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終了点に着くと吹き飛ばされそうな風。ちょうどチムニー上だ。
風が怖くて急いで自己ビレイする。ここからは懸垂で降りる。トップさんがボルトにロープを通して懸垂の準備OK。一回目、風にロープが吹き飛ばされて北谷側へ行ってしまった。引き上げてもう一度ロープを投げると、登って来たルートにうまく流れた。気象条件によっては岩も用具も思うようにならないことが多いようだ。
この風の中、私はうまく降りられるだろうか?
ロープにプルジックを巻きつけて安全環つきカラビナにかける。それを少し下にずらす。ほとんどアンカーのボルト近くでデージーチェーンにルベルソをセットする。こちらが体に近い方。プルジックの振られどめは体から離れた下側にする。そのプルジックを右手に持ち、先のロープを持った左手を腰辺りに置く。チェックしてもらって下降開始。
思い切り体を倒す。体が真横になるくらいに。お腹や腰に力を入れる。登って来た岩をそのまま降りる。強風に振られないように、足幅を開く。膝を伸ばす。下を見る。
一番下の取りつき地点まで降りるとロープがいっぱいだった。50mロープだからP6の岩稜は25mあるようだ。
H山岳会さん三人が来て、右のフエースから登りはじめた。彼らも「風がきついから」とザックは持っていなかった。
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P7藤内沢側まではクライムダウンで。肩がらみでビレイされて丸岩後ろへ降りる。そこに藤内沢側からの別ルートのボルトがあった。ここに自己ビレイ。
本日の核心部、P7懸垂下降。
アンカーの大木に到着すると、K山さんが一人で「にこにこトラバース」を練習していた。
木の根で自己ビレイする。
トップさんは大木にロープをかけ、ハング岩の降りる方向にロープを投げる。私は、下降器をセットしてチェックしてもらう。
トップさんが、先に降りて、下からハングの降り方指導。足先が体より上になるくらい体を倒すと、振られることなく足が岩に入る。ハングが大きい下岩も同様、真横になるくらい体を倒して岩に入る。
その後、足を掛ける岩壁がなくなって空中懸垂となっても安定している。地面に足がついたらさらに腰を落としてしっかり体重をかける。少し高い所に上がるとロープにゆとりができる。足元がしっかりしたらルベルソなどを解除する。本日二回目の懸垂下降。
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P7の取りつき地点に来るとここにもH山岳会さん数名。皆、ザックなし。
ジャミングするため、手にテーピングしている。トップロープで、上部「蛇の皮」を登って行った。手は抜けないのかな?見ている間に終了点についてロアーダウンしている。はやっ。
P8。
はじめてだ。テストストンの下へ降りる。取りつき地点に行くのが怖い、危ない。慎重に木などにつかまる。
メインロープとデージーチェーンで二ケ所ビレイする。足元の落ち葉や木の根が濡れているので乗らないように。下部の岩も湿っていた。足場が悪い。
直登ルートもあるようだがとても無理。右にトラバースしてからフエースを登るルートで。
チョークをつけてもらってあるが、いつもながら取りつけない。靴も岩も濡れているし、それに手足の短い私に届くホールドがない。左手だけで岩に張り付いたまま手探り状態。上のガバにも手が届かないし・・・
不安定でへっぴリ腰になりながら、さてどうしたものか?そうだ、こんな時は足を上げるんだった。慎重に小さく足の乗せ換えをすると上のガバに手が届いて、右上のスタンスに乗りこめた。
「やったー」ここがP8核心部かな?「足で登るということ」を実感した瞬間だった。その後は、岩をしっかり見てスラブを歩く。
今日三回目の懸垂下降。
慣れて、自分でも信じられないくらい体を倒すことができた。はじめて「楽しい、気持ちいい」と感じた。又、すぐ元へ戻って怖くなるだろうけど・・・やっぱり岩登りは慣れかな?
足元が不安定なので滑らないように着地して慎重に下降器をはずす。無事終了。
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強風の今日、新たにP6前半のトップ体験とP8、懸垂下降特訓ができてよかった。天候がイマイチの時は、無理しないこと。上へ行かずに下だけで練習できる。
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小屋から望む大地はみどりと黄金色。麦秋・・・強風に空気中のゴミが飛ばされて景色が鮮やか。伊勢湾は目が覚めるような蒼だった。
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