御在所岳
     1212m
(三重)


2006年6月24日 快晴

旧料金所P7:00〜藤内小屋テストストン〜ウサギの耳8:00〜(藤内沢)〜前尾根下テストストン8:40〜(後尾根)〜(中道)〜朝陽台10:30〜望湖台(11:20〜11:40)〜(中道)〜P13:30

ササユリは咲いたかな?
今日は曇りの予報だったけど快晴。気温は上がりそうだが湿度は低くカラッとしてとても気持ちいい。


藤内小屋テストストン。
やはり一番上でザイルを持ってしまう。あるから頼る。ちょっとでも怖いと思うと体が硬くなる。持っても「安心」の為だけにして頼りすぎないように。数回練習。
そのテストストン前に今日初めてのササユリ。コアジサイと共に。小屋の裏にも白くて大きいの。これはヤマユリ?
花はツクバネソウに似て地味。葉が車葉で丸く綺麗に並んでいるクルマバツクバネソウ。花より葉が魅力的。
ウサギの耳手前。ここのササユリは淡いピンクで可愛い。ここからバットレスを仰いでウサギの耳に行く。
三回目。今日は風がなく岩に登れた。右手に前尾根から藤内壁、富士見岩もくっきり。左手には立岩やとりで岩までも。見事な御在所岳の大岩壁。迫力満点。
もうずっとここにいたい気分になる。



藤内沢。
久しぶり。大岩の右岩上部から。
テストストンは左端。岩が乾いて気持ちいい。ここにザイルはないから頼らない。というか頼れない。だから片足にしっかり乗る。ここは慣れて結構好きになっている。
冬に氷が出来て雪斜面の上り下り練習する所から一壁下へ。黒くヌルヌルした苔が気持ち悪いし滑りそうで慎重に登る。ここは冬しか入らなかったので夏はこうなっていると知る。
一壁下へ。
前尾根やバットレスが圧巻。今日は空気が澄んで山端がくっきり鮮明。バットレスには二人取り付いている。
一壁を見上げているとKさんら。クライミングスクールも今日は若い方が多い。我々は左から巻いて一壁の上へ。



その後、前の二人は左の岩を上がって行った。その岩は今まで行った事がない。その先のクラックも何となく怖い。
やはり私はいつものようにバットレスの前まで降りてそこから後尾根のルンゼを登ることにする。このルンゼから中道へ抜ける事ができるそうだが・・・。
上り下りしながら、迫力の中俣を見上げる。ほとんど垂直の壁だ。
こんなところに?と思うような岩の隙間に米躑躅。小さい木に小さいお米のような花。じっと見ていたいが余裕がない。早く上に行かなくては・・・。
頭上にある大岩を天井のように仰ぐテラスを横目にやや左に反れて上って行くと二人の居る岩に辿り着いた。
彼らがどうやって来たのかを見に行くが上からでは岩の様子がよくわからなかった。今、一壁の上にいるとはとても思えない。信じられない。

そこからは一緒に。
頭上には大きいチョックストンが二つ。こんなのが落ちてきたらつぶされる。早く左に抜けなくちゃ。
最初の岩。
ザックを体の前に背負ったがあごが邪魔で旨く出来ず、チムニーのように背中のザックを岩に押し付けて必死で抜ける。
次の難関は?
見れば左の岩に細引きがある。それを頼りにやっと危険箇所を通過。見晴らしのいい岩に出た。すでにその岩からはバットレスの二人もツルム横のモンキーフエースも足元に。
何時の間にこんな高い所へ来たんだろう。ルンゼを見下ろせばほとんど垂直。勿論一壁もはるか下。
「ここを登ったの?」テラスのような岩でしばし感動する。


