御在所岳
    1212m
(三重)


2006年2月18日 快晴

温泉最奥P7:20〜(中道)〜朝陽台〜望湖台〜(中道)〜P13:00

駐車場に五・六台。ガードレール傍にテント。
雪は先週の暖かさで融けはじめた。おばれ岩あたりまで何もない。その上で少し。岩棚にもない。
雪のない登山道を歩くと何か物足りないような、大切な物を無くした様な気分になる。忘れ物をしたような・・・。
地蔵岩手前で出てきた雪は残雪という感じ。立ち岩あたりでも踏まれた硬い雪。ガレもほとんど消えた。キレット下で少し残っている。勿論キレットに雪はない。その上でやっとしっかりした雪が出てきた。
凹各部下。左からの夏道に踏み跡。凹各部は足もとの固い雪から左へ。右岩の上は凍っていたので滑り落ちないように慎重に。キレットの見える岩に久しぶりに乗る。


そこからも残雪。テラス手前の斜面も雪庇ができる岩も固い雪。一回で片足に乗るように意識して歩く。
富士見岩下で山頂の樹氷が目に入る。手前のクサリ場は凍っている。ここでアイゼンをつける。もう手は冷たくないので楽。風も心地いい。
上のクサリ場や富士見尾根下はガチガチに凍って固い雪。テラスに行かず躑躅林を直登。
嵌まり込まない固い雪に歓声をあげる。「わー最高。」締まった雪面にアイゼンが刺さる感触が気持ちいい。登山道を離れピッケルのピックを刺して躑躅の尾根を上がる。アイゼンの前爪を蹴りこんで。
そのまま行けば富士見岩まで行けるけど中ほどで登山道に戻る。道に降りると木に付いた氷が朝日に光っている。綺麗。霧氷じゃない「こおり霧氷」。
ガレ右横を登る。ここの硬い雪も丸で岩。そのまま富士見尾根に。樹氷越しに見おろす湯の山が綺麗。釈迦岳、国見岳山頂に薄く樹氷。その淡さがはかなさをかもし出している。今にも消え入りそうで・・・。
富士見岩で先日一緒に中道を登ったカメラマンに会う。先週は鎌ケ岳、その前三ルンゼだったとか・・・。私と行動パターンがよく似ている。雪山や雪にも詳しい方だった。


朝陽台。
青と言うより紺色に近い空に白い樹氷が映えて眩いばかりの御在所岳山頂。


「今季最後の樹氷かな?」余りに美しいのでしっかり見ておこうと望湖台へ向う。御在所岳北面はもこもこして大きい。国見峠への裏道も白く美しい。
スキー場の上部斜面の雪が消え、人工の氷爆はすっかり融けてしまった。




望湖台手前に来ると国見岳山頂と御在所岳藤内側の樹氷が淡く美しい。立ち止まってしばらく見とれる。
望湖台。
鎌ケ岳手前の尾根、御岳神社、上水晶谷の尾根、この山頂と樹氷が今季最高。


ここから記念碑前へ、さらに記念碑から東屋への斜面を駆け下りる。もう一面の雪はない。笹が起きだしている。起きてない所を選んで歩く・・・。
東屋手前の尾根に雪が多くて遊歩道の柵を超えている。
御嶽神社と鎌ケ岳を前に樹氷林を見下ろしてこの尾根の雪上で軽く食事。パン二個。紅茶。「この広大さがいい。」と一人悦に入る。
降り注ぐ光が明るい。風も爽やか。雪はあっても春の気配。
あの厳寒の風情はもうどこにもない。冬は終わった。なんとなく淋しい気分になる。
手がかじかんで指先が痛くて、頬がピリピリする感覚はもう味わえない。
雪泳ぎしたふわふわ雪もコクイ谷を駆け下りた固く締まった雪ももうない。夢のように通り過ぎてしまった冬・・・。暖かい春がすぐそこに巡って来ている。


帰り遊歩道で樹氷林の写真を撮る人に会う。「見て。」と声をかけられカメラを覗く。雪面が陽光にキラキラ輝いている。赤、青、黄、紫、緑・・・。雪の結晶が虹のように光を放っている。
樹木と雪原と光が作る世界。こんな綺麗な写真いいな。「デジカメでも撮れるかな?」残念ながら私のデジカメではあの輝きは撮れなかった。あの人はいい写真が撮れたかな?



富士見岩で群青色の空と樹氷に魅せられて写真を撮っているとMさん夫妻。「明日は御嶽山。」と話すと「登りはスノーシュー、下りはアイゼンがいいよ。」と教えてくれた。
富士見尾根からガレを下る。ここはしっかりピッケルを刺してクライムダウンで。
駐車場に降りて山を仰ぐと山頂の樹氷は融けずにそのまま白く輝いていた。陽射しは春のように暖かなのに気温は氷点下なのだろうか?
明るい柔らかな陽射しに巡り来る「春」を感じ、今季最後かなと思われる樹氷に冬の終わりを告げられた。御在所岳は雪融けの季節だった。


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