藤内沢(御在所岳)
    1212m
(三重)


2006年1月2日 くもり

温泉最奥P7:45〜(本谷)〜大黒尾根9:45〜ギャラリー(10:00〜10:30)〜朝陽台〜(藤内沢)〜P13:00


朝、長石谷登山口で降りてくる車と対向する。見ればTさん。「道路脇に雪が多いので帰り対向できないと困る。車をゲートにおいて裏道から望湖台へ行く。」とのこと。
我々はOさんと本谷へ。
今朝の新雪で薄化粧が美しい。本谷の雪は少し締まっている。新雪はわずか。大黒滝は蒼いツララの塊が落ちていた。
ここでちょっと濁った鳥の声。「カケスです。」とOさん。もうすごい。鳥のことなら何でもわかる。カラスの仲間とか。確か春だったか峠道で見た事がある。鳩くらいの大きさで羽の一部が濃い瑠璃色の綺麗な鳥と思ったけど・・・。
雪で埋もれたV字谷を行く。一番上の岩で雪が年末より融けて足場が低くなった。上がれないかな?ここが本日の核心部。ピッケルをこのスラブ岩の雪に刺して後から押し上げてもらう。夫は右奥の岩にピッケルをかけた。Oさん、ザイルを持ってあがる。
見上げると岩の間から木が・・・。その逞しさに心打たれる。
三角岩上は吹き溜まりで深い雪。ここからは丸で八ヶ岳文三郎尾根。
Oさんがラッセル。若いから速いしパワーが違う。
雪が降り出しそうで空が暗い。直登してそのまま大黒尾根へ。ガスった本谷を見下ろしながら行くこの尾根の登りはやはり快敵だ。気持ちいい。
ギャラリーでパンと紅茶で軽く食事。


下りはアイゼンをつけ藤内沢を降りることにする。ガスがあいて空が明るくなった。雪化粧の前尾根と国見岳がこの上なく美しい。三ルンゼ鋸岩の氷も半分ほど青くなった。
ぬるぬる岩(勝手につけた名前、夏はぬるぬるしている。)はいつも雪面が丸くなっているのに今日は平らな雪原。そこには岩など何もないように見える。こんなに多い雪ははじめて。数年しか知らないけど・・・。
ここの雪は結構締まって固い。アイゼンのかかとを利かせて降りる。ヘッピリ腰にならないよう腰を伸ばす。
前を向いて手を振って近衛兵の行進気分。膝とかかとに全体重をかける。ちょっと出来るようになった。
去年大泣きした宝剣岳から千畳敷への垂直雪壁を思い出す。やはりこんな緩やかな傾斜ではなかったもん。
慣れればアイゼンがさくさくと雪面に刺さる感触が気持ちいい。



二ルンゼ奥又の氷を見に行く。半分ほど蒼い氷ができている。ここから見るツルムが好き。逞しくて孤独感があって・・・。薄化粧して綺麗。
マイナスの滝も半分ほど凍っている。
夏には通れない滝下の雪をそのまま乗り越す。ここでよく日向小屋で見かけるいかにも岳人という風貌の方々とすれ違う。氷を見に来たとか。


ここから、下のコオモリ滝までの急斜面を前の二人は滑り降りた。藤内滝の上まで。
「トレースを崩してはいけないよ。」私はそのままかかとを使って急斜面を降りる練習。「でも、やっぱり少しやりたいな。」と中ほどから滑り降りる。
狭い岩の間を降りる時はクライムダウンで慎重に。ここは以前こんな雪の時私が落ちたところだから余計に慎重になる。
樹林を抜け出て一壁取り付き辺りから沢を一気に滑り降りる。滑り過ぎず爽快。



振り返れば、雪を被って真っ白なバットレス、蒼く輝く中又の氷、まさに厳冬期の藤内壁がそこにあった。
裏道から中道に抜ける途中、小さい鳥が枝先を飛び回っている。それは「ヒガラ」だった。鳥の中でカラ類は小柄だそうだ。
駐車場に戻るとしばらくしてTさん。裏道から望湖台に行って武平峠に降りたそうだ。峠から望湖台のあの雪原を楽しまれたようだ。
私も歩いてみたいなあの雪の上。行ったことないもん。雪に四苦八苦した後、あの雪庇尾根に立てたら最高だろうね。
きっと「雪山登頂成功」気分だよね。





2006年1月3日 くもり時々小雪

温泉最奥P7:00〜(本谷)〜大黒尾根9:00〜ギャラリー〜(藤内沢)〜籐内小屋(もちつき)〜P13:00

大黒滝あたりから小雪。新雪は少ない。今日もV字谷を行く。核心部の雪がさらに融けて昨日のように上がれない。
「そうだ夏に使うロープがある。」と思い出し、左岩へ上がる。あった。それを持って雪のついた岩の上を歩く。
三角岩からもサラサラ粉雪。昨日の自分達のトレースをピッケルで探りながら行く。さすがにはまり込まなくて昨日より楽。気持ちいいラッセルで大黒尾根へ。尾根に着いたというこの達成感がいい。「やったー。」最高だ。何度歩いてもこの尾根は爽快だ。


気温マイナス7度。風速6〜8mとロープウエイの掲示板。ギャラリーで軽く食事。
藤内の降り口あたりの雪はさらさら。雪崩が怖く慎重に行く。三ルンゼ鋸岩の下に行くと氷がぐんと大きくなっていた。下から氷を上りに来た二人。その後に新しく買ったバイルを持ったIさんも。
風が冷たい。行動中はいいけど止まると体が冷える。朝からの雪で薄化粧した前尾根がまるで墨絵のよう。綺麗。
急傾斜では八ヶ岳のような雪質をかかとで降りる。気持ちいい。降り続く細かい霰が、雪面を川のようにサラサラと流れる。こちらも綺麗。これってもしかして小規模雪崩?
奥又の滝には寄らず枯れ木のあるガレを降りる。いつも左の尾根を行くのでここは何時から来ていないのだろう。前はここを良く通ったけど・・・。
その後のマイナス滝下は右寄りに行くと雪面が固くていい。時々登ってくる人がいる。トレースを崩してはいけないので今日はここを滑らない。


小雪が降り続いている。この辺りに登山者はいないので一壁取り付きから滑り降りる。これが今日の仕上げ。


出合でNさん等。Hさんも山は一ヶ月ぶりとか。本谷でも藤内沢でもいつもアイゼンなしの身軽なNさん。本当は今日、氷ばんばんの前壁ルンゼに行きたかったらしい。
小屋へ来ると餅つきをしていた。つきたてもちを頂く。(自分がするのは大変だけどすえぜんでいただくのは美味しい。)
国見尾根をスノーシューで上り下りしたという人がいた。「小屋からの直登が最高ですよ。」と明るい声。皆それぞれ自分の楽しめるルートがあるようだ。
中道に抜ける静かな道を歩いていると、突然岩陰からヤマドリが飛び立った。余りに大きい羽音にびっくり。尾が長く美しい茶色の羽を持った大きい鳥だった。

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