前尾根
     1212m
(三重)


2007年6月16日 快晴

P7:00〜(裏道)〜前尾根(P5〜P3)〜(裏道)〜望湖台11:15〜峠〜鎌ケ岳12:55〜白ハゲ13:15〜犬星の滝14:00〜(長石谷)〜P15:15

裏道登山口駐車場には珍しく数台のみ。中ほどに置く。
天気は快晴。雲ひとつない青空。湿気も少なく爽やか。
今日は新しい夏靴。すごく軽くて歩きやすい。裏道の登山道も意識して踵を下げるように歩く。どこかに力が入ってるのかなんか疲れる。踵を下げるということはふくらはぎを伸ばす、膝を伸ばすということらしいが・・・。
「筋肉を疲れさせないように体重移動だけで歩く。」私にはなかなかできない。いつも膝を曲げたまま次の一歩を出しているのかな?

よんの渡し。
ヤマボウシが白くなった。
クルマバツクバネソウの葉が綺麗。


ウサギの耳。
紫色のタツナミソウが綺麗。ウツギが咲き出した。白い花は青空に映える。


テストストン。
新しい靴はどうだろう。乗って押し付けて踵を下げる。膝を伸ばす。そして踵を上げ下げして滑る滑らないを覚える。
片足に乗った時、右足はうまく下がっているが、左足が上げすぎ。確かスキーでも言われたけど・・・。
子供の頃手術したことがある左足。いつも知らず知らずかばってしまうのだろう。
テストストン中ほどで乗ってみる。乗れるけど落ちそうで不安。とても上まで行けない。
又、慣れたテストストン左端で練習。新しい靴は吸い付くようで気持ちいい。
先生はスニーカーで、土踏まずくらいまで曲げ押し付けている。

P7に三人。
初めての人に先輩二人が指導中。

P6。
取りつきをどう登るのか教えてもらう。今日はここP6も巻き道から。


P5。
初めてきちんと下で確保してからスタート。
終了点のモアイ像からは目の前に展望台、ツルム、オニギリの中尾根がデーンと。空気が澄んでいるので岩壁もくっきり見える。
新緑に包まれる藤内壁中尾根。すっくと聳える岩峰に光が降り注ぎ岩肌を輝かせている。神々しいような威圧感、近寄りがたいような神秘的な雰囲気に眩暈さえ感じる。眩ゆく美しくそして魅力的・・・。
マイナスの滝からブッシュを歩いて展望台の一センチのスタンスからクラックを。その後ツルムの中ほど左のクラックを登ってコルに降りるのだとか。オニギリへのクラックがとても難しいらしい。
私が中尾根オニギリを登る人を見たのは一度だけ。ハイレベルすぎて、今では行く人が少ないのだろう。

P4。
二週間前のイワカガミは枯れていた。距離が長く楽しい岩。中ほど二つ目のカラビナあたりで右岩に出る。
終了点近くで中に入り過ぎないように早めに外に出る。すると先週四苦八苦したのに楽に上がる事ができた。広場に下りてザイルをコンテにする。

ななし。
アイゼン跡の上スタンスがない所、ていねいに片足に乗って押し付けてみる。新しい靴は気持ちよく乗れる。
広場で小休止。餅、アクエリアスを水で薄めた物。
白い前尾根P3を見上げる。最近「岳人」であちこちの岩が紹介されているがこんな綺麗な花崗岩はあまり見かけない。私が知らないだけだろうけど・・・。黒っぽかったり茶色だったりするとちょっとがっかりする。
たしか白馬鑓ヶ岳を白い貴婦人と感じたが前尾根もそう。「白い前尾根はどこかヨーロッパ的。」
この靴で6級フェースの右側ルート、いけるかな?

P3。
取り付きにくい岩。スニーカーのTさん、「滑る。」といいながら登ってしまった。
同じ所を行ってみるが左足にうまく乗れず滑り落ちた。あきらめて北谷側から大きいスタンスに乗る。
重心を考える。重心をずらしたから滑った。一度決めたら動かさない。
チムニー。
「6級フェースを見に行こうかな?」といっていたがここまで来てから気がついた。すっかり忘れた。
早くから中に入ってしまわず体を外に出して中ほどで楔になる。チムニーでの足の使い方は楽しい・・・。
終了点の丸い岩。
上の手がかりをしっかり持って課題の二歩目右足、押し付けてみるが先週同様うまく乗り切れない。体重移動がうまくできない・・・。
そのまま二ツ岩右へ。
コルに降りる。前回もどうしていいかわからずここで確保をとっていなかったが・・・。
よく見れば降りたその先の岩にボルトがあった。また何もない時はエイトノットでワッカをつくって岩にかけるなどする。

コルで「命綱」のザイルを片づけ終了。
頭の上で鳥たちのラヴソング。枯れ枝や木のてっぺんでさえずっている。
軽く食事。アップルパン、さくらんぼ。
目の前に国見岳の岩場。今日は空気が澄んではっきりくっきりすごく鮮明。登山者も小さく目に入る。
見下ろせば朝のP7の人がゆっくりと今P4。こんなに好天なのに他に誰もいない前尾根。岩は乾いて快適なのに、もったいない。
今日は気を抜かないようにもう少しヘルメットのまま。

ヤグラを見上げる。ほとんど垂直の難しそうなクラック。
ヤグラ上の前回落ちた岩に来た。マンサクの一枝が折れている。この木に助けられ、確かな一歩がどんなに大事か身をもって知った。恩人じゃなく「恩木」かな。



P1。
ヘルメットを取る。澄んだ青空に吸い込まれそうな気分で前尾根を歩き終えた充実感に浸る。私にとってここは御在所最高の場所。やはり天気がいいと気分もいい。

ケルン。
山頂がわずかに白い御嶽山、白山を望む。
遊歩道でアサギマダラを見かける。もう来たの?そのハンカチが舞うような頼りなさで・・・。6月はじめには渡っていることを知る。

望湖台。
一番前の岩で谷からの爽やかな緑の風を感じる。でも陽射しは強く初夏のもの。
鮮やかなみどり一色の上水晶の尾根。そこに咲く白い花。ウツギ?・・・。朴木の花も咲いているようだ。



峠道。
沢を歩いてきたのか地下足袋の人、スニーカーでハイキングの若い人、落ちないように紐で幼児をくくりつけて歩くお父さん、大声で歌を歌う外国の方など。山の楽しみ方いろいろ。どの人もそれぞれにハイな気分。山には人を元気にさせる不思議な力がある・・・。
澄んだ空に筋雲が綺麗。秋のよう・・・。緑光る雨乞岳からの風を全身で受け止める。めちゃくちゃ爽やか。気分は最高。
今標高千メートルまで新緑に被われて美しい日本の山。これから一ヶ月かけ三千メートルの高さまで新緑前線が進むのだろう。高所恐怖症だけど「鳥になって」一度空から眺めてみたい緑の日本列島・・・。

露岩。
手を置こうとしたらそこに蛇が日向ぼっこ。むこうさんが私の声にびっくりして退散した。

山頂手前の岩場。
一歩一歩確かめながら岩に乗る。何処でも吸い付くように乗れるこの靴、気持ちいい。

鎌ケ岳山頂。
大岩に乗って私の岩へ。見下ろせば水量谷にも朴木の花。白く大きく目立つが花数は少ない。
「そんなことして・・・。」という目で見られ声をかけられ早々に降りる。


南方は仙ケ岳の後方の山まで望める。入道山頂だけがなぜか若草色。綺麗。イワクラ尾根も鎌尾根も緑に包まれ春に歩いたルートはわかりにくくなった。

岳峠。
ここから仰ぐ鎌ケ岳は緑の夏山。若々しく生き生きしている。緑の鎌尾根もいい。


しばらく降りると登山道脇に朴木の大きい花。空に向って凛と咲く姿に何者にも動じないような強さを感じる。同時に「はすの花みたい。」。連想するものが似ていた。

アオスジアゲハ?アブのように止まって八の字を描いている。蒼みどりの羽が光を浴びて綺麗。

長石谷からの涼風を頬に肩に感じ心地いい尾根歩き。突然扉が開いたように視界が広がる。白い岩と緑の峰が目に飛び込んで来て白ハゲ。この瞬間とこの眺望が好き。
雪崩れのように流れ落ちる砂ザレを歩く。気持ちいい。大岩に乗って急斜面を降りる。
ふと見上げれば綿のような白い花、これがコバノトネリコかな?


馬背尾根から犬星の滝へ。
先日の大雨のため、水量が多くて迫力がある。


谷のあちこちの滝も堂々としている。
余り目立たないツクバネソウの花。ホトトギスの葉。緑の淵にはイワタバコの葉。シロイトソウ。
滝の上のいつも倒れそうに思って怖かった大岩が消えていた。


帰り、スカイライン道希望荘周辺で色づくあじさいに見とれる。花は気分がすーっとするような魅力的な蒼い色。
梅雨のさなかとは思えない好天に恵まれた今日、爽やかな山を満喫できて幸せだった。

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