前尾根

         (三重)
MAEONE

2007年9月1日 晴れ

裏道P7:00〜小屋〜前尾根(P6〜P3)12:50〜(前壁ルンゼ)〜前壁〜裏道ザレ〜小屋〜P

作品展の写真4枚を背負っていく。重い。
ミヤマウズラを見つける。目立たない花。

小屋テストストンで少し遊んで裏道を登る。なんか蒸し暑い。先週の南木曽と比べると鈴鹿は湿度が高いのかな。だから体も重い・・・。

ウサギの耳上で山栗を見つける。緑の棘棘に秋を告げられた。藤内沢入り口ではエゴノキの実。春、花は白くて可憐だった。秋に見る実は表面がガサガサして綺麗とはいえない。

藤内のテストストン。
二ヶ月ぶり。久しぶりだけど楽しく登れる。
P7通過。


P6。
草もち一個。ひもの結び方を忘れた人一人。エイトノット、インクノット・・・。困ったものです。
Oさんお奨めのエイトノットとエバンスの組み合わせで結ぶ。困った人もしっかり結んで今日は登山靴でスタート。
緑色ザイル。真ん中はOさん。ザイル中ほどで安全環つきカラビナにインクノット。末端は私。
先に上ったOさんはカラビナを掛け替えている。
次に私。やっぱり何回登ってもドキドキする。何時になったら平気になるのかな・・・。絶対落ちない自信がついたら?それなら何時になることやら・・・。
左足を3センチほどのスタンスに。右足に乗せかえる。すぐにもう一度乗せ替えて左足をクラックに。ここが不安ですぐに立てない。何度も左足の位置を確かめて乗り込む。岩に立つ。
カラビナをはずす。右足を少し下のスタンスの一番前に乗せて狭い岩場を匍匐前進する。両足とも入ってチムニー下へ。
登りきるとOさんが確保してくれていた。自分の確保をして最後の夫を私が確保。ザイルを引きあげるのに腕や掌の力が相当いる。腕を鍛えなくては・・・。こんな人が確保するのでは安心できないよね。夫が上がって自己確保。

チムニー。
ザックを4個上げる。
中ほどから左上に進む感じで。お尻下の足の置き方がうまくいったようで早く登れた。めちゃくちゃ楽しいチムニー。
登山靴の夫もスムーズ。ここはクライミングシューズより靴の方が登りやすい?

マントル岩。
Oさんがトップで。上の平たい岩で自己確保する。まっすぐ登ってマントル岩左手前スタンスに左足。私もうまく登れた。
コンテにする。
しばらく歩くと登山道脇にはミヤマママコナがいっぱい。群生している。
その中に白い小さい花。リンドウみたいでつる性。ツルリンドウ。


P5。
コンテのまま歩く。ここも楽しい。
登りきるとどーんと中尾根が目に入る。ツルムとオニギリ。この瞬間が好き。

P4。
コンテのまま下のボルトまで進む。ここでスタカットに。
私が先に。カラビナを二個持つ。すぐに一つめのハーケンが現れる。そこにカラビナをかけザイルを通す。二つ目もすぐ。少し右岩に出て次々現れる岩を見つめながら進む。楽しい!「ここにこんなスタンスがあったの?」などと岩と話しながら・・・。
以前入りすぎた終了点岩は、手前で右岩に出て左岩に乗りかえると苦労せずに登れる。忘れていなかった。
終了点のボルトは3箇所ほどある。前回と同じボルトの下に立つと確保がうまく出来た。たしか前は岩の上に立ってしまい、ザイルを引き上げるのに困った。肩がらみができないし・・・。
「完了」Oさんが登ってくる。速いので引き上げるのも忙しい。あっという間に登ってきた。コンテにして下の広場まで。続いて私も降りる。
先生は岩の上で肩がらみ。右手で引きあげて左手で下げる。少し真似て練習。青空が広がって黒く見える岩と岳人のシルエットが美しい。



名無し。
コンテのまま楽しく登る。裏道を登る人が大勢目に入る。

P3。
6級フェースの懸垂下降?こんな険しい所で?怖い。北谷まで落ちそうでとてもできそうにないよ。
では前回同様に登ることに。先生は岩の上へ。青のザイルが降ろされる。このザイルはなぜかシャカシャカしてエイトノットが結びにくい。余り使ってないからかな?
フェース中ほど、前に一回止まっただけで登れた所がまったく進めない。怖くて足が震えだす。
クラックに足を押し付けるがズズッと滑り落ちる。足を置き換えてみたりするがなかなか左足に乗りこめない。体重移動のことをすっかり忘れている・・・。