見上げればすぐそこがもう稜線(中道)のように思える。砂ザレを越えて上の岩に登り、右に巻いて進む感じ。
微かに踏み跡があるが藪漕ぎ。笹の上は滑るので足もとに注意して進む。さらに岩が出て来て右に巻く。木の枝に足をかけたり笹につかまったりしながら、ほとんど木登り状態で進むと明るい岩場に出た。
目の前には国見岳の揺るぎ岩。名もないこのテラスで小休止。Oさんはライターが見つからず(藪漕ぎで落としたのかな?)借り物でタバコに火をつけるがなかなかつかない。やっとついてやれやれといった表情。「足元の笹が滑って下まで落ちそうだった。」と言っている。
辺りを見回していると白い花?Oさんの双眼鏡で見るとそれは艶のある葉が陽に反射しているだけだった。この岩に太陽はさんさんと降り注いでいる。微かに爽やかな風が足元を吹き抜ける。
岩登りして途中のテラスで休むってこんな気分かな?私にとってここはまるで北岳バットレス。最高!
こんなところ来ようと思っても来れるもんじゃないよ。
以前は岩登りする人だけが通ったようだが、今ではほとんどここを抜ける人はいない。
休憩岩を右から巻いてジグザグと進むと中道に。何処に出たのかな?上のテラスより少し上。トラ綱のやや上。以前の道とほとんど同じ所を歩けたようだ。
現実に戻って(さっきの道なき道歩きは夢の中のようで)通い慣れた中道の後半を歩く。クサリ場はガレから。
富士見岩。
本谷から数人。今日は天気がいいので大黒岩にも何人か。リュウモンチョウ数匹。羽を閉じると木の模様と同じ。こうやって身を守っているのだろう。開くとオレンジ色で蝶とわかる。
遊歩道でK君。彼も今日はコースを変えて三ツ口から。この炎天下、御在所岳への峠道が暑かったそうだ。「武平峠で会うかと思えば会わないし・・・。今日は何処へ?」と不思議がる。暑い時は木蔭の道なき道を歩くといい?
朝陽台。
ガラガラ声のセミ。先週はいなかったが・・・。
センター前の広場。
今年初めて対面するアキアカネ。サラサに羽を休めている。
望湖台。
地獄谷からの風が心地いい。ひんやりしている。一番前の岩には先客が・・・。左前の岩に乗る。緑の谷には白いホオの木の花。
ここの谷からは先ほどのエゾハルゼミの大合唱。鳴き方がヒグラシに似るが高音ではない。低音。先週は聞けなかったセミの声が喧しいほどに。
その声に御在所岳の夏を感じる。
空を見上げればアキアカネがいっぱい。御岳神社手前の谷からどんどん登ってくる。知多方面からも飛んで来るらしい。
朝陽台では見なかったが御在所岳で望湖台が一番涼しい事を知っているのだろうか?それとも食べ物が多いのだろうか?きっとトンボにとって一番居心地がいいのだろう。
遠くからひたすら望湖台目指して飛んでくる姿を思うとちょっと感動する。
虫たちは夏至を過ぎて夏本番をちゃんと知っていた・・・。私だけ気づくのが遅い・・・。
ここ望湖台は夏の御在所岳の特別席だった。爽やかな風と乾いた岩に昼寝でもしたい気分。
ケルンではアサギマダラ。

ガレのササユリは咲いたかな?中道を降りる。
キレットでオオルリ。
北谷側の枯れ木で綺麗なさえずり。紺色の背が美しい。鳴き声の最後に「ジジジ」。
鶯、コマドリ、オオルリを日本三名鳥というらしい。さえずりが最も美しい鳥。
キレット下のササユリ。少し咲きかけで淡いピンク。可愛い。
ザレ場。
コアジサイが咲き乱れている。
そしてササユリも。辺りに立ち込めている香りですぐ咲いているのがわかる。
岩棚。
白い鉄塔が見える岩に座る。岩が熱い。それが気持ちいい。いつも通過しているこの岩もやはり特別席。一の谷からの風も心地いい。なぜかここにトンボはいない。セミの声もない。


前半、藤内の壁を越える岩稜歩き。さらに中道への道なき道を歩く冒険。それは予期せぬ展開で・・・。
後半にはアサギマダラ、アキアカネ、エゾハルゼミ、そしてササユリ。
丸で夏の御在岳の魅力の何もかもが今日一日に凝縮されたような日だった。

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