北穂高岳
    
3106m(長野、岐阜)

KITAHODAKADAKE

2007年5月4日

テント5:30〜(北穂沢)〜北穂高岳(8:00〜9:30)〜涸沢小屋11:00〜12:00(昼食)〜(ザイテン横の谷)涸沢岳中ほど13:15〜(テント撤収)(13:40〜14:20)〜本谷橋15:10〜横尾16:20(テント設営)夕食17:20

朝、昨日の雪がうそのように晴れている。積雪は数センチ。
朝食は味噌汁、サトウの切り餅、梅干、レ−ズンパン。
私のザックに食料、水、ツエルトなどを入れ夫が背負う。私は空荷。カッパ上下を着てアイゼンをつけた。手がかじかまないので装着も楽。やはり春はいい。
厳冬期用の手袋と帽子。ピッケルを持ちいざ出発。
穂高のモルゲンロート。美しい。


ダイレクトに山頂を目指そう。すでに8人ほど北穂沢を登りはじめている。
雪は歩きやすいサクサク雪。所々に霰。昨夜の雪は霰だったの? パラパラと言う音がしてたけど・・・。これはまさしく穂高の霰。御在所しか知らない私はひどく感動する。
高度が上がって前穂高岳の白い峰を背にするようになる。涸沢をはるか下に見下ろしなんと贅沢なことでしょう・・・。カラフルなテントが豆粒のよう。そして右に東稜、屏風、常念が見えてきた。

先刻追い越して行った若い二人が左折して東稜に。
インゼル手前で小休止。ここではじめてピッケルを取り出す。気がつかなかったが今の今まで足だけで登っていた。周りの人は皆ピッケルを使っている。一息入れて急登に備えよう。新しいピッケルは先が鋭いので雪にすっと刺さって気持ちいい。
今年は雪が深くて、二年前あったシュルンドなどは全くない
。たしかはまり込まない様に気をつけて歩いたが・・・。今日は大胆になれる。
息が上がることもなくハイで楽しい気分のまま松なみ岩に到着。今から涸沢岳へ縦走する若者がザイルを用意している。
目の前に笠ケ岳を望んで北穂山頂へ。
生憎ガスが巻いてドームもはっきりとは見えない。槍ヶ岳もガスっている。ガスは時々あくがそれは一瞬。シャッターチャンスが難しい。今か今かと一瞬を待っていたらアルプスの風に体が冷えてしまった。
小屋前へ降りていくとそこでも槍ヶ岳に向けてカメラを構えた人数名。
そして東稜の岩には20人ほどがこちらの北穂を目指している。涸沢から北穂沢を登ってくる人は数珠繋ぎ。黒く小さい蟻のよう。



小屋に入るとストーブがあった。かじかんだ手と冷えた体を温める。ホットミルク、クラッカー。
先ほどの蟻のような人がほとんど泊るのだから今日の北穂の小屋は超満員だ。
あまりゆっくりしていると雪が緩んでくるのでそろそろ降りよう。山頂直下の雪質は朝と同じサクサク。人は途切れることなくどんどん登って来る。皆、雪崩をおそれて少しの雪を落としても「落」と叫んでいる。トレースをはみ出ると怒られるし・・・。
インゼルで休憩。
先端の特等席で東稜の岩と雪歩きを見学。二箇所ほど昇り降りとトラバースがあるようだ。
雪面を降る時、後で降りる人(トップ)はどこを支点にするのだろう。雪があるだけで支点になるような木などないように見える。先に降りたセカンドはザイルを手繰るような姿勢をしているけど・・・。M田さん夫妻と我々の四人の目で見ていてもよくわからない。
その後のナイフエッジは一つ間違えば滑落するだろうに、途中でブランコのように座って楽しんでいる人もいる。私もやりたいそのブランコ。はたして我々はその尾根を歩けるようになるのだろうか?
下から登ってくる人を避けて東稜側へ横抜け。そしていよいよ今日の核心部「北穂沢降り」スタート。
急斜面を駆け降る。さっくり雪で超気持ちいい。広くてどこでもどこまでもぴょんぴょん飛び跳ねて走れる。時々シリセード。
中ほどでアイゼンをはずしグリセードも。スケールがでかくどこでも行けるしなんでもやれる北穂沢。めちゃくちゃ楽しい雪遊び。
すると東稜からスキーヤー三人。沢を滑り降りてくる。格好いい。またまた私もやりたい穂高でスキー・・・。


あっという間に沢を降りてしまった。
先ほどまでのガスが取れて目の前に前穂や奥穂の峰が輝いている。涸沢側にできている吊尾根や奥穂の稜線の雪庇が綺麗。今ここにあるのは青空と雪と黒い岩。他には何もない。美しい春の穂高岳。
これ以上の天候は望めないというほど快晴。穂高の神様ありがとうございます。こんな綺麗な山を見せてもらってなんと幸せなんでしょう。
涸沢小屋で食事。カレー、おでん。
いつもせかせかしている我々は今まで食事らしい食事をしたことがなかった。涸沢でこんなに優雅な時間を持てると思っていなかった。これも偶然お会いしたM田さん夫妻のおかげ。
穂高の白い峰を前にゆったりまったり素敵な時間。今私はこの白く美しい涸沢にいられて幸せ・・・。


涸沢岳へつづく。

     トップメニューへ
inserted by FC2 system