御在所岳
    1212m
(三重)


2005年7月30日 くもりのちはれのち雷雨

旧料金所P7:00〜(中道)〜朝陽台9:05〜望湖台(9:40〜10:30)〜(地獄谷)ナメ滝11:05〜上水晶谷出合11:15〜(上水晶谷)〜二つ岩11:45〜コクイ谷出合(12:10〜12:25)〜(コクイ谷)〜黒谷出合13:00〜沢谷出合〜窯跡の平〜沢谷峠〜雨乞岳登山口P14:10



朝陽台辺りで暗赤紫色のシュロソウが咲いていた。ノギラン、オトギリソウ、ママコナ、ウツボグサなど。
ケルン手前でアサギマダラ。ずっと私の前を行く、ひらひらと。まるで私と遊ぶように笹に止まっては進んで行く。ヨツバヒヨドリの花にも二頭。
望湖台に行くと冠峰碑の前辺りでウグイス。人前には姿を現さないと思っていた。すぐ傍でそれも目の前で長い間さえずった。すぐ下を人が通っても平気だった。
ホトトギスから托卵された雛はもう育ったのだろうか。ホトトギスも体温が低すぎて自分では雛を孵せないとか。鳥もいろんな宿命を背負って生きているんだな。
澄んだ声がどことなく悲しそうにも聞こえいつまでも耳に残った。
生き生きしているイブキ笹の彼方には少し霞んだ鎌ケ岳や御岳神社。馬酔木には実が付いている。


望湖台からの雨乞岳も霞んでいる。谷風が冷たく気持ちいい。
ここで軽く食事をしているとUさん。
今日は赤岳に行く予定を天候不順だから取りやめて、沢谷峠から御岳神社に出る県界尾根から来たとか。
ここは七合目あたりから踏み跡もなくやぶこぎ。アブや蜂みたいな虫が多くて大変だったらしい。

ずっと谷風にあたっていたら寒くなってきた。もう一枚Tシャツを着る。真夏に寒いなんて・・・


予報では午後から雷とか。でも晴れたのでコクイ谷へ行く。ここは三回目。
地獄谷はやはりヌルヌルした感じ。上水晶谷は何度見ても綺麗。水に濡れた青い玄武岩が美しい。ふた筋の滝、丸い二つ岩から左折。
巨木が空いっぱいに緑の葉をつけている。美しい。その木々の間を吹き抜ける風もそよそよと気持ちいい。
緑のシャワーを浴び、谷のせせらぎを聞きながら歩くとまったく別天地。愛知川周辺を何かの本に「鈴鹿の上高地」と紹介されているらしいけど今日はそれもうなずける。
この辺りでミヤマカラスアゲハ。夏に良く愛知川で見る蝶。10センチほどの大きい羽。真っ黒で紫に見えたり濃いグリーンに見えたりする。

樹間から青空も見えてきた。コクイ谷出合はもうすぐ。
川の淵に明るい茶色の毛の動物?鹿らしい。川で涼をとっていたのか、食事中だったのか?「ケーン」と三回ほど鳴いて消えた。
それは「来たら駄目」と言っているようだった。
動物達の生活場所に人間が勝手に入り込んで行くんだから迷惑だよね。邪魔してごめんね。
出合は水が少なくトンボも数匹。



コクイ谷を歩く。川原の石の上をピョンピョン飛んで行く。楽しい。
一箇所だけ右に高まく。あとは川の中。
ちょっと空が暗くなってきた。ここでポツポツ雨が当たってきた。傘を出す。
黒谷出合辺りで本降り。辺りは暗くなってちょっとパニック状態。急ぎ足になる。さっきの青空はどこへ行ったの?急に気持ちがへこんでしまう。
沢谷峠を過ぎて窯跡の平へ出るのがすごく長く感じた。
もう通り過ぎて雨乞岳の方へ入ってしまったんじゃないかと不安になる。「ここでビバーグなんてことになったら・・・」とか色んなことを考えてしまう。
遠くで雷もゴロゴロ。やっと平が見えて来た。「ああよかった。」ここまで来れば大丈夫。足元が濡れるのでスパッツをつける。
雨乞岳から青いカッパの若者がささっと追い越して行った。心細い時に人に会うとほっとする。



その後少し空が明るくなって雨も小降りになった。通り雨だった。
沢谷峠で御在所岳への県界尾根ルートを見上げる。しっかりした赤テープがあった。
反対側に雨乞岳へのルートもある。こちらは東雨乞岳に出るらしい。
武平峠に出た。いつの間にか雨もあがって青空ものぞいている。
夏は天気が急変するから油断できない。さっきの通り雨がアルプスだったらと思うとやはり怖かった。



