御在所 

       1212 (三重)
2011年2月19日 快晴

P7:00〜(中道)〜望湖台9:30〜(峠道)〜武平峠10:40〜鎌ヶ岳(12:00〜13:00)〜(左又〜三ツ口谷)〜三ツ口ダム14:20〜P14:45

山が紺色。そこに白い雪を戴いて美しい。山はどうして蒼く見えるのかな。ぼんやりそんなことを考えながら車を走らせる。
時刻は6時過ぎ、いなべあたりで、神秘的な満月が目に飛び込んで来た。丁度藤原岳と竜ヶ岳の間ですごく大きい。朝日みたいにオレンジ色に輝いている。なんて綺麗なの!あまりの美しさに声も出ない。しばらくボーっとしてしまった。どうしてそうなるの?

太陽はまだ出ていない。でもその光をうけた月を地球上で、今私が見る不思議。
数分後、もう一度空を見あげるがもうそこには何もなかった。山の向こうに沈んだみたい。なんという出合いだろう。誰も知らない、今この時、私だけが見た一瞬の美の世界!自然の神様のいたずら?ドキドキがおさまらない。めちゃいい気分で御在所へ向かう。

一の谷茶屋のカーブ、濡れたように見えるが凍っていた。こわっ。

駐車場は満車状態。地面に固い雪が残っているし、狭いし・・・
T尾さんに一番奥に入れてもらう。すぐ左にTさんも入った。ぎりぎりセーフ。最近、登山者が増えて、冬でも車が多い。


歩き始めると風がきつい。スカイライン道は凍ってピカピカ。たしか、昨日は風が吹き荒れていた。その続き?
大気の汚れが吹き飛ばされた。空気が澄んで、鎌ヶ岳の稜線がくっきり、はっきり。縁取りがあるように鮮明。空は青く、海が光って、周囲の山も蒼い。

雪道は踏み固まっている。まるで岩みたい。固いので滑らなくて、歩きやすい。こんな道は楽しくて、うきうきする。そして時々現れる乾いた岩に乗るのが気持ちいい。岩と固い雪歩き。気分がいい。

青空に飛行機が落書きしていく。

富士見岩末端の岩場。
白い白山が見えた。白い御嶽山、乗鞍岳などが雲の上に頭を出した。
左端、霊仙に重なって見える白い山が伊吹だろうか?
ここも凍って、つるつる。ワイワイ沢に落ちそう。

上のテラス。
ここからは岩も何もない、ただの雪斜面。ささっと歩ける。

ガレから富士見岩への直登コース。
トレースは固い。はまらないので気持ちいい。前週のラッセルとは一味違う気分で尾根へ。
「一本たてよう」 この言葉、気に入っている。本谷へ落ちそうな岩に乗って立つ二人。私もと、真似てみる。ざらざらした岩肌が気持ちいい。下界が蒼く美しい。

富士見岩。
今日は視界がきく。遠くの山々が幾重にも蒼く続いている。

三ルンゼの大岩から遊歩道へ。ここも凍っていた。



チビッ子広場。
誰も歩いていないシマシマ雪を歩いて人工の氷爆へと降って行く。気持ちいい。急に暑く感じる。日当たりがいいから?雪の照り返し?

望湖台。
大きい風紋ができていた。自然が作りだした彫刻に見惚れる。アルプスのみたいに迫力がある。その風紋を越えて、果敢にも雪尾根てっぺんの雪壁を攀じ登る人がいる。そして望湖台には、白い雨乞岳が待っていた。記念碑の尾根の樹氷が美しい。雪と樹氷と黒い幹のコントラストが絶景を作り出している。

白山の左に能郷白山、美濃の山、そしてやっぱり重なりの白い山は霊仙山、伊吹山。
雨乞岳の彼方には武奈ケ岳か比良の山が白い。杉峠の彼方に滋賀県の町も見える。
今日はなんていい天気。まるで春のよう。さっきまでの風は何処へ行ったのでしょう。いつの間にか無風。でも樹氷はしっかりついている。



白い雨乞岳に見惚れる・・・
穏やかな御在所。いつまでも見ていたい雪景色・・・


記念碑への雪尾根もいい。あずまやへの笹原もはまらない雪。どこでも歩いて長者池へお参り。池は凍っていた。そこへ降りて氷を歩く人がいる。見ただけで分厚い氷で割れないと判断できるってすごい。


この辺、樹氷が綺麗。ゲートは開けなくてもまたぐだけでOK。足の短い人も楽!

