鹿島槍ケ岳
2889(長野・富山)

KASHIMAYARIGATAKE

2004年10月1日 くもり  夫と二人

自宅21:30〜羽島(中央道)〜岡谷JC(長野自動車道)〜豊科24:30(R147)〜大町〜(大町アルペンライン)〜柏原新道登山口2日1:00(仮眠)

高速はすいていたので順調についた。扇沢駅手前の柏原新道登山口に20台ほどの駐車スペースがありそこに車を止める。

2004年10月2日 晴れのちくもり 

登山口5:30〜(柏原新道)〜種池山荘(8:30〜9:00)〜爺ケ岳9:50〜冷池山荘10:50〜テント場(10:58〜11:10)(テント設営)〜布引山11:50〜鹿島槍ケ岳南峰(12:35〜13:10)〜北峰13:30〜鹿島槍ケ岳南峰13:50〜冷池山荘テント場14:50(テント泊)


おにぎりとバナナで朝食。バームゼリー2本、スポーツ飲料500mlを2本持つ。
さわやかな青空のもと柏原新道を歩き出す。ここは道幅が広くゴツゴツした岩もなく、良く整備された感じのいい登山道で大変歩きやすい。
登山口を一緒にスタートした編み笠の石川県4人組みはペースが速く、栃木のイガラシさん等も足が軽い。山慣れた女性軍3名も足元が軽やかで逞しい。ガイド並に山に詳しいIさん。100名山は『73名山』とか。
蓮華岳、針の木岳、スバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳、岩小屋沢岳と、峰々をはっきり望みながら新道を進む。
岩小屋沢岳の尾根筋の紅葉はまだまだ薄緑で、来週あたりがいいのかな。
一方種池山荘直前の爺ケ岳の紅葉は今日が最高だった。ナナカマドの赤とダケカンバの黄色がとても鮮やか。
ここでYカメラマンが光を待って見えた。スポットライトのような朝日が当たるとダケカンバが黄金色に輝いた。私もカメラマンになった気分でシャッターを押す。


稜線に種池山荘が見えてきた。最後までゆるやかな上りで急登はなかった。
針の木岳だけが登り始めから稜線までさらにこの先もずっと見えていた。種池小屋からは、岩小屋沢岳から針の木岳への稜線のたおやかな峰に魅了された。いつかあの峰も歩きたい。
小屋を後にして爺ケ岳に向う。三角の山頂を目の前に今から行く稜線がはっきり見える。
左手後方に頭を隠した剣岳、立山が見え始めた。正面には鹿島槍ヶ岳南峰が現れた。北峰はガスの中。「双耳の鹿島槍が見たいな。剣岳の山頂も。もう少ししたら見えるかも。」と期待しながら行く。
爺ケ岳南峰山頂は360度の展望だ。
剣岳の雪渓がよく見えた。山頂は相変わらずガスの中。どれが三ノ窓か小窓か八峰か私にはわからないが、岩のゴツゴツした峰が他の山とは違う威厳をもった山容でそこにそびえていた。憧れの剣岳を前にして満ち足りた思いだった。
今から行く冷池小屋から南峰の手前の布引山へのルートもはっきりわかる。爺ケ岳はピークが南峰と中央、北峰と三つあり南峰だけ踏んだようだ。
右手扇沢の紅葉が一段と鮮やかだった。ここは多分雪解け時に「種まき爺さん」の雪形が現れるところ。春も秋も人々を魅了するすばらしい尾根だ。
剣岳、立山に見守られながら鹿島槍ケ岳に向う。ハイマツの中の尾根道は、黒部川に続く種池山荘北側の尾根や鹿島槍ケ岳西方の山すその紅葉を楽しみながら下る稜線漫歩。
冷池山荘がすぐそこに見えているので近いように見えるが歩き応えがあった。
この夏ここで落雷があって亡くなっている。ここから種池小屋が見えるので、もうちょっとと無理をして足を延ばしたらしい。何も逃げ場がない稜線。ハイマツの下に潜り込んだ人は助かったらしい。もし自分だったらと思うと怖い。やはり無理は禁物。
そんな惨事があったとはとても信じられない穏やかな爺ケ岳からの稜線を行くと、赤岩尾根から来た兵庫の高校生等が冷乗越でダウンしていた。右手に赤岩からのピークが二つ見えた。やはり急登のようだ。
「冷池」が見えて冷池山荘についた。小屋は、こちら爺ケ岳側が崩れそうでとても危ない所に建っている様に見える。
テント場はそこから鹿島槍ケ岳の方へ八分。稜線上だった。先ほどの山頂部のガスの中に突入したらしく、今にも雨がふってきそうなので急いでテントを張る
隣に兵庫の高校生等が来てテントを張った。ここから山頂に向うがガスで5m先も見えなくて心細いし、霧雨が降って肌寒い。40分で布引山。
途中で耳あてをしてカッパをきたら随分暖かい。剣岳からの風がほほに冷たいので冬の手袋をつけそれで顔を覆っていく。さらに40分。相変わらずガスの中、鹿島槍ヶ岳山頂に到着。


栃木のイガラシさん等が北峰も行こうと誘ってくれたのでその気になる。そこからは岩場でしかもその岩が濡れているのですべりやすく危ない。一歩一歩確かめるようにゆっくり行く。
ガスで辺りが見えないので高度感も恐怖感も全くない。一人で五竜岳から来た女性に会う。初めてでしかも単独。よほど山慣れた方なのだろう。すごい。
私はよくすべって転ぶのでさらに慎重に行く。黄色のペナントをしっかりひろう。ここはつり尾根。
この右手に鹿島槍ヶ岳の雪形「鶴と獅子」が出来る所だ。左にキレットへの道をわけ、少し登るとそのまま北峰へ到着。ここもガスの中。一本道で迷う道ではないが、右も左もないこのガスで方向音痴の私は平気で反対方向のキレットへ行きそうで危なっかしい。
しっかり今来た道を無事南峰に戻る。雨が降り出したので傘をさして降りる。
テントに戻った頃にはすっかり濡れて冷えてしまった。冷え性の私は大変。急いで着替え、カイロを足や肩などにはりガスをつけて温まった。さらにラーメンもちとスープ、生姜湯で生き返った。
雨が止んで風もない静かな鹿島槍ケ岳の夜だった。3時ごろ外を見ると双耳峰が白い空にそびえていた。西には黒い剣岳の岩峰が望めた。
朝方寒くて、寝袋カバーの上にアルミホイルのようなレスキューシートをかけたら暖かく少しウトウトした。


2004年10月3日 くもり

冷池山荘テント場6:20〜爺ケ岳7:50〜種池山荘(9:00〜9:20)〜柏原新道登山口11:20〜葛温泉〜大町温泉(信州そば いろり)〜(R147)〜豊科14:30(長野自動車道)〜岡谷(中央道)〜多治見〜自宅18:00

四時頃から山頂へ向う人の足音が聞こえる。「わーすごい。」「剣だ。」「きてよかった。」「剣が見られただけで幸せ。」などと口々に話しながら行くのをテントの中で聞く。皆やはり私と同じ気持ちだと知った。
私が言いたいことを通って行く人が皆言って行くので自分の出る幕がなかった。
朝食はみそしるに餅。黄な粉ドリンク。温まる。
みるみる空が明るくなって、鹿島槍ヶ岳の双耳峰や剣岳の岩が雲海の上に浮かび上がった。まるで墨絵の世界だった。



今日は冷池小屋に下り爺ケ岳に登る。朝の光の中、立山が大きく迫力があった。爺ケ岳東側の紅葉が特に鮮やかだった。覗くと左側はスパッと切れ落ちていた。
北峰は踏み跡もないのに逞しい栃木のIさんら3人は平気で登って行った。
爺ケ岳から見る剣岳や立山、種池山荘、岩小屋沢岳はまるで一枚の絵のように美しかった。ここで六羽の雷鳥親子に会った。人を恐れることもなくもくもくと何かついばんでいた。すでにお腹辺りが冬の白い羽根に変わっていた。
剣岳手前、黒部川沿いの谷のガスがベールのような雲へと刻々と姿を変えていった。針の木岳や岩小屋沢岳あたりにもその雲は広がった。時々、剣岳山頂に薄日がさして神々しいばかりだった。



あまりの美しさに見とれていたら、旅・写真、四季の写真などのYカメラマンに又お会いした。「墨絵の世界のようで、さっきの雲がよかったね。」と同じ思いを語られた。
剣岳をバックに一枚撮っていただいたがその写真だけとても綺麗だった。「バックは白っぽくなるかも・・」といって見えたがさてどう撮られたのか?デジカメも撮る人によってこんなに違うという見本となった。カメラは同じなのに・・
そして下りの柏原新道では蓮華岳、針の木岳の下に白く輝く雲海が、紅葉と共に扇沢の秋をしっかり演出し楽しませてくれた。
それから以前Mさんから聞いていた高瀬渓谷の大町ダムと七倉ダムの間の「葛温泉」に立ち寄る。3軒ほどの秘湯だ。山あいの静かな味わいのあるいい温泉だった。
さらに大町温泉郷「いろり」では通りからガラス越にご主人がそばを打つのが見えた。その打ちたての信州そばを頂く。
鹿島槍ヶ岳から剣岳を望むのが長い間の夢だった。お天気ははっきりしなかったが憧れの剣岳を望み、北アルプスの鮮やかな紅葉、鹿島槍ケ岳の岩歩き、ひなびた温泉、手打ちそばと大満足の山行だった。
お世話になった栃木のイガラシさん、女性軍の皆さんに感謝して帰途についた。

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