2005年7月31日 くもりときどきはれのち雷雨

旧料金所P7:00〜(本谷)〜朝陽台9:10〜国見峠9:20〜大岩(9:40〜10:25)〜(上水晶谷)〜上水晶谷出合10:40〜(地獄谷)〜なめ滝10:48〜望湖台11:30〜大黒岩12:00〜(一の谷)〜鷹見岩12:25〜P13:10


本谷は蒸し暑い。風が通らない。不動滝も大黒滝もほとんど水がない。
先週のシモツケソウは終わりかけ。少し色あせていた。
冬に大きいツララができる岩場は薄緑の美しい苔で被われていた。水をたっぷり含んでみずみずしい。
よく見るとその中にモウセンゴケのような丸い形の植物。それに小さい白い花。小さすぎてうまく撮れなかった。
初めて見る不思議な植物。



鉄塔の方に右折れして行くと笹が生き生きしている。御在所岳の笹は元気。背後に大黒岩が霧の中に浮かんでいる。ジャンダルムみたい。
ロ−プウエイ終点右側、覆いかぶさった笹をかき分け進む。朝陽台にミヤマウツボ草。
ケルン辺りのアジサイが綺麗。濃いピンクが鮮やか。



国見峠から上水晶谷へ。ここも笹が覆いかぶさっている。又手でかき分け進む。すぐ、スキー場を左手に見上げる所に出た。少し先の上水晶への道に大きい岩。
左に小さいクラック。そこに左足をかけ上がる。
少し傾斜のある平らな岩。どうぞ休んでくださいと言わんばかりの形体。
そこに座ると正面に佐目峠、イブネ、クラシなどがのぞめる。両サイドには御在所岳と国見岳。静か。


霧が東から流れ、国見の山頂辺りが見え隠れする。美しくひんやりした大気を全身で感じる。
ヒグラシの大合唱が両サイドの国見岳からと御在所岳からステレオのように聞こえてくる。競い合ってるように。声を掛け合ってるように・・・
ヒグラシは23度から24度で鳴くらしい。それ以上高くても低くても鳴かないそうだ。鳴き声で温度がわかるなんて便利。
ここはなんて静かで落ち着いた空間なんだろう。夏の御在所岳と国見岳を独占できる。いい気分。

谷を上水晶谷出合まで降りる。すべりやすいので谷右側を歩く。出合から左に地獄谷へ。
岩がヌルヌルして歩きにくい。何度も滑ったり水に嵌ったりする。
ここの下りは一気に駆け下りるので楽だけど、上りは結構きつい。
最後は沢を詰めて望湖台へ。風が爽やか。気持ちいい。
気温23度。谷から一斉にヒグラシの声。よりいっそう爽やか。汗をかかなきゃこの爽快感は味わえないよね。
センター前にはトンボ調べの子供たち。一の谷新道を降りる。


大黒岩へ寄り道。テラスに立つ。朝よりガスが空いていい。
ミズナラにドングリ。よく見なければわからないほどの小さい実。自然界はすごいな。もうちゃんと秋の準備をしているもの。


鷹見岩。
狭いチムニー。手や背中など押し付けて上がる。
「怖い怖い。」といいながら。岩はざらざらしている。
地蔵岩とちがってフリクションが効く。一番上には怖くて立てない。しゃがみこむ。一段下に足をおろし立つ。
「何にも考えないでいよう。考えると怖いから。」
鷹見岩って、鷹が翼を休めているような姿をいつも遠くからぼんやり見ていた。富士見岩あたりから見下ろしていた。じっと見た事もなく遠い存在だった。
自分がその岩に登るとは考えたこともなかった。今、その翼にいる。

降りるのも怖い。そのまま後ろ向きに足を下ろす。チムニーに背中や足を押し付けて降りる。登るよりは楽。回り込んで綱には頼らず、岩だけ持って後ろ向きに下りる。
「ふー。」降りた。怖かったけどあの岩のザラザラ感が気持ちよかった。何度か登るとあの上で立てるかな?
怖かったのに、もう次に上ることを考えている自分が可笑しい。
余り登りたい人もいないだろうに・・・

雷が遠くでゴロゴロ。少し空が暗くなってきた。又降り出すのかな?
昨日の事があるのでつい急ぎ足になる。一の谷新道は傾斜が急なので慎重に降りる。
駐車場に戻るとポツポツ雨が・・・
その後大降りに。

気がつけば今日の格闘痕が腕のあちこちに。内出血、引っかき傷がひりひりする。Tシャツはぼろぼろひきつれた。そして背中に岩のザラザラ感が残っている。時が経っても背中で岩を感じるなんてすごい。体で覚えるってこういうことかな?

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