前尾根

        1212m (三重)
GOZAISYO

2010年6月5日 快晴

P7:00〜(裏道)