藤内沢
    1212m
(三重)


2006年2月12日 はれ

温泉最奥P7:00〜(藤内沢)〜朝陽台10:40〜(本谷)〜P12:30

先週帰りに駐車場でピッケルを忘れた夫。見つからなかったので新しいのを買う。ブラックダイアモンドベノム。軽い。
雪はさらさらしている。裏道へ抜ける。小屋前でダイヤモンドダスト。朝の光にキラキラ光る細かい雪。
ウサギの耳あたりで藤内壁を仰ぐ。霞んでいるが中又の氷が今季最高。青く大きい。沢出合でアイゼンをつける。雪はやはりさらさら細かい霰雪。歩くとひび割れる決まらない雪。雪崩を起こしそうな雪。


中又の氷を仰いで藤内滝下のツララから。上がって行くと先行者は滝上からフランケ下へは行かず、左の尾根に上がっている。そのトレースについて行く。コオモリ滝下に出た。
見上げるとマイナスの滝下にラッセル中の先行者。彼らのトレース跡の雪がひび割れている。ここは早く通過したい。
「ラッセルが大変だった。」。「有難く使わせてもらいました。」 今からこのマイナスの滝から奥又の滝へ抜けるとか。滝はしっかりした氷。
我々は右寄りに奥又の滝の見える岩目指して雪崩そうな斜面を上る。木登り状態で足下の雪は決まらない。柔らかい雪に苦労してやっとその岩に上がる。
奥叉の氷はしっかりついている。今日はツルムも凍えそう。前尾根も静寂の中にある。風がきつく吹き飛ばされそうなので早々に降りる。ここから沢へのラッセル。


締まらない雪なので足が不安定。二・三回踏んで固めて左壁にピッケルをしっかり刺す。手も雪壁をしっかりつかんで慎重に一歩一歩蟹歩き。このトラバースが今日の難関だった。
いつかこの斜面をそのまま登って行ったが今日のさらさら雪ではとても無理。雪斜面を右下に降りる感じで沢に出る。
山頂近くに行ったら固い雪になるかもと思っていたが細かい霰のような雪は全く変わらない。先行者が一人行っているようだがトレースになってない。
決まらない雪に遅々として進まないが早く通過したいので止まらずにラッセルして行く。やっとヌルヌル岩に到達。今日は先日のように直登できない。岩の上と思われる雪上を進む。
鋸岩手前に来ると蒼い氷に雪風が舞う。頬が痛い。雪嵐。舞い上がる雪の下には見事な氷壁。この風ではアイスクライミングも難しいのか誰もいない。


林の中を直登して大岩寄りに行く。遊歩道に出ようとすると雪が舞ってそこに陽が射してきた。
樹氷と雪面と舞い上げる雪と木立の陰が目に飛び込んできた。彼方に青空。美しい。しばし白とブルーの世界に引き込まれる。夢心地。


朝陽台の樹氷も青空に映えて綺麗。観光客や撮影会で写真を撮る人が多い。屋根付き休憩所で軽く食事。
T内さん。久しぶり。本谷から。「トラバースが危ないので尾根から。」 そのまま朝陽台から降りるつもりだったが我々も大黒尾根に回ることにする。
人工の氷ばくから上がる。尾根には太陽がさんさんと注いで光が満ち溢れている。暖かくて日当たりがよくてずーっとここにいたい気分。ここに藤内の風はなかった。
本谷へはトレースがしっかり付いている。今日の決まらない雪のラッセルは藤内沢と同じで大変だったろう。
本谷の雪はさらさらしているが藤内沢のような霰ではない。少し重く気持ちいい雪。トレースをはずしてはしゃぐ。
くぐり岩横の岩場は雪の階段。そして雪深いV字谷へ。今年は何度もこの谷を通るけど、そう経験できることではないだろう。ここは日当たりがいいのにベタベタしていない。降りやすい雪。滝上はクライムダウンでピッケルをしっかり使って降りる。



大黒滝は見事な氷をつけていた。光がツララをより輝やかせている。一年中で今一番美しい。下の方は雪を被っているが、それは大雪の今年ならではのこと・・・。その白く清い姿に心あらわれる。


藤内沢の氷ばくから本谷大黒滝の氷ばくまで、御在所岳の綺麗な氷に出会えて幸せ。
今日の出会いに感謝しながら雪に埋もれた白い谷を降りる。あちこちの岩の雪上に足跡が点々と。誰もが子供にかえってはしゃいでいる。「雪って楽しい。」足跡がそういっている。
雪は山の家に降りてもしっかりしたままで変わらなかった。ベタベタしない。
駐車場に戻って山を仰ぐと青空にきりっとした雪化粧姿。御在所岳は降り注ぐ陽光に輝いてただ悠然と凛々しく聳えるばかりだった。


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