御在所岳
    1212m
(三重)


2005年3月5日 晴れ 

温泉最奥P7:10〜(中道)〜朝陽台10:00〜望湖台〜(峠道)〜武平峠12:00〜P13:15

朝、千草から見る御在所岳はピンク色に染まっていた。6:25ごろ。日の出が随分早くなった。そして真っ白に雪化粧している。


駐車場に車は二台。雨乞岳へ行くという五、六人のグループ。自分で作ったわかんを持っていた。
中道岩棚で新たに積雪10cm。セントレアがよくみえる。橋も見える。渥美半島の先端あたりもはっきり。白く平らに光っている伊勢湾。恵那山も。御嶽山は雲を被っている。
地蔵岩の上でシュカブラができている。夕べは風が強かったんだろう。ササユリの群落辺りで大きい吹き溜まり。
キレットは雪があるけど問題なく右側を下りる。
北谷テラスからは目の前に国見岳の雪化粧が綺麗。すぐに大きい吹き溜まり。1月22日の大雪ラッセルで苦労した掘割道は新雪の下のガリガリ雪が凍って滑って歩きにくい。
その時何か「ビシッ。」という音。積もっていた雪を見るとヒビが入っている。これ何?ひびの割れ目から雪が下に落ちて行った。今までの氷の上に積もった新雪だけが滑り落ちたようだ。表層雪崩だった。恐ろしい。
雪崩にあったらゆっくりしか落ちないのでピッケルを下へまっすぐに強く刺す。
きっと私なら経験がないのでパニックに陥って何も出来ないだろう。出来るようになるまでなんども落ちて練習するといいとか。
又怖いと斜面に対し体が沿ってしまう。今日の雪のように柔らかいとよけいに滑る。意識して斜面にまっすぐに立つようにする。
キレットの見える岩の上も雪が多い。春の雪なので本当に柔らかくて滑りやすい。
岩稜帯から見る国見岳と鎌ケ岳は澄みきった空気の中でとても鮮明だった。
この鎖場を降りるときは半身に構える。
富士見尾根北側を登るが、さらさらの雪が流れ落ち危いので右の登山道へ。
鎖場から富士見尾根を登る。雪は相変わらず柔らかい。その下のガリガリ雪を意識して強く蹴る。
尾根からは菰野から知多半島のはるか遠くまで見渡せる。視界が広く気持いい。田んぼがどことなく薄緑色。麦畑かレンゲ畑か?なんとなく春の色。光は明るくさんさんと降り注ぎ風はほとんどない。
この尾根からの眺めは遮るものが何もなく素晴らしい。春めく美しい大地にしばし見とれる。
富士見岩からは雪に覆われながらも明るい春の光を受けて輝く大黒岩や鎌ケ岳が眩しい。もうそこには冬のイメージはなかった。
欄干のギボウシを連想して遊歩道柵の雪をピッケルで削る。
四日市から見る鎌ケ岳は丸く、丁度内裏様の烏帽子のようだがここからの鎌ケ岳は尖って鋭く格好いい。


ケルンで除雪車が来て、その左横を急いで通る。人口の氷ばくは蒼いが融け始めている。
アゼリアからの道ではまだ雪が端のくいの上までしっかりある。ななめの雪原はここが道とはわからないほど。
厳しい冬を乗り越えた木々の芽は赤く膨らんで、次の季節を待ちわびている。そんな息吹を感じながら歩いて行くと望湖台手前に又雪の尾根が出来ている。「わーすごい。」
ここはどこだろうと思うような白い尾根が続いている。今年はこの美しい雪庇を知って感動だった。今しか見れない。春にはもうない尾根。又歩けるとは思っていなかったのでおおはしゃぎ。
誰も行っていない。嵌まり込んだりガリガリに凍っていたり面白い。
山頂からは周りの山が樹氷で真白の峰になっている。雨乞山頂が一段と白い。仙ケ岳の西峰も白い。その手前の丸いのが屈指路岳。
下りにもう一度先ほどの雪の尾根を歩く。これをこのまま放って置いては悔いが残る。雪の上にいっぱい足跡をつける。気持ちいい。どこでも歩きで雪の中を記念碑まで行く。ここにも雪で出来た尾根。右に白い雨乞岳を眺めながら歩くと、とても広々として雄大で丸で北アルプスの峰を歩いている様。とても御在所岳にいるとは思えない。


笹の上の雪をどこでも行って遊歩道に出る。誰も行ってない遊歩道の雪は固くてしっかりしている。振り返ると望湖台が高く聳え、その左に先ほど落書きした雪の斜面。
左前方にレーダー。そのまま遊歩道を行くと雪の斜面がたびたび現われる。その都度わざわざ回り込んで歩く。
一本杉の辺りで小休止。風が全くあたらない。雪を踏んで固めてザックを置く。あたたかい春の陽だまりで軽い食事。御岳神社からの尾根の樹氷を前方に見る。テルモスのお湯で紅茶をいれる。寒くて生姜湯で温まった冬とは大違い。今日のあたたかさは少々冷たいものが気持ちいいほど。確実に季節は巡って冬から春へ。
その後掘割道を行ってすぐ右の尾根に上がる。雪の時は尾根をよく見ると道がわかるそうだ。そこから尾根の左の雪庇を行く。抜け落ちないように、左により過ぎないように。前回二月より雪が多い感じで歩きやすい。
雪の中へ片足下ろしたらすぐ反対の足をあげるようにしてバランスを保つ。
面白いことに歩くと斜めの雪面に雪がコロコロ転がって行ってカタツムリの足跡になった。点々と・・・
峠手前まで来ると鎌ケ岳の北側斜面は雪がしっかりあるのがわかる。雨乞登山口あたりの峰の雪も美しかった。
峠から見上げると鎌ケ岳への上り道にはまだ雪庇があった。スカイラインもガードレールまでしっかり雪がある。三ツ口ダムは半分ほど氷が融けて深い緑の水を湛えていた。

山の家でアセビの赤く小さい蕾を見つけた。タラの芽も膨らんで山のあちこちにどことなく春の気配がする。
そんな春の息吹を感じながらも雪まだいっぱいの今日の御在所岳だった。
来週、雪まだあるかな?融けるかな?



帰り、菰野の庁舎から見るとまだ雪化粧のままの御在所岳が蒼く高く美しかった。そして春めく光の中で輝いていた。

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