鎌ケ岳
      1162m
(三重)


2006年2月11日 曇りのち晴れ

温泉最奥P7:15〜地蔵岩8:00〜朝陽台9:25〜望湖台10:00〜武平峠(11:10〜12:05)〜鎌ケ岳(13:40〜13:50)〜(三ツ口谷)〜三ツ口大滝15:00〜三ツ口ダム15:15〜P15:40

鳥のさえずりが一段と大きく聞こえる。しばしOさんの野鳥観察会。
シジュウカラ。ツツピツツピとか甘えたような声もする。
カケス。低い声で枝から枝へ飛ぶ。ちょこんとお辞儀するような姿勢が可愛い。羽の一部が蒼いけど内側から見ると黒とか。
雪はちょっと重い。水分を含んでいる感じだ。



ロープウエイの見える岩。
白い鉄塔あたりの木に着いた雪模様が美しくて見とれる。それは降ったばかりでなく木の枝に残ったような雪の「まんだら模様。」とか。
岩棚。
手前から伊勢湾がオレンジ色に輝く。綺麗。
地蔵岩。
雪がほとんどないというので寄る。何ヶ月ぶりかで肩に。ここからの眺めはやはりいい。Oさんは中ほどから飛び降りた。私はといえば一番下の左足をすっかり忘れていた。
キレット。右側へ。Oさん、雪がついているが小さなスタンスに乗る。「固い靴なので乗れるよ。」 私も乗れた。
凹角部。岩についた雪をよけて岩に乗る。左から。


テラス手前。
先行者は左の尾根へ。テラスの岩場をカットしたようだ。富士見岩下のクサリ場も今日は凍ってなくて歩きやすい。上のテラスからも重い雪なのでいい。今日はザレへは行かず、富士見尾根へ直登する。
岩から望む鎌ケ岳は霞んでいるがほんのり薄日が射して綺麗。
朝陽台。
先週とは随分気温が違うようだ。風もない。大岩で気温マイナス3度。
暖かくて手もかじかまない。
カモシカセンター前で草もち一個。カッパ上衣を着る。
望湖台。
手前でワカンをつける。今日はここまでアイゼンなしで楽だった。ザックに座り「立山かんじ木」をつける。初めてだ。
丸い部分はマンサク。横滑り防止部分はナラの木で作られている。一本締めのアイゼンバンドは山の店に売ってなかったのでついていた麻縄でしばる。家で練習したけどこれで、はずれてこないかな?
歩き出すと軽い。嵌らない。かんじ木どうし踏まなくていい。楽。そのまま雪庇尾根を歩き望湖台へ。
岩を歩くときは横のナラ材を痛めるので靴のつま先で歩くようにするといいそうだ。
記念碑からの斜面を駆け下りる。しっかり締めたので緩まず軽快。



東屋から少し来ると雪の表面が固くて中がフカフカの「最中雪」。歩くと表面が氷みたいにひびわれた。本当に最中みたい。
ケルンあたりで雪が多いところがある。振り返ってみると御岳神社からの尾根になっていた。吹きだまりかな?雪の通り道というものもあるらしい。
雪庇が花びらのようにくるっと巻き込んでいる。柵が雪に埋もれている。しばらく夏道を行く。掘割道を離れて林の中を右に巻き込む感じで広場に出る。
迫力ある蒼い鎌ケ岳が目の前。峠道の雪庇がいろんな形で現れる。またまた楽しい雪庇歩き。木の根があるところからは余り三重県側に行かないようにする。踏み抜くから。
武平峠。
雪壁は今日はもう既に足跡だらけ。ワカンで登って滑り降り。先週のふわふわ雪ではないので歩くにも重い雪。
風が当たらないのでここで軽く食事。パン二個。チョコ。紅茶で温まる。


青空がのぞき薄日も射してきた。トレースはある。そのまま雪庇を歩いて鎌ケ岳へ。
展望台手前でワカンをはずす。先行者もつぼ足みたい。数箇所夏道をはずれている。
去年も確かあった巨大雪壁を乗越す。大きな雪庇が三重県側に乗り出して中が空洞になっていたりする。それはまるで葛飾北斎富嶽三十六景のあの波頭を思わせる。
三ツ口源頭部のガレから望むと鎌ケ岳山頂は樹氷に覆われている。振り向けば御在所岳が青く白く迫力がある。通り過ぎてきた峠道の雪庇ももこもこと。
鎌ケ岳山頂の岩にも陽があたってきた。トレースはガレを過ぎたあたりで左の尾根に上がっている。ちょっといつもと雰囲気が違ってどこか違う山のよう。

前方に氷の林。樹氷というより透明の氷。光を受けてその氷がキラキラ光る。御在所岳や雨乞岳山頂あたりにも陽が当たり樹氷越しに見るその白い峰が美しい。
よく見れば氷の先にさらに霧氷がついている。なんて綺麗なんでしょう。名づけて「こおり霧氷」


山頂手前の岩場は雪に埋もれている。岩が隠れてただ雪の斜面を登って大岩へ。
天候はどんどん良くなって来ている。視界良好。
御在所岳の雨量レーダーや三角に見える望湖台、白い雪原の記念碑、御岳神社からの白い尾根、ここ鎌ケ岳まで続く雪庇の峠道が手に取るように目の前に広がった。
なんて迫力。圧倒される。御在所岳は重量感に溢れている。冬は雪と黒く見える稜線がさらに山をより立体的に見せてくれるような気がする。
今日はここまで来れてこの情景を見る事ができてラッキー。
鎌ケ岳山頂は雪庇が先週より大きくなって鳥居の上まで乗り出している。いつも見上げる赤い鳥居に触れて見下ろしお参り。
山頂東側はちょっと駆け降りたくなるようなほとんど垂直の雪斜面。
南面に行けば鎌尾根から仙ケ岳への墨絵のような山なみが続いている。尾根上の雪庇もはっきりそれと分かる。そして山なみの蒼いこと・・・。この蒼さがたまらなく好き。
鳥居横の雪庇を登る。ここは最高。去年初めて知った鎌ケ岳山頂の雪庇。今年もこの雪庇を見る事ができて、この雪庇に自分の足で立つことができて幸せ。
先週は霞んで御在所岳は望めず山頂もふわふわ雪。とても寒かった。時々雪も降っていたので気持ちに余裕がなかった。
今日は視界良好で雪も固い。風もほとんどなく暖かなので山頂を楽しむ余裕がある。ずっとこのままここに居たいようないい気分にもなる。


下りは以前の尾根道から大ガレに下りて三ツ口源頭部から。岩が隠れて雪、雪、雪。ただの雪原。
左手に最も急だと思われるガレを見上げる。峠道の雪庇も頭の上に。それは「ここはどこ?」と思うような白い空間だった。北穂沢のあの急斜面にでもいるような錯覚に陥る。
「ここは鎌ケ岳。」私は今鈴鹿にいるのだった。
右にもなだらかな雪斜面を見上げて進むと巨大な雪庇が現われて乗り越す。「キャホー。」雪庇降り。超気持ちいい。



三ツ口谷。
川沿いに行く。雪は深くて重い。「ワカンを・・・。」といっているうちにどんどん下へ降りている。
途中左又からの斜面を見上げる。広い林に出ると尾根の草原からの降り口。さらに尾根道分岐。
そこからの高巻道が急。しっかり一歩を確かめ雪を踏んで木や笹を持って足下の岩にも気をつけて慎重に降りる。五mの滝。先週この登りでよく分からなかった所だ。ここで小休止。美味しいみかんを頂く。
尾根から谷へ雪がくるくるくる丸まって落ちて自然にできた雪の花があちこちに。雪だるまの作り始めのよう。「ホワイトローズ」か「アンモナイト」かと形容する。面白い。
このあたりで長石尾根から下りた人あり。そこからは踏み跡を辿る。大滝の手前からうんと高巻いている。やはり滝上が危険だからだろう。

巻き道を降りて大滝へ。先週より中ほどが融けていた。
小滝下堰堤からの降り。又魅力的な雪斜面があらわれた。一気降り。短いけど楽しい。
三ツ口ダムはまだ凍っていた。ピッケルで押してみると氷は融けかけて柔らかい。


ダム下の川原の岩々に雪が被って「日本庭園みたい。」それは自然が作り出した見事な庭園。誰かの手で作られたものでなく、又人の目に触れることもなく静かにそこにあるのがいい。
降りてしまえば、三ツ口谷の下りでワカンは使わなかった。
今日は天候にも恵まれ、雪の御在所岳、鎌ケ岳の稜線歩きを十二分に味わえて大満足。先週から武平峠から鎌ケ岳への雪の尾根道を歩きたかったので・・・。
刻々と表情が変わる山の雪。
そして何もかも包みこんで山をより美しく清らかにしてしまう雪。新緑も紅葉も勿論いいけど、雪の山ほど美しいものはない。
大して知らないのに知ったかぶりだけど御在所岳も鎌ケ岳も雪の今が一番綺麗で魅力的。


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