御在所岳
    1212m
(三重)


2006年3月4日 はれ

温泉最奥P7:00〜朝陽台9:30〜望湖台10:00〜御岳神社10:30〜武平峠〜鎌ケ岳(12:25〜13:10)〜(長石谷)〜P14:50

朝、渡り鳥の群を見る。V字になって飛んで行った。
両ケ池で竜ヶ岳のモルゲンロート。藤原岳から釈迦ケ岳にかけてベールのような雲がまとわり付いている。美しい。
淡い樹氷と滝雲に包まれた釈迦岳に見とれながら御在所岳に向う。
駐車場から見上げると御在所岳山頂も樹氷に包まれている。
キレットまで来ると粉雪を振りかけたような釈迦岳が少しずつベールを脱ぎはじめた。楚々として初々しくていい。
松尾の頭が白く輝いている。左に吊り尾根のような尾根を伸ばしたところが山頂。手前三角に見えるのは猫岳。
よく見れば釈迦岳も鹿島槍ケ岳のような双耳峰に見え格好いい。こんな美しい釈迦岳を見るのは初めて・・・。感動する。
国見岳もヤシオ尾根も南面が真っ白。その薄化粧がなんともいえない。
富士見尾根下の岩場で樹氷が朝日に輝く。七色の虹のよう。綺麗なのに写真には撮れなかった・・・。
テラス上の木々は幹も枝も凍っている。透明の氷におおわれた枝先や幹が光っている。



富士見岩手前のガレを中ほどまでアイゼンなしで行く。そこから凍っているので左へ迂回。アイゼンつけて上りたかったよ。あの氷・・・。
岩からは周囲の山の淡い樹氷が美しい。釈迦岳のベールがはがれ、竜ヶ岳、藤原岳も姿を現した。目の覚めるような群青色の空が眩しい。

以前教えてもらった接写のコツ。撮りたい物の後ろに掌を置くというやり方で撮ってみる。手をのけて撮りたいものと手の距離だけもとの位置からカメラを離す。やってみたら樹氷が綺麗。うまくいった。

朝陽台。樹氷に雪も付いて見事。
林の硬い雪を歩いてケルン辺りへ。そり遊び広場の雪質が違う。人工雪?雪山がまだあった。圧雪車が雪を整えているが人っ子一人いなくてとても静か。

望湖台の階段手前から左へ。
ここの樹氷は朝陽台と違ってバラの棘の様に尖って付いている。雪面もいつもと違う。キラキラ度が高い。
よく見れば結晶一粒一粒が大きい。雪面が人工芝みたいにがさがさして粗いようにも見える。掌にすくってみると尖がった結晶の一つ一つの模様までもがよくわかる。こんな大きい雪の結晶はじめて見た。


雪庇尾根を望湖台へ。
杉峠の頭とイブネの間に低く白く見える広場がある。その雪原が佐目峠。たしか夏に枯れた竹があったところ。雪があると山の表情までもよくわかるようだ。
地獄谷尾根の一本杉が孤独で何か語りかけそう・・・。
山頂の標識に氷とエビノシッポが付いている。触ると氷はもろいのにエビノシッポは取ろうとしても取れずとても硬い。



記念碑前から振り返ると先ほどまでいた望湖台が美しい。左手尾根から降りてそのまま雪原を歩き林を御岳神社へ。
起きだした緑の笹が、樹氷に包まれた三角点、雨量レーダーを引き立ててどことなく春色。雪と樹氷と笹と青空と・・・。ここから見る御在所岳はとても新鮮だった。
御岳神社からの尾根の雪も随分融けて土も現れた。掘割道を左に回りこんで広場に出ると木に付いた氷が朝日にキラキラ輝いている。
そんな光を撮る時はマニュアルで露出補正をマイナス1にする。辺りが暗くなって光っている氷が鮮やかになった。
写真を撮っていると何か動いたかのように見えた。木の幹とその氷の間を融けた氷水が流れたのだった。
丁度ストローの中が透けるように水が落ちるのがわかる。氷の中で水が生きているように見えてとても不思議。


峠道から振り返ると御岳神社南面の樹氷が見事。登山道の雪は随分融け所々に残雪。あっという間に天指し岩、峠谷の岩、武平峠。
展望台手前の雪壁は二段になっていた。先週ザラメ雪で楽だったのに今日は氷の上に新雪5cm。アイゼンをつけていないので傾斜が急な下段は無理と上段に上がる。下段より雪が柔らかく蹴って歩けた。
鎌ケ岳山頂手前。
凍った雪面にブレードでステップを作る。ノミで削ったような穴があく。ここに足を置く為できるだけ平らに削る。もう片側はピッケルを刺す。ステップに足を置いて雪壁を一歩ずつ登る。ブレードを使った事がなかったけどこんな風に使うのだと知った。
大岩に少し融けたエビのシッポ。直下の樹氷を見下ろす。綺麗。
御在所岳山頂の樹氷は微かに残っている。地獄谷尾根の樹氷もはっきりそれとわかる。その淡さが弥生三月らしくていい。
雪が融けて雨乞岳の雪形、三角オニギリの周囲の笹の緑がどんどん大きくなってきた。
東の大地は薄緑の春色に染まりはじめている。


鎌ケ岳山頂。
三ツ口から来たというD町のIさん夫妻。雪は融けて楽だったとか。先週はまだまだ大変だったのに・・・。
ここで樹氷が笹に落ちる音を聞く。数年前に初めて聞いて感動したあの音。しゃらしゃらと澄んだ音。氷と風と笹が奏でる音楽。
忘れていたのに思いがけず聞くことができて幸せ。聞きたいと思って聞ける音じゃないもの。心があらわれてとても爽やかな気分になる。
二月に見た東面の垂直雪壁はなく、笹が起き出していた。目の前には美しい樹氷に包まれた鎌尾根。
岳峠へ降りる雪斜面は硬くかかとで慎重に降りる。「滑ったらそのまま行き着くところまで滑る。」カズラ谷への分岐あたりにはまだ雪庇があるようだ。
峠から見上げるとガレ上や鎌ケ岳山頂への岩場にも樹氷・・・。ちょっと趣がある。
長石谷への降り口。
ここはすっかり雪が融けてがらがらした岩ばかり。雪泳ぎしたいつかのふわふわ雪はどこへ行ったのだろう。
谷に残っているのは硬い雪。しっかりかかとを利かす。


犬星の滝。氷が付いている。透き通った丸いビー球氷。いっぱいくっついたものを手ですくいあげようとすると一個ずつのビー玉になって掌からこぼれ落ちた。
自然が作り出した氷の宝石は白く柔らかな光を放って綺麗。氷に魅せられて時の経つのも忘れてしまっていた。


駐車場に戻って午後の御在所岳を見上げる。山頂の樹氷はまだ融けずに白く美しいままだった。


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