峠道。
風の通り道かどうかで、吹きだまっている所と、土が見えている所と差がある。スパッツがはずれて靴に雪が入ってきた。つめた・・・

峠。
目の前に雪壁がデッカイ。「折角あるんだから」と攀じ登る。雪が柔らかでピッケルは決まらなかった。足だけが頼り・・・

いつもできる雪壁は手前から登れた。今までと雪の付き方が違う。サクサク雪。

展望台手前にも雪山。
左又が白い。源頭部もやけに白く見えている。

三重県側に大きく張り出した雪庇。今まで見た中で一番でっかい。その雪庇の端っこ、誰かのわかん跡をちょっと歩いてみる。下には何もないので踏み抜かないようにそっと。登山道端と思われる所へはまり込んだ人もいる。



三ツ口谷には雪がいっぱい。
なんと、今度は楽しい斜面が現れた。登りは蹴り込んで、降りは踵で。固くもなく柔らかすぎず、めちゃくちゃいい雪。登って降りて登って降りて・・・もったいないので何度も落書き。もうずっとここにいたい気分。

馬の背岩。
ざらざらした岩と雪を歩く。超気持ちいい。

直下から鎌ヶ岳山頂。
谷に詰まった雪を蹴り込んで歩く。途中前尾根似の岩を歩いて大岩へ。風がないのですくっと立てる。白い御在所と白い雨乞がほほ笑んでいる。いい気分!あちこちの雪と遊びながら来たので結構時間がかかったけど、幸せな時間だった・・・


祠へ行こうと向きを変えると「やったー」雪庇尾根が鳥居まで続いている。鳥居を50cmほど越えている。すごーい。こんな雪尾根、歩きたかったよ。
祠は埋もれ傾いていた。T尾さんは合格祈願しなければならないので雪を掘り返している。その雪尾根を南へ行く。雪山二段の上段歩きだ。冬の鎌ヶ岳に、今日、会えてよかった!

山頂からは、仙ヶ岳の峰のさらに南に奈良の吉野山や青山高原などが重なっている。中央アルプスの山並みや地平線もくっきり。目の前に鎌尾根の雪庇がでかい。

足元がいつもより1m以上高いので見える世界が違う。視界は180度以上開けている。飛行機が次々青空に落書きしていく。今、私はなんて広い所にいるんでしょう。空に手が届きそう。

朝の強風は嘘みたいで、優しいそよ風が頬をなでる。空の色が違う。陽の光が溢れて眩しい。暗い冬はもうどこにもなくて、山も大地も空も輝いている。春めいている。


この空間にいられるだけで、めちゃハッピー。
白い鎌ヶ岳レストラン。クリームパン、Mのチョコ、味噌汁スープ。

鎌ヶ岳てっぺんの雪を融かした水で紅茶を入れていただく。雪にちょっと呼び水を入れると直ぐ融けた。鍋いっぱいの雪は、融けるとほんのちょっと。すごーい、めちゃ贅沢。たとえゴミが入っていてとしても、どんなドリンクもかなわない上等の紅茶!


源頭部の雪もいいみたい、左又もしまっているだろうし・・・
一度に両方降りたいけど、降りれないし・・・

「何処を降りるんですか」と聞いてみる。「左又」と朝から何度聞いたことかと言われてしまった。約二名、そんなに言ったのかな?夢中になると無意識にいろいろ口走るからね。



では左又へ。
雪が多くて、何処からでも自由に降りられた。踵がちゃんと入るのでアイゼンなしで行く。カーブするあたりで固くなってきた。滑落はできないのでクライムダウンで慎重に。その後は丁度いい柔らかさ。

T尾さんはあちこちどこでも滑って楽しそう。Tさんはちょっとグリセード。私は急斜面をトラバース歩きするのが気持ちよかった。


巻き道から谷へ降りて氷遊び。

三ツ口谷出合い近くまで来ると、雪洞がいくつも現れた。いつかに続いて二回目雪洞入り体験。雪がどんどん積もって出られなくなったらと心配する・・・天井が融けてくるので平らに削ったり、天井がまるごと落ちてこないように斜面に作るとか、いろいろ工夫したそうだ。外へ出なくていいように、雪のトイレも作ったとか。


Tさんは木製のピッケルでステップを切った。以前はこうやって一歩ずつ、氷を刻んだので、時間がかかった。手間暇かけて作った氷の道、きっと愛おしく感じたことでしょう。


堰堤を超えて、おまけの雪斜面を駆け下る。小滝の上で、靴の紐を締めなおす人がいた。車に帰りつくまで、気は抜けないということ?山はこまめ。

楽しい厳しい非日常の白い山から、白いダム湖を通って、日常へと帰って行く。みなさんありがとうございました。


今日のまとめ。
刻々と変化する雪の状態によく反応できた。柔らかい雪か、固い雪か即読み取るのは難しいけど、充実した雪山歩きだった。
左又のような、急斜面の固い雪を降りられるかどうかの判断、又そこを降りる力もまだまだだけど・・・

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