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2010年登り初め。新雪蹴って中道を行く。気持ちいい。なぜか八ヶ岳より雪が重い。水分が多い雪。靴の足跡が綺麗に残る雪。これが湿雪だろう。
それに自分の足や体も重い。二日休んだけどまだ八ヶ岳疲れが残っている。ラッセルする元気がない。二番手で行こう。
岩棚。
強風なので岩陰に入る。Tさんは風を除けてスパッツを付ける。Oさん等はここで一休み?
地蔵岩。
雲の隙間から初日の出。「今年もいいこといっぱいありますように。」欲張って願いごと・・・。
キレットの見える岩。
真っ暗な冬空。伊勢湾にはオレンジ色初日の出スポットライト。本人は?雲の上からやんわり顔を出す。
足元の岩に雪がついて滑りやすい。凍っているかどうか確かめるようにして岩に足を乗せる。一歩一歩岩と相談して歩く。この辺りの木々には霧氷。淡い白い衣装を纏っている。
ウエイトトレーニングの彼に追い越される。ラッセルをうばわれた・・・。
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枯れ木や手前の霧氷のついた木々の彼方に聳えるはずの岩壁は霧の中。
今までとは全くの別世界。真っ白。岩も木も凍っている。風もはんぱじゃない。ここはどこ?御在所じゃなくて北アルプス?
上のテラス。
白くて暗くて幻想的。ここから上の道は凍っていると思ったが普通の雪面だった。鎖からは真っ白な樹氷林。氷の花が幹にも枝にも咲いている。
富士見岩から朝陽台。
ただ白いばかりの氷の世界を歩く。その白さに心奪われる。いつのまにか私も白いような気がしてる・・・。
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根本から枝先まで真っ白の木はまるで妖精。白いドレスを纏っているよ。
そり広場の雪原を歩く。膝辺りに雪がついて冷えてきた。合羽のズボンもはこう。
望湖台。
前方の御岳神社あたりでは緑の笹原に銀色の木々が浮かんでいる。綺麗だ。猛烈な風。岩には見事なエビノシッポ。ここの樹にも氷の花が・・・。
記念碑からあずまやへ。
サクサク雪を歩く。「龍角散みたいな雪。」と誰かが言っている。見下ろすあずまやの笹と樹氷に魅せられる・・・。
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峠道。
強風に耐えながら岩と雪を歩く。風に負けないように足を踏ん張って風を押しながら・・・。
雪についた岩は滑るかどうか考えながら歩く。余り滑らないので足がちょっとはしゃぎすぎたのか?出張った岩に太ももをぶつける。打撲!シップを貼ってしばらく休む。Tさんも合羽のズボンをはいている。
峠。
「降りますか?」「山は明日もある。なくならないから、降りてもいいよ。」骨折していたらきっと痛くて歩けないよね。打ち身だと思う。「行くしかない。」と歩き続ける。
尖った岩なら怪我をしただろう。八ケ岳で骨折して降りるのが大変だった人の話も聞いた事がある。「御在所で打ち身は良い体験だ。」と言い聞かせながらひたすら歩く。雪壁はまだできていなかった。
山頂直下の岩と雪を楽しく登って大岩へ。
めちゃ、すごい!エビノシッポがびっしり。とげとげがエビの尻尾そっくり。先日の八ケ岳文三郎尾根のは融けていたが・・・。
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鎌ケ岳。
祠に初詣。「今年もよろしくお願いします。」その前で休憩。なぜか雪が黒っぽく見える。テント設営する時のように雪を踏む。八ケ岳のフカフカ雪は踏んでも固まらなかったが、鎌ケ岳の雪はしっかり踏み固める事が出来た。
又、鍋を忘れた。さらにガスコンロにもトラブル発生。トラブルが今日でよかったよ。八ケ岳だったらどうなっていただろう・・・。
気を取り直してTさんの鍋とコンロを借りて御酒を沸かす。「元旦初しぼり生酒」無ろ過。めちゃ甘い。冷たいままだとよけい甘い。おせち料理のかまぼことハムをつまみに。火にあぶったハムが香ばしい。暖かいし、おなかが膨れたし、眠くなってきた。
八ケ岳での装備のトラブルについて。
@エアーマットでなく硬いマットがいいそうだ。足はザックに入れる。
A又、酸欠ならガスの炎が赤くなってくる。ライターがつかなかったのは酸欠ではなくライター自身の問題?
いずれにせよ、大事にならずよかったです。
あったかい部屋をありがとうございました。出ると外の風が気持ちいい。休んでいた間に雪が積もったみたい。ではアイゼンをつけて降りよう。
尾根を降りはじめるとコテコテの樹氷が目に飛び込んできた。厚化粧樹氷!
くるっと外巻きのシャクナゲの葉は濃いベルベットのよう。一見ぐったりしているようだがじっと風雪に耐えている。身を守っている。花芽はしゃんとしていた。
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左俣を見上げる。白い林が美しい。すごーい。ここも北アルプス?墨絵の世界に惹きこまれる。綺麗だ。そこからは行けども行けども樹氷林。白い世界。まるでおとぎの国へ迷い込んだような・・・。巻き道辺りまで降ると氷の花は消えてしまった。
谷へ降りると再び氷の世界。滝には銀色のシャンデリアが!極め細やかな真っ白の氷。クリスタルな輝きに惚れ惚れする。一面に白い絨毯が敷かれた三ツ口ダムの河原を厳かに歩く。下界を見下ろすと晴れ晴れ・・・。
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駐車場に戻ると既にOさん等の車はなかった。
仰げば、粉雪の淡いベールを纏ったままの御在所がそこに・・・。柔らかな午後の陽ざしがちょっと差し込んで白い鉄塔を輝かせている。2010年1月2日の御在所はただ白く、雪と氷の世界だった。
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