御在所

        1212m (三重)
GOZAISYO

2008年2月24日 雪

ログハウス下のカーブP7:15〜(中道)〜富士見岩下のガレ12:00〜(中道)〜P13:30

朝、家を出る時、既に雪が降っている。積雪5cm。いなべの道路は真っ白で雰囲気はせせらぎ街道。菰野町まで来ると雪煙が舞いホワイトアウトになった。まったく前方が見えない。車も飛ばされそうな強風。グリーンホテル前辺りで積雪10cm。

車はなんとか長石谷入り口まで滑りながら登ったが、帰りを考えログハウス下まで戻る。駐車した途端に木の枝からどっと雪が車に落ちて来てここでもホワイトアウト?気分はすっかり引いてしまっている。
このあたりの道路の新雪は20cm。

駐車場へ上がる。前日から駐車したらしい二台が雪に埋もれている。
スカイラインには新雪30cm。サクサクした片栗粉雪を踏みながら、吹きだまりの綺麗な雪庇にも見とれながら進む。
おばれ岩の上、岩棚下、上、地蔵岩、ガレ手前など次々新雪斜面が続く。膝くらいなのでスイスイと楽しい。元気だったのはこの辺りまで!
ガレを越えてからキレットまでが雪庇の連続。北風がきつい。普通に歩けない。吹き飛ばされるのでしゃがむか木につかまるかする。これで風速どのくらいだろう。立っていられないから風速20mくらいかな?
キレットの岩場に立ち止まることすらできない。足早に行くにも、右の岩場は危険なので左手の鎖場から。
樹林帯に入ると雪は腰から胸まである。さくさく雪に埋もれそう。雪をかきわけてやっとはしご下へ。

凹角部。
下部の岩がほとんど埋もれている。無雪期に良く乗る小さいスタンスが雪面から直ぐ目の前。雪があるとこんなになる。乗ってみるとうまく上がれた。
そこからの硬い片栗粉雪も膝で押して進む。数メートル先のコブシ蕾下へも一苦労。旧道三叉路別れ道まで硬くてはまりこむ雪にちっとも前に進まない。そうかと思えば風の通り道で雪がまったくない所もある。そこは今までの雪の深さがうそみたいに楽・・・。
下のテラス手前も太ももくらいまであるので雪面を突っ切る感じで踏ん張って歩く。
ピッケルで新雪の下のトレースをさぐりながら歩くと割合うまく歩けた。でも多い所ではピッケルを刺してもトレースが見つからない。仕方なくここだろうと思う所を進むがめちゃくちゃ深くはまる。

テラス。
より雪が少ないと思われる岩棚の中ほどを通って腰までの雪庇を越える。
ここからの掘割道の雪が多い。片栗粉雪は深い所は胸まで。相変わらずピッケルでトレースを探りながら進む。トレースが見つかった所は気持ちよく雪に乗る。
身動きできない所は左手尾根に上って數こぎ。しばらくしてまた掘割へ。やっとシャクナゲの木辺りへ到着。雪はどんどん深く硬くなる。


ここから富士見尾根の岩が大きく張り出した右カーブ地点までサックリ雪に膝で押しては踏んで一歩進める。気持ちがいいさくっとした固さ。でもさっさと進めない・・・。
やっと富士見岩末端の目地が見えてホッとする。
直前は、掘割道横尾根の木の根などにしがみつきながら深雪にもがく。やっとここまで来た・・・。

富士見岩下の岩場。
強風の寒さに耐えられずスキーマスクとネックウォーマーをつける。
見下ろすと大地は真っ白。霞んではっきりとはわからないが・・・。
鎖にピッケルの先をかけたりして降る。
上のテラス直前、檜も雪に埋もれている。雪の壁を先ず崩さなければならないから、次の一歩を作るのにめちゃくちゃ時間がかかる。数メートル進むのにこんなに大変だった経験は今までないことだ。

やっと上のテラスに到着。
大雪と強風はこの先なお険しい世界を繰り広げる。いつもの中道はどこかに消えてしまっているのだ。
ピッケルでさっくり雪を手前にどけて、膝で押す。靴で踏む。雪が深すぎるので、その雪の足跡にもう一回雪を入れて、踏む。それでやっと一歩ができる。
通り過ぎてから足でもう一度足跡に足を手のように使って淵の雪を入れる。いつか先生がしていたようにやってみる。そうすると足の位置が少し高くなって次の作業が楽になる。雪が深いとこんなラッセルをしなければならないことを知る。ガリガリに凍った雪ならその上をアイゼン効かして歩けるのに・・・。

後尾根から登った地点。
横殴りの北風がますます強まる。ビュービュー吹き荒れている。藤内沢へ滑落しないように木につかまりながら固い雪を蹴りこんで歩く。

先週直登したガレ下部。
雪に阻まれて身動きできない。左の尾根沿いに進んで鎖場へ。やっとガレの上に出た。まったく大雪だ。私が知るなかで(わずか数年だけど)最も多いと思う。
富士見岩へ直登しようにも身動きできない。肩を越えて頭くらいまでの雪。
普通にはしごへの登山道へと雪を掘るが深すぎてこちらもにっちもさっちもいかない。私の身長をはるかに越えている。足の下のも含むと2m近くあるのでは?既に行動時間は5時間近くになる。
「ここで休もう。」と言っているが少し前から手足の指先に感覚がない私は凍傷になりそう。手の中のカイロも何の役にも立たない。ただ寒くて冷たくて痛い。吹きさらしのこんな尾根でとても休む気がしないし・・・。「正月の八ヶ岳でもこんなに凍えたことがないよ。」

体力、気力の限界。
直ぐそこが富士見岩だけど、今日の山頂をここにしよう。そうと決まったら行動は早い。サックリ雪を駆け下る。めちゃくちゃ気持いい雪質。
降りてみて、御在所には珍しいきめ細かい滑らかな雪だったと知る。今日、御在所で白馬五竜の様な雪を味わえてラッキー!
  

凹角部。
上から「昨夜、藤内小屋に泊って裏道から来た。」と言う某山岳会。もう少し頑張れば道がつながった?

その後、下から登ってきた人は四人。スカイラインに戻ると朝のままのさくさく粉雪。ずっと冷え込んだままだったのかな?
某山岳会の人たちが車を雪から掘り起こしている。屋根の雪は40cmほど。
雪が余りにもさくさくして気持いいので広々した駐車場を駆け回る。「犬は喜び・・・。」みたい。足にまとわりつくしっとり雪にいい気分。ふと仰げば樹氷に包まれた御在所が姿を見せた。やっと・・・。

今日の除雪作業は休み?おかげでここからさらにログハウス下駐車地点までしっとりさっくり片栗粉雪を楽しむ。三峰園まで降りるとそこまで道が開いていた。凍えた体を温泉があっためてくれて生き返る。有難い・・・。

強風と大雪に阻まれ山頂へ行けなかった、行かなかった今日。極寒の御在所に、厳冬期の穂高を体感した気分!「冬の嵐」は御在所の神様が下さった貴重な試練と解釈しよう。

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