前尾根

         (三重)
MAEONE

2007年12月8日 晴れのちくもり

P7:15〜藤内小屋〜(裏道)〜前尾根(P6〜P3)〜(藤内沢)〜P

裏道登山口駐車場に車は二台と少ない。今日は前尾根でアイゼンワーク。岩をアイゼンで歩けるかな?初めてで少し不安・・・。
まずテストストンで練習。昨夜、合わせてもらったグリベルのアイゼンをスカルパにつける。まるで高下駄を履いたよう。意識して足幅を開き気味にしないと左右のアイゼンの歯同士ひっかける。岩にガチガチとアイゼンの音。
内側の前歯一本に乗るようにする。その歯を真ん中に外側と手前の二本合計三本を岩に押し付けると三点で引っ掛ける感じになる。臨機応変に前歯外側に乗り込んだりする。
体が固くなってヘッピリ腰になる。腰が疲れる。片足に乗り切れない・・・。
真っ直ぐ登るのはまだ前爪に乗れるが、トラバースは難しい。
テストストン左端から離れて中ほどで練習。小さいスタンスでは靴同様、しっかり片足に乗り込まないとずずっと落ちる。踵は靴の時より上がってしまう。というより意識する余裕がない。(引っ掛けているから意識しなくていいようだ。)

ヒンズースクワット。
しゃがんだ姿勢で片足を伸ばして反対の足だけで立ち上がる練習。伸ばすだけでも結構きつい。
ザックを背負ってテストストンを登る。落ち葉などを踏んでアイゼンで巻き道を歩く。


P6。
ザイル一本で三人。真ん中が私。安全管つきカラビナにインクノットでつながる。自己確保をして上の人の確保も二番手の私。ルベルソで。
岩にアイゼンの音がガチガチ聞こえるので今相手がどの辺にいるのかがよくわかる。
自己確保をはずして登り始める。靴と違ってなかなか感覚がつかめない。左足に3センチの小さいスタンス。前爪一本で乗る。足を伸ばす。膝を伸ばす。怖くて伸びない。左足が伸びると靴の時同様に右足を交差できて上へ。できた。ザイルの架け替え二回。
次の左足、V字になった岩の隙間に。靴なら楔のようになるがアイゼンではどう置くのかわからない。同じように置いてこれで滑らないのだろうか?怖くて乗り切れない。「どうか滑らないで。」と祈りながら乗る。P6のこの一歩が今日の核心部。(後日、聞いたところ靴と同じ楔になる置き方で正解)
隙間を這っていって足から体ごと入る。チムニー下に到着。自己確保をして三番目の夫を確保する為、ザイルを引き上げてビレイ。ガチガチ音がして夫が上がってきた。

チムニー。
朝からここが絶対できないだろうと覚悟していた。と言うより「アイゼンワーク」と言う言葉を聞いてからずっと・・・。
出っ歯になっている前爪を岩の小さいスタンスに押し付ける。両足とも前に掛けて、後ろへ足を置くのを忘れている。「後ろ足」をお尻の下にと意識する。丁度お尻すわりするような体勢で。その時、腰を浮かしてずり上がる。思ったより楽に登れた。疲れなかった。新しいアイゼンで歯が鋭いからかな・・・。
自己確保をして次の夫をビレイする。アイゼンがうまく前に掛からないし、後ろ足も忘れている。ずずっと落ちたりすると握力がない私は支えられない。休んだり、体の向きを変えたりして到着。なかなか思うようにできない。うまく出来たりできなったりするチムニーて不思議。ちなみに夫は12本歯。私は10本歯。
今日偶然うまくできた私は「めちゃくちゃ楽しい!」いい気分。夫は荒い息使いでしんどそう。

その後の垂壁。
一番下のスタンス。大きいのにさっと乗れない。上のマントルも抱きかかえてから足を交差させるのが大変。靴とは感覚が違う・・・。
コンテにする為、トップと三番目がザイルを巻き取って肩にかける。真ん中の私は何も持たなくていい。

P5。
コンテで楽しく・・・。平らな面にはアイゼンをフラットに岩に置く。一番上で右の岩に乗り移る。


P4。
ビレイ地点までコンテで。
真ん中の私、自己確保をしてトップをビレイする。ガチャガチャアイゼンの音が次第に高く遠くなって「終了。」の声。
自己確保をはずして「登ります。」岩についたアイゼン跡に自分のアイゼンを置くとしっかりはまる。途中のカラビナでザイルを架け替える。ピッチ中ほどで右岩に乗り移るが靴より難しくさっと乗れない。体重移動がうまくできない。終了点手前でピッチが切ってあるのでそこまで。
自己確保をする。ザイルを引き上げ三番目の人をビレイ。
三番目の人が登って自分で自己ビレイ。
トップが終了点へ次のピッチを登る。真ん中の私がトップのビレイをしながらザイルを出す。「終了。」ザイルが引き上げられる。自己ビレイをはずし登る。
たしか終了点手前は入り過ぎないことだった。アイゼンばかりに意識が行って、以前登ったのにすっかり忘れてしまっている。まったく初めてと同じで入りすぎた。一度右の岩に乗って体を外に出す。姿勢をやや左向きにするとうまく登れた。自己ビレイする。
先ほどのチムニーで、握力のない私は普通の手袋では滑る感じだった。今度はその上に皮手袋をはめザイルを引き上げる。そして三番目の人をビレイする。
三番目が登って自分で自己ビレイ。私は自己ビレイをはずして下の広場に降りる。

名無し。
コンテで。靴ではいつも滑りそうだった岩、今日は小さいアイゼン跡にうまく乗れた。ここはアイゼンの方が楽。

広場へ。
休憩なしで進む。藤内壁を見れば、奥俣の滝や三ルンゼ上部には氷がついている。白い。いよいよ御在所に氷の季節が来た。


P3の取り付き。
いつも靴では北谷側から乗る。今日はアイゼン跡を使ってそのまままっすぐ乗れる。さらに六級フエースの上あたりからチムニー直下までコンテで。ここでザイルが岩にひっかかってドキッとする。幸いすぐ外れた。ザイルの扱いがうまくできない・・・。
この後用事がある夫が「もう11時!」と急かすように言った。何でもそうだけど焦るとパニックになって身動きできなくなる私・・・。案の定しばらくパニック状態から抜け出せない。できないのを夫の所為に・・・。
深呼吸して心を落ち着け岩を見る。左足膝辺りにアイゼン跡。乗れた。右足は右のクラック岩に大きく出す。足を前後の岩に楔に開いて背中を後ろの岩に押し付けてチムニーのぼり。やっとパニックから抜け出せた。
次のスタンスは、いつも靴では怖くて乗り切れないところ。今日はアイゼンだから岩についた大きいアイゼン跡に自分のアイゼンを押し付ける。ここはアイゼンの方が楽しい!
チムニー上の岩に到着。

自己確保をする。ザイルを引き上げ、三番目をビレイする。夫は終了点のビレイ岩まで登ってきた。
前尾根に人が来た。三人、広場で休んでいる。ガイドのMさんかな?
その後トップがP3終了点二ツ岩下へ進む。トップをビレイする。
次は私。自己ビレイをはずし、靴でも怖いスラブ岩の北谷側を歩く。やはり怖い。斜めの岩なのでアイゼンをどう置いたらいいかわからない。手が短いので左のスラブ岩もつかめないし。どう行ったか覚えていないがより安全と思われる小さいスタンスに乗って無事通過。二ツ岩下へ。
三番目の人を肩がらみで確保する。岩の隙間にザイルがひっかかって引き上げにくい。もう一段上の岩へ乗り、そこで確保すると今度は楽。左は脇にかけ右手は肩から手繰る。岩を抱きかかえ降りて登攀終了。


降りは藤内沢。
冬に奥叉の滝を見に行く辺りの斜面?が崩れ落ちた。さらにまだ崩れそう。パラパラと小石が落ちてくる。既に木の根や苔も沢に落ちている。
こんな危険な所は早く通過せねば・・・。
マイナスの滝下に来た。しっかり足元を見て降りる。滑落しないように慎重に一歩ずつ。
コウモリ滝からフランケ下へも焦らずに。
最後の廊下のような岩の隙間は、以前雪の日に藤内滝まで私が落ちたところだが・・・。後ろを向いて特に慎重に降りる。

こんな時間からでも一壁下から三人ほど藤内沢を登って行った。


気づくのが遅かったが、ヤグラ下あたりから先生の体調がよくなかったようだ。
前尾根が寒かったし、何も食べずに行動したし・・・。
荷物を軽くする為いろいろ置いてきたので、暖かいものがない。こんな時の為、冬は必ずテルモスを持たなければ・・・。

中道分岐あたり、鮮やかなヤマブキ色が目に飛び込んできた。黄葉に空が明るい。

アイゼンワーク。
靴の時とは感覚が違う。しっかりしたスタンスがないと岩に滑る。
アイゼンワークは、重心を考えた体重移動や、片足に乗り切ることなどを確実に身につけた上でのステップアップ。その基礎はすべて登山靴での岩登りにあると思った。私の場合、先ず靴でしっかり岩を歩けるようにならなくては・・・。
又手袋をしたまま岩を持つという動作、これもとても一朝一夕にはできない。
アイゼンも手袋も繰り返し練習しないと・・・。

前尾根、岩のアイゼンワーク初体験。雪こそなかったが冬には冬に身につけなければならない山の技術があった。しっかりアイゼンワークを身につけるには、先ずアイゼンに慣れる事。秋口から中道でも練習しようかな・・・。
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