御在所岳
    1212m
(三重)


2005年3月12日 くもりのちあられ

温泉最奥P7:15〜(中道)〜望湖台〜武平峠10:30〜鎌ケ岳12:00〜源頭部〜(三ツ口谷)〜P13:15

朝駐車場で虹。細かい霰が降っている。
ヤシャブシの葉が柔らかな薄緑。いつも一番に春を感じさせてくれる。
出かけようとすると鳥のさえずり。それは春を待ちかねた喜びの声に聞こえた。


なぜか岩の傍は雪が融けて、掘割道の中ほどに固い残雪があったりする。雪が凍っていたりそうでなかったり。とても歩きにくい。
一月のラッセル時に雪が多かった所はやはりまだしっかり残っていた。
富士見尾根下手前の岩は雪が融けてほとんど元どおり。すぐ上の岩の雪階段も消えていた。
岩稜帯からは海が光って雲もきれい。大地の薄緑がどことなく先週より濃く感じる。若草色か萌えぎ色か春の色・・・
この岩稜帯で霰が目にとまる。赤い手袋についた白い霰が綺麗だった。一つ一つの粒が大きい。
ここでアイゼンをつける。鎖場はやはり凍っていた。次の下りも凍って滑り落ちそう。左のロープを持ち慎重に行く。
富士見尾根北側は先週の雪崩のまま雪が多かった。テラスに着くと富士見尾根の左に雲と伊勢湾と大地が美しかった。
なんか水の音?川はないのに・・・
テラス上部登山道からの雪解け水の音だった。水は雪の下から溢れ藤内へ流れ落ちる。これも春の音だった。
雪は又霰となった。
年末のラッセルで嵌まり込んだ所では、雪の上に霰をまぶしたようになってその美しさに見惚れる。
上部のクサリ場下は結構ガリガリしてアイゼンが効く。傾斜は急だけど今日はアイゼンをつけているからまっすぐ上がる。気持ち良い。
そのまま富士見尾根へ。雪が随分融けて春の日差しが眩しい尾根。ハライドの雪もすっかり融けている。この辺りは霰ではなく雪だった。
クサリの手前左から富士見岩に上がる。大黒岩の綿帽子雪も溶けて鎌ケ岳は残雪のまだら模様。
ケルンからは道が凍っている。誰も居ないのでソリすべり広場やカモシカセンター前の雪山に登る。


御岳神社辺りから振り返ると望湖台のどこでも歩けたつつじ林は所々雪が融け笹が起きようとしている。ここにも春の息吹を感じる。
掘割道を少し行って右の尾根に上がる。
峠道は残雪の中、笹が起きて登山道も横の尾根も歩きにくい。
締まっているだろうと思って行くと嵌まり込む。嵌るだろうと思っていくとそうでなかったり。腰まで何度も嵌り込む。中ほどの岩場でアイゼンをはずす。


まだ雪庇が三重県側に残っていた。登山道にひびわれ?雪庇と共に砕け落ちたらしい。
武平峠はすっかり雪が融けていた。
峠からしばらく行くと大きな雪壁が現れた。ピッケルをしっかり使い垂直の壁を突っ切る感じで登る。気持ちいい。
三ツ口谷分岐で尾根から見下ろすと谷にはまだ雪があった。振り返ると大きく崩れそうな雪庇も残っていた。その先に重量感いっぱいの御在所岳。
鎌ケ岳へのガレの雪は消えていた。
山頂部分が霞んだ雨乞岳を遠くに望んでそのガレを登る。山頂の「超気持ちいい」岩に乗る。風がきつい。


鳥居はまだ雪に埋もれていた。その雪庇に乗って南面に行くと鎌尾根は霞んでいた。
雪庇を登り返して帰りは三ツ口源頭部から三ツ口谷へ。
いきなり斜めの氷。足がすくんで前に行かない。アイゼンなしでは怖いな。思い切って氷の上を駆けてみる。やはり最後転んでしまった。
下に進むと雪の斜面が現れた。傾斜は急だった。さらに降りて緩やかな斜面を見つけ下る。
どーんと体重を乗せ膝をのばす。まっすぐ足を下ろす。怖いながらもいろいろやってみる。少し柔らかい雪だとできるようになった。
確かにいろんな雪に慣れるにはいろんな雪を歩く事だと知った。
ふわふわ雪やガリガリ雪、でこぼこ雪、ざらざら雪。どんな雪かしっかり自分の足で感じよう。
どんな雪か自分でわかるようになったらいつか固い雪でも氷でも怖がらず歩けるようになるのだろう。


大滝の氷は融けてなかった。雪解けの水量が多く迫力満点。
顔に当たって痛いほどの霰が降り続く。この霰を顔に肩に感じながら歩く。とても風情があって良い気分。小滝まで来ると空が少し明るくなった。


三ツ口ダムを過ぎた頃、手で雪をすくって見る。真珠のような霰。軽くてふわふわで真っ白な霰が赤い手袋の上にいっぱい。雹のような大粒のもある。こんな大きい霰を見るのははじめて。
スカイラインは霰道。丸で真珠の粒が敷き詰めてあるような道。その上を歩いて足裏で粒々を感じる。とても贅沢な気分。
粒々は白と透明。降ったばかりは白。それまでのは透明。不思議な美しさに引き込まれる。
お彼岸も近いというのに真冬なみの寒気。
雪景色の冬の御在所岳をもう一度楽しむ事ができるなんて思いもよらなかった。
それに霰が珍しくて・・・
降りしきる霰の中を歩くというのも初めてでうれしくて・・・
こんな楽しみ方ができるのも弥生三月ならではのこと・・・
顔に当たって痛かったほどの霰のこと。きっと忘れない。この頬が・・・

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