前尾根(御在所岳)
    1212m
(三重)


2005年11月3日 くもり 時々晴れ 一時小雨

裏道登山口P8:15〜(裏道)〜小屋〜前尾根下テストストン9:30〜(前尾根P7からP3)13:20〜(裏道)〜小屋〜P15:00

荷物をできるだけ軽くする為スニーカーで行く。裏道登山口の駐車場は思ったより空いていた。七、八台ほど。
スカイライン道が濡れている。今朝一時間ほど雨が降ったらしい。
今日はHさんの指導でご一緒して頂くのはYさん。
藤内小屋から藤内壁の紅葉を望む。ウサギの耳辺りで紅葉したカエデの葉が落ちて敷き詰められたよう。赤や黄の落ち葉のじゅうたん。綺麗すぎて踏んでいいのかな?と思う。
藤内沢入り口からの紅葉も見事。



テストストンのアイゼン穴に水がたまっている。ここでしばらく練習。靴はつま先の紐をきつく結ぶ。
前片足に体重を乗せる。後足は蹴りださない。蹴りだすと落石する。足を交差させるのはいい練習。交差するには体が岩から離れなければできないから。
岩は親指の母指球だけでとらえ立つ。足の置くところを一回で決める。何度も置き直さない。岩に対して真っ直ぐ足を置く。
上半身が固いのでもっと力を抜く。登山道を歩く時と同じように。
ヘルメットの中にはバンダナとかしない。巻き込む恐れがある。首にも巻いたりしないでえりのある服を着る。
チェーンも使わない。からまるし邪魔になる。自己確保はザイルでする。インクノット結びで。
ザイルの結び方はインクノットとエイトノットだけできればいい。
Yさんと私、それぞれ手でザイルを持つ。振り分ける巻き方。輪にしない。最後は一本指をかけすぐ出せるようにしておく。


P7。岩間の木からスタート。
確保は木の根。シュリンゲを木の根に巻いて駒結び。ワッカの方をザイル二本に外からかけてそのワッカに安全環つきカラビナ。間違えてザイルに通さないこと。抜ける。
確保の仕方もいろいろあり、その時の状況に応じてする事が必要だと知った。
インクノット。
確保する時にザイルで作る。向きを反対にしてワッカを作ってねじって重ねる。それをカラビナにかける。
二人ともそれぞれ確保。ザイルをルベルソに通す。ザイルを出して行く。Hさんは木の右から上がる。ザイルが張られてビレイ解除。私から登る。確保地点に到着して自己確保。ボルトに安全環つきカラビナ。そこにザイルでインクノットを作ったものをかける。ザイルをたぐって足元において行く。Yさんも登った。Hさんが上がるのでザイルを二本揃えて出せるようにしておく。絡まったのは解く。

歩く距離が長い時はザイルを手で持つ。またはザイルの半分ほどを首にかけカラビナにインクノット。すると首にかけた分だけ手にもつザイルが少ないので楽。
P6。
今日はチムニーでなく凹角を行って外から上がる。ここは二回目。中ほどでなかなか取り付けない。小さなアイゼン跡に足を押し付けてやっと上がれた。今日の一壁には二人。



チムニーを上から見下ろす。丸岩は左手を押し付ける感じで行くと楽。マントル岩は上に手が掛けられる。
ここから目の前に中尾根の紅葉が美しい。オニギリ下に欠けた岩が見える。こんな岩が落ちるんだから藤内沢も危険だ。先日事故があったのもこの辺りらしいが・・・。ツルムのクラックを行く人が目に入る。


P5P4。
今日は楽しくてよく覚えていない。が以前確かクラックに入った所は中に入らず、体を外に出して足を岩に掛けて上がるとうまく行けた。同じ所でも岩の中に入ったり外に出たりといろんな登り方ができると知った。
今度は国見岳側の紅葉が美しい。今綺麗なのは五、六合目あたりだろうか。裏道ガレ場にいる人が小さく見下ろせる。以前だったら目が回っていたけど・・・。
P3下で小休止。
朝方の雨のせいか前尾根は空いている。前に四人。後に二人?


P3。
出だしの岩は初めて。一番初めのスタンスが小さいので大きく一跨ぎして踏み出す。右下に下りてから登ると以前歩いた見覚えがある岩だった。この辺りで小雨がパラパラしたけどたいしたことはなかった。

左のリッジを行って、段違いの岩の間を右に。
岩の間に小さな米躑躅がちゃんと紅葉していて驚く。そんなけなげな植物たちから励まされ「元気と勇気」をもらって歩く。見下ろすと藤内沢の紅葉も美しい。

しばらくスラブ岩。最後の二つ岩は左から。コルに下りる感じでしっかり岩を持つ。ヤグラが目の前に見えて終了。
気のせいかもしれないけど、一回より二回、二回より三回と少しずつ岩に慣れて来るように思う。でも今日初めて歩いた岩もあるし・・・。歩く岩が違うとルートも変わるし・・・。厳しい世界に変わりはない。


ここで装備をはずしヤグラのコルからP1へ。前壁ルンゼは雨の後など特に危険なので通らない。確かにいつも落石や浮き石が多い。
尾根に赤や黄色のドウダンツツジや米躑躅の小さい葉が鮮やか。黄金色に輝く国見岳も迫力があって素晴らしい。
今が見ごろの綺麗な山を眺めて裏道へ。ここでヘルメットを取る。

六合目五合目と裏道の紅葉も美しい。シロモジなど黄色というよりオレンジ色に近い山吹色。空が明るい。ワイン色でなく鮮やかな赤も多い。特に沢の近くの木々の色が濃い。
ガレ場で先ほどまでいた前尾根のP3の岩壁とやぐらを見上げる。高い!凄い!


藤内沢出合下で少し雨が降り出した。傘をさして紅葉の下を歩くのも風情があっていい。もう岩を降りているので雨が降っていても気が楽。

風もなく穏やかな秋の日、Hさん、Yさんのおかげで楽しい岩登りができて幸せ。
今日の前尾根から見た美しい藤内壁、国見岳の紅葉を私は決して忘れないだろう。人生の残り時間を考えると、何度も見る事ができる情景ではないもの。

錦繍御在所岳。大自然が織り成す綾を深く心に刻んで山を降りた。

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