唐松岳
    2696m
(富山・長野)


2007年3月4日 くもりのち快晴

3日自宅20:00〜羽島〜(名神、中央道、長野道)〜豊科〜(R147)〜白馬八方尾根スキー場前P00:30(車中泊)

豊科からのR147の道路沿いに雪はまったくない。木崎湖や青木湖も凍っていないようだし、なんか山も黒っぽい。スキー場前のP到着。

4日P〜ゴンドラ7:30〜リフト〜黒菱平リフト8:30〜八方池山荘8:45〜八方池ケルン10:30〜唐松山荘11:45〜八方池ケルン14:20〜第二ケルン14:40〜八方池山荘〜リフト〜リフト〜ゴンドラ〜P15:30〜十郎の湯16:30〜豊科18:00〜羽島〜自宅21:00

駐車料金一日¥1000
ゴンドラ¥800
リフト¥300×2機
十郎の湯¥600

ザックの重さ11キロ。スノーシューやアイゼンがあるのでできるだけ軽くする。そして赤旗を三人で分けて持つ。
ゴンドラ始発7:30。リフト二機。黒菱平からのリフト始発は8:30。ここから望む白馬は雲の中。ザラメ雪で立木が目立ち雪が少ない八方尾根スキー場。


去年3月に来た時はいかにも北アルプス冬山という感じだったが・・・。今年は気温が高く寒くない。手も冷たくない。風もなく春のように優しい感じ。
池山荘。
アイゼンをつける。雪質が鈴鹿のようにベタベタしている。我々以外の登山者二人。
八方池ケルン。
スノーシューをここに置いて行く。この辺りから雪質がしっかりしてきた。さくさくした北アルプスの雪だ。積雪量が少なくラッセルしなくていいので楽。H町のI藤さんは赤旗を立てていく。
時々鈴鹿では見られないスケールのでかい風紋が現れる。遠見尾根の彼方に鹿島槍ヶ岳や五竜岳が見えるはずだが・・・。今日は生憎ガスっている。
山頂が近づくにつれガスで何も見えなくなる。赤旗があるから心強いがI藤さんの持っている本数が少ないので間隔が広い。我々の持っている分をその間に立てて進んで行く。
一人リタイア。「ホワイトアウトになりそうだから。」
又、少し先で夫婦が降りてきた。「小屋直前が危険だからそこから引き返した。ザイルがないと・・・。」朝6時に池山荘を出発して尾根を往復。
我々は「行けるところまで行こう。できたら山荘まで。」無理はしない・・・。
体重が増えたのでマイペースでゆっくり。特に夫は雪にはまり込んだりする。昨年はまったくなかったことだが今日は時々緩んだ雪にはまるのだ。鈴鹿のようにあちこち雪面に穴があいていたりする。北アルプスの雪にはまって出られなくなったら思うと怖い・・・。慎重に一歩一歩確かめるように歩く。

I藤さんの速さは赤旗でわかる。「もうあんな所まで行ったよ。」 時々ガスが流れて何も見えなくなる。はるか前方の尾根に微かに赤旗がはためくのが目に入ると安心する。
昨年の最高地点に到着。吹雪で寒くて痛くて怖かったあの日を思い出す。今日はこの辺りは穏やかで風もほとんどない。
ここから右手にスパッと切れ落ちた不帰ノ嶮の谷が目に入る。「滑落したら生きて帰れない。」と思うと足がすくむ。谷を見ないで少し前方だけ見て確実に一歩一歩進もう。
アイゼンをつけた足に全神経を集中、ピリピリしながら進む。ガスに煙る唐松岳をのぞむ。山荘直前の岩場が見えてきた。トレースは左から巻いている。手ごわそうだけど行けるかな・・・。 
ここで草もち一個で力をつけて、ピッケルも取り出す。しっかりピッケルを刺し、決まったら一歩ずつ確実に進もう。


からまつ山荘。
岩を抱きかかえて上がると稜線だった。ガスの中、山荘が眼下に。そしてでかいエビノシッポが目に飛び込んできた。
吹き飛ばされそうな強風。これが三月の北アルプス稜線の風・・・。積雪時のその風を感じることができただけで満足。こんな風なら滑落事故も起こりうる。隙があれば一瞬に吹き飛ばされることだろう。抱きかかえ岩から落ちたら絶対止まれないだろうし・・・。
唐松岳山頂はガスって何も見えない。もう一人の登山者が今から登ろうとしている。I藤さんはきっと今頃山頂だろう。


我々の目標はここまで。確かに去年より少し進歩したから、今日の核心部先ほどの直下の岩場を慎重に降ろう。
右手のピッケル、右足、左足を確実に決めながら、より慎重にクライムダウンで。
ピッケルを取り出した岩場に戻り、ほっと胸を撫で下ろす。
見上げれば唐松岳のガスが薄くなって微かに三角の山頂が見え始めた。
手前に大きく張り出した雪庇。端のほうに乗れば踏み抜いて谷に滑落するだろう。雪庇の端に行き過ぎないようにしなければならないということはそういうことなの?
下から見上げるとよくわかるものだなどと考えているとI藤さんが降りて来た。既に山頂を踏んで。


そして目の前の唐松岳がベールを脱いだ。なんと秀麗な姿。美しい。それに連なる不帰の嶮、天狗の下りも迫力がある。遠見尾根への谷は霞んでいる。
我々に今日一番美しい姿を見せてくれたようだ


先ほどまでの暗い山とはうって変わって陽光に輝く峰々。光と影が織り成す雪山の表情、その山肌、雪肌の美しさに心奪われる。
今、私の目の前にあるのは岩と雪と蒼い空。他に何もない・・・。

唐松岳冬・Uに続く。
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