手以上。そんな繊細な足捌きができるなんてすごい・・・。
それほどまでに綺麗に雪を歩く人を私は今まで見た事がないので又改めて感動する。
しなやか。滑らか。気負いがない。美しい。やっぱりTさんはラッセルさんだった。



雪に埋もれた梯子を上がり富士見岩。
ここからは樹氷の写真を撮る人や観光客がいっぱい。
朝陽台は美しい樹氷林。紺碧の空に白い衣装を纏った木々。周囲の白い山と峰々。白一色に染められ包まれている御在所岳。綺麗。
大岩に乗って山頂の樹氷を見渡し、その白銀の世界に魅せられる。これ以上美しいものはないよ。
K君も感動と達成感で放心状態。
ここからTさんは望湖台から裏道へ。
我々は用事があるのでそのまま中道から本谷へ降りることにする。



しばし樹氷の撮影タイム。
西に行けば、シュプールの描かれたスキー場の彼方にさらに白い雨乞岳やイブネ。
北にも一段と白い国見岳。樹氷に被われた最高に美しい冬の御在所岳山頂を満喫する。



雪が多いのでアイゼンなしで
中道を降りる。クサリ場のクサリに手袋が滑り体ごとズルッと滑り落ちる。クサリにピッケルの先をかけるとうまく上がれた。
しばらくして本谷へ行ったUさん、Oさん。吹き溜まりでは腰や胸辺りまであったらしくキレットから中道へ抜けて来たとか。若い彼らは喜々としてまだ今から鎌ケ岳に行くと言っている。今日の雪を一番楽しんでいるのは彼等かな?
我々も本谷へ。今日は泳がず滑って行く。ちょっと融けて重くなった雪が滑りすぎず丁度いい。雪は体の前後にゆっくりついてくる。まるで長い長い滑り台。子供に返って転げまわる。楽しい。
途中Uさんらの足跡を雪の中に見つける。点検道を横切って谷をつめたらしい。足跡から二人の頼もしい冒険ぶりがうかがえた。

楽しい雪遊びから駐車場に戻ると残念な出来事が二つ。
まず、「欲しい人に使ってもらおう。」という気持ちで車の下に置いて行ったスコップが戻ってない。
もう一つ。後から来た車が出口をふさぐ形で駐車してあった。出られなくて困っている車がいて後押ししてやっと出られた。
山好きな人の中にそんな人がいるのを知ってちょっと悲しかった。行動が大変なこの季節は皆がもう少し思いやりと良識を持てたらいいなと思った。

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