クラック右面の何にもないように見えるフェースだけど、よく見れば右足だけ乗せている横長のスタンスの上あたりに小さい細かいスタンスがあった。
そこに足を乗せかえ「ここで諦めては苦手意識を持つ。」と根性で挑戦し続けると、何度目かにクラック内の小さなスタンスに左足を乗せる事ができた。「靴を信じて。」思い切り乗る。左手上にガバが現れ終了。やれやれやっと登れた。

ふと大地を見れば黄色と緑のパッチワーク。「綺麗。」実りの秋を迎え黄金色に輝く田圃が目に入ったのだった。
先生の肩や首、大丈夫かな・・・。

登るとザイルは尖った岩にかけられている。「ボルトが古そうだから。」この夏、屏風岩の200m滑落死亡事故はボルトがはずれたらしいから。そのボルトが使えるかどうか判断できるようになるのも経験を積まないとできないよね。すべて自己責任なのだから。

しっかりした三角の岩にエイトノットされたザイルに自己確保。
前回余り簡単にできたものだから今日の苦労はなんだろうと考えてしまう。思えばチムニーだってそう。できたりできなかったりして今楽しくなっている。
きっとこのフェースもそうだろう。前できたからって今日もすんなりできるとは限らないよ。又、すぐにできないから面白いのだろう。なんせ6級なんですから・・・。
フェースよりクラックの方が登りやすいそうだ。隙間に手や腕をジャミングして登れたりするから



チムニー。
中ほどで足を開いて楔になる。ザックを後ろの岩に押し付けて終了点の岩。三歩目の左足ができない。「6級フェースでこんなのがあればと思ったでしょう。」
そう思えばいいの?確かに先ほどのフェースの小さいのに比べればはるかに大きいスタンスだ。じゃ次回はそう思って思い切り乗り込もう。
終了点少し上からカメラを構えるとものすごい高度感。後の二人はとても危ない所を登って来た・・・。ここはP3の核心部。


誰も来ないのでここで昼食。次々人が来ると焦るし、ちっともゆっくりできないけど今日は前尾根独占状態だからいい。

楽しい岩遊びの後のおにぎりは格別。巨峰、梨もみずみずしく美味しい。一壁、バットレスを見下ろす御在所最高のこの岩場で食事なんて幸せ。
九月に入ったからか前尾根は暑くも寒くもなくめちゃくちゃ気持ちいい。岩にもたれてすっかり寛いで、もう動きたくなくなってずっとここにいたい気分・・・。ゆったりまったり時間。まるで時間が止まってしまったように錯覚する・・・。

秋の初めに素敵な天候と時間を用意して下さった御在所の神様に感謝してそろそろ降りよう。
今日は岩も乾いているから前壁ルンゼから。鎌ケ岳に行く予定のOさんも一緒に。
一歩間違えば左手裏道へ滑落するような岩場だから慎重に。


緊張しながらしばらく降ると前壁下に到着。以前下降訓練に使われたらしい古タイヤがそのまま置いてある。
しばらく壁を見上げて北谷から裏道ザレ場へ。ススキが秋の風情を漂わせている。ここからやぐらとP3、ななしの岩を見上げる。6級フェースはわからない・・・。
楽しく裏道を降って藤内小屋に到着。

青空作品展。
私の素人スナップ写真も仲間入り。前尾根の魅力に惹かれてお手伝いもせずにごめんなさい。
写真、絵画、絵手紙、ちぎり絵、漫画などいろいろ展示されています。
9月の土日祭日、藤内小屋前。展示時間は8:30〜15:30(雨天は小屋内)
御在所へ見えたら小屋へもお立ち寄りください。
少し作品展の宣伝をさせてもらいました。


我々は何時ホンちゃんの岩へ行けるだろう。
エイトノットもインクノットもよく解っていない未熟者ではバットレスや北尾根はまだまだ・・・。上へも下にも動きが取れなくなりそうで不安・・・。二人だけで行ける自信はまったくない。ガイドツアーの料金も高いし・・・。
まして残雪期の宝剣中央稜なんて憧れるけど夢のまた夢・・・。
岳人9月号「登山界へ」「放言5・今時のなんともせっかちな人々」でK氏はもっとゲレンデで練習を積んでからホンちゃんに行くべきだと言っている。クライミングは下積み五年が普通と。
前尾根を数回経験しただけの我々ではやはりなんともせっかちすぎる・・・。
ということで「先ずは御在所で焦らずしっかり練習を積みましょう。きっとホンちゃんはその先に見えてくることでしょう。」と自分で自分に言い聞かせる。

・・・でもやっぱり早く行きたいホンちゃんの岩登り。
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