国見岳
    1170m(三重)

KUNIMIDAKE

2004年11月20日 晴れ 

旧料金所P7:00〜(中道)〜おばれ岩・地蔵岩〜望湖台〜国見峠〜(国見尾根)〜天狗岩・揺るぎ岩〜界の岩〜藤内小屋〜(裏道)〜P12:00

おばれ岩で手足を前後に又体を岩に押し付けて上がる練習。足を岩にフラットに置く。後ろ足をお尻までもっていくなど、とても言われる通りにはできない。1mも上がったかな?
新しい冬の靴が固くて重くて自分の足じゃないような感じ。全く思うようにならない。気持だけ前向きで体や足がついてこない。
地蔵岩。今日は風がきついので気をつけて上がる。靴のフリクションがよくきいてキュキュいっている。
上がれたが風がきついのですぐ降りる。やはり左足の下り方がむつかしい。体を離して左足の一番下の岩をよく見たらどうにか下りることができた。キレットで小さなスタンスを見つけフリクションで立つ練習。
「いつでもどんな所を歩く時も岩に乗ってバランスをとる練習をする。日々鍛錬。普段でも足の裏の全神経を研ぎ澄まして歩く。ストックは使わず手は組んだり腰において足だけでバランスをとる訓練をするなど・・・」
今までの人生で足の裏の神経など意識したこともない私にはちょっと厳しいけどなるほどと頷く事ばかり。


梯子の上のキレットを見下ろす岩峰に乗ると、伊勢湾を背景に光のシャワーが雲間から地上に降り注いでいた。神々しいばかりに輝いている。
富士見岩で先日行ったキララ峰を見下ろす。三角の山頂から右横に二つ派生した尾根の右に稲森谷分岐の鞍部が目に入る。
ここ御在所岳から鎌ケ岳、キララ峰と自分が歩いたルートを目の前にすると感動だった。
団塊の世代の最後に属する私達はやはり物事に嵌るタイプらしい。今、自分でも驚くほど何かに憑かれたように山にのめり込んでいる。
望湖台に行くと空も雲も初冬の様子で吹き飛ばされそうな風。雨乞岳山頂部も雲の中。
スキー場から国見峠へ。芝生を踏みながら行くとそこから望む御在所岳、国見岳が美しかった。
国見岳山頂手前の国見尾根分岐を右折れ。しばらく行くと見晴台のような所に出て青岳に続くヤシオ尾根が見に入る。朝明に通じる県境縦走路はここから見えないそうだ。


天狗岩を西からそのまま登り、頭の部分まで岩の右側を歩いて行く。最後の頭の岩をどう上がればよいかわからなかったが「何でもあり」で、体を左の岩に預けて上がった。
ここって天狗の頭?その上にいるの?すごい。信じられない。朝明の方に目をやれば高度感に足が震える。レビュファーのポーズもできたよ。背中を歩いて尻尾の方から降りる。下から空を仰いだような天狗の顔を見上げる。あの上にいたかと思うと我ながら驚いて「わーすごい」と叫んだ。
となりはガイドブックにコトコト音がすると紹介されている揺るぎ岩。ここも岩の上を歩いて行く。足が地についていない感じ。
確か今にも落ちそうな岩だと思ったけど・・・
今その上にいるらしい。揺るぎ岩の前を下の登山道まで降りて「わーすごい。」今度は、あんな高いところのあの落ちそうな岩の上にいたかと思うと背中がゾクゾクした。
このワクワク感の連続が岩に嵌る理由らしいのだが・・・今の私にはまだよく解らない。



展望岩に着く。目の前に藤内壁がパノラマとなって広がった。後尾根の一番下が一壁。バットレス、中尾根の下はツルム、奥又尾根、3ルンゼ、手前に前尾根と大迫力の壁が手にとるようにそこにある。
一壁の下に行くと垂直かと思うのにここから見る一壁は緩やかな傾斜。60度ほどらしい。
高度感に慣れるよう前尾根で練習するといいそうだ。そこへ行けるようになるまでが大変だよね。
不動沢を降りずにそのまま尾根を行く。国見尾根取付の岩は、ザレを左から回りこんで岩の真ん中を通り左の岩に上がる。
キレットのような感じで上がると目の前に大きい岩が立ちはだかっていた。「ザイルがないので無理しないでダメなら右へ。」見るとどうにか跳び箱のように行けそうなので乗馬気分で降りた。できた。



少し先の岩から藤内小屋が真下に見え、まもなく「界」の岩が現れた。なんとなく修験者の世界。
そこからはとても日当たりのいい道を落ち葉を踏んで行くと不動沢のせせらぎの音が聞こえ藤内小屋に着いた。
テストストンは右下から。なぜかはじめの一歩が上がれず滑り落ちる。「靴の裏の砂とかは落として。靴を信じて怖らず。こわいと思うと体が固くなるから。片足で立てるように。膝をのばす。かかとを下げる。」などなど。
もう一度やってみる。どうにか上がれた。左の岩は真ん中あたりを上から前向きに2、3歩、その後ザイルを少し持ち向きを変えて降りた。
今日は靴が固くて重くてロボットの足みたいだったので靴上部の紐をゆるめていた。次回はきちんと結んでやること。数回も履けばなれるだろうとのこと。
右横のトラバースは誰も行ってないのでフリクションがよくきくと言われたのでやってみる。全くすべらなくていい感じだった。
山の事を話しながら行くと中道分岐を通り過ぎてしまった。季節が逆戻りした感じの暑さの中、ズボンを膝までたくし上げ中道に戻る。
途中、北岳4尾根に多いという平らでおおきな斜めの岩「スラブ」の上を歩いた。言葉だけだと頭に入らないが体を使って覚えた言葉はしっかり見に付く。多分「スラブ」は忘れない。
今日もTさんから「岩」の言葉をいっぱい聞いた。聞きなれない言葉ばかりで鸚鵡返しに質問ばかり。とりあえず今はその言葉とその意味を吸い取り紙のように吸収しよう。頭も体もフル回転させないと前へ進めないよね。
一つだけ言える事。それは今までの私にとって天狗岩と揺るぎ岩は登る岩ではなく、下から見上げる岩だった。今日はその岩の上に立つことができた。これは私にとって確かな一歩だよね。

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