宝剣岳中央稜
      2931m
(長野)


木曽駒ケ岳からのつづき。


2011年8月13日 くもりのちはれ

テント場5:00〜宝剣岳6:00(懸垂下降・3ピッチ)〜中央稜基部着7:30〜中央稜取りつき登り始め(7:45)〜宝剣岳10:00〜千畳敷駅11:00〜しらび平〜黒川平バス停P〜奈川温泉・仙洛(夕食・休憩15:00〜18:00)〜中津川〜羽島〜自宅21:00

三時起床。朝食、パン、スープ、紅茶。早朝はガスっている。テント撤収。ヘッドランプをつけてトラバース道を行く。ひんやりした霧の中、手がかじかんで冷たい。コマクサが風に揺れている。和合のコルで登攀準備。ザックをデポし、身軽になる。足元の岩は朝つゆに濡れている。


取りつき。
まずは、フイックスドロープにプルージックで降りる。ハイマツに支点。そこからは懸垂。二番目が、ロープを出して、ルベルソとプルージックで降りる。オケラクラックらしき岩壁を蹴って凹角部を降りてテラスに着く。

残置ハーケンについて。
ハーケンにカラビナをかけてはいけない。カラビナが梃子になってハーケンが抜けることがある。シュリンゲを通してカラビナをかけること。


その後はまっすぐ凹角部を降って右に入ると聞いていたが、降りて行くと、バンドと凹角部どちらへ行っていいのかわからない。

I木さんが振られるのを防ぐため、バンドの途中で待っていてくれた。バンドをトラバースして行くと、尖った岩にシュリンゲがかけられていた。それをはずして、ダケカンバの大木で待つように言われるが、草つきで滑る。足元が不安定。

登山靴は蹴り込んで行けるらしいが、クライミングシューズは草によく滑る。本来はもう少し下まで降りるようだが、ここを基部としてもらう。


4ピッチ目をカットしたことになったようだ。


いよいよ、ここから中央稜のクライミング。登攀準備して、S田さんと未熟な我々。よろしくお願いします。

1ピッチ目。オケラクラック下のフェース。
我々からは見えないけど、N根さんはささっと取りついて行ってしまった。S田さんは右壁から。


先生と同じように右に取りつこうとするが、手掛かりを見つけられない。左壁ならいいかなと、行って見るがやっぱり無理。中ほどにかけられた二カ所のカラビナのうち、右側のシュリンゲに右足を入れてアブミにする。やっと右壁に出られた。左上に小さなテラスが現れ一息つく。



その後は草つき、階段状のフェース。テラスのある岩場に出て小休止。

本来のルートは今登ったフェースだった?さっき、懸垂で降りた凹角部は間違い?なんと、降りてそれと気付いたS田さんは振り子のように体を振ってバンドに取りついたそうだ。トップは軌道修正もしなくてはならない。

I木さんは我々を教える為、最後尾で来てくれた。二人だけだったら何時間経っても登れなかったよ。あのフェース・・・



2ピッチ目。
オケラクラックへの登り、直登の凹角部でなく、立って、右に回り込む。「レイバック」 壁を越えると、目の前には綺麗なスラブが空に続いていた。右寄りにハイマツまで進み、途中でスラブを横切ってクラックへ入る。N根さんは凹角から登ってきた。

隙間が大きいクラック。右足はスラブに、左足をクラックに。この辺りでやっと楽しくなってきた。小さなテラスに上がる。ガスが取れて、緑の千畳敷が足の下。高度感が素晴らしい。ギャラリーも多いようだ。


最後、3ピッチ目は短いフェースから稜線。
ロープが絡まって時間がかかった。いつもサッと出るようにしておくこと。次何をするかを考えて速く動けるようになること。

登攀終了。握手でありがとうございました。


宝剣岳の岩に乗って「やったー」
10年前に初めて来た時は、まさか宝剣岳で岩登りできるとは思ってもいなかった。感無量!山頂岩の下で、キキョウが風に揺れていた。


和合のコルへ戻る。
千畳敷から来た若者たちから「ずっと、見てましたよ。すごいですね」の声。
宝剣岳を見ていたら、動くものが目に入って「あんなところに人がいる」と驚いたんだろう。右に左にどうやって登ろうか必死でもがいていても、下からはわからないからよかった!

観光客が多いのでロープウエイの待ち時間が気になる。ささっと降りよう。
降り道、さっきまでいた岩壁を見上げる。何処を降りて、どう登ったのか下からはよくわかる。岩場では目の前の岩しか見えないから。

我ながら「よくがんばりました、はなまる!」自分で自分を褒める。


カールのお花畑では、夏の花が名残惜しそうに咲いている。タデ、カラマツソウ、ミヤマリンドウ・・・
チングルマの綿毛が斜面にどこまでも続いている。時々ガスが流れて宝剣岳が隠れたりする。山の天気は変わりやすいもの。岩場で雨や雷がこなくてよかった!



待ち時間なくロープウエイに乗れて、駐車場着。
この後、奈川温泉仙洛で、日帰り温泉と、とうじそば。お客さんの顔を見てからそばを打ってくれるお店。もっちりして美味しい。

その後、野麦峠スキー場近くでテントなどを干してお片づけ兼昼寝。
関東ナンバーの車が数台来て、白い虫取り網を持ち、蝶を追っかけている。「もう今日は十分遊んだ」と言って帰って行った。山でなくて、蝶を求めて野山を駆け回っている人達だった。

絶滅危惧種?のゴマシジミはワレモコウが好きなようだ。



いつもせかせかと急いで帰る我々。いいとこ取りで、こんな優雅な山行スタイルもあることを知る。山で全部済ますと、あとが楽。丁度、お盆の真ん中で渋滞にはまらずに帰ることができた。

北岳バットレスに次いでニ回目のホンチャン岩登り。固い花こう岩の宝剣岳中央稜で空に投げ出された感覚を味わった。知らない所だと、緊張して体がガチガチ。パニックになって、岩にしがみつく。とても前尾根の経験を生かす所までいかなかった。でも前尾根を歩いていたから、今日中央稜を歩けたのだ。この経験を、次につなげて行きたい。

春山宝剣岳はどんなかな?
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