国見岳
    1170m
(三重)


2005年3月13日 晴れときどきくもり

温泉最奥P7:10〜(中道〜裏道)〜小屋〜(藤内沢)〜御在所岳(10:40〜11:40)〜(裏道)〜国見〜(国見尾根)〜(不動沢)〜岳不動〜小屋13:20〜P14:20

季節が逆戻りして真冬並みの気温。風がきついので余計寒く感じる。
小屋のテストストンで練習しようとしたら岩が凍ってつるつる滑る。
ウサギの耳から膨らんだ木の芽越に籐内壁を仰ぐ。中又の氷が今季最高。でもだれもクライミングしていない。


前尾根下まで入っていくと雪は霰雪で手ごたえがない。足応えがない。さらさらで踏んでも踏んでも効まらない。
先週のように雪崩の起きやすい雪だな。私にも少し雪の事がわかってきた様だ。テストストン横でアイゼンをつける。
先に飛び跳ねるように登っていった若者四人のリーダー格の方?が「今日の雪は雪崩のおきやすい雪ですよ。僕も前に一壁の取り付きで雪崩に巻き込まれ首まで埋まりました。気をつけて。」と忠告してくれた。心遣いが有難い。
滝下の氷柱から登る。一人だけ踏み跡がある。上がるとちょうど滝の上辺りが足の置き場もない。戻るに戻れずザイルを木やピッケルにかけたりしてなんとか通過する。
前尾根フランケ下は吹き溜まりになっていた。
霰雪で踏み応えがないので、あり地獄のように嵌り少しも前に進めない。藤内沢でこんな雪は初めて。
コウモリ滝横の岩場は四つんばいになって進む。
ヤグラ下辺りで小休止。見上げると山頂には日が射して樹氷が輝いている。
三月半ばなのに全くの冬山で見事な樹氷。そこから雪は締まってガリガリ。アイゼンの前爪がよく効く。
今登った傾斜を見下ろす。先日の中央アルプス伊那前岳もこの位の傾斜だった。ここで慣れているはずなのになぜあんなに怖かったのだろう。
原因は「スケールの大きさ」と「まん丸爪のアイゼン」
今日は新しいアイゼンなのでさくさくと雪に吸い付くように刺さる。泣かずにすみそうだ。気持ち良い。
3ルンゼアイスクライミングの氷は融け始めていた。


すぐ左に氷の壁ができていたのでここを登る。ここでもアイゼンがよく効く。
ツツジの木の間を抜けて大岩の前を四つんばいで直登する。雪は締まっている。サクサクと気持ちいい。


休憩所で食事をしているとバイルを持った方が到着。今日の藤内沢を登った四番目の方。
「きまらない雪で歩きにくい。」と開口一番。少し話すと2004年正月、八ヶ岳に行かれたとか。どうも私たちと同じ場所(頂上小屋)で初日を見られたようだ。前日も同じく硫黄岳で・・・挨拶ぐらいしたかも?
不思議なご縁の方とお会いして一緒に国見岳へ行く。冬の国見岳は行ったことがなかった。雪はどんなだろう。


裏道から国見岳に上る。笹が埋もれツツジの木だけの国見岳。
どこでも歩きで行って岩場に出る。目の前に雪化粧した籐内壁。すごい迫力。
樹氷に覆われた白い御在所岳全景を望む事ができた。山頂の雨量レーダーがひときわ目を引く。
スキー場と望湖台のあの白い雪庇尾根もくっきりと。なんて美しいんだろう。
国見岳から見る雪の御在所岳の美しさとその重量感に圧倒される。


国見岳山頂付近も見事な樹氷。こんな樹氷林を歩けるとはなんて素敵なこと。
国見尾根は傾斜が急なので慎重に下りる。雪はしっかり固い。
しし岩から見る雪化粧の御在所岳がまたまた素晴らしい。
藤内沢と奥又の沢の雪が一段と白く、手前に黒い前尾根が浮かび上がる。
白い藤内沢上部を二人登って行くのがはっきり見える。目の前に奥又の滝、前壁の滝の氷が蒼い。
雪化粧の藤内壁は圧巻だった。しばし見とれて立ち尽くす。


不動沢に下りるとガレ場はなく、ただ雪の斜面があるだけだった。それも急な斜面。
先日の三ツ口谷で練習したように片足にドーンと体重を掛ける。膝を伸ばす。意識すると出来た。今日はアイゼンをつけているけど、慣れたらここもアイゼンなしで行けるかな。Sさんはその斜面を走るように駆け下りた。
宝剣で泣いた雪の斜面。
固い雪、柔らかすぎる雪、氷、どんな所でも歩けるようになるには、いろんな雪を自分の足で一回でも多く歩く事と知った。気のせいだと思うけど(多分気のせい)昨日よりうまく歩けた気がした。
今日は初めて不動沢の雪斜面を降りる事が出来てよかった。それになにより国見岳から雪の御在所岳が望めて最高だった。
雪化粧の藤内壁は形容する言葉が見つからないほど素晴らしかった。
これ以上美しい御在所岳を私は知らない。


        トップメニューへ
inserted by FC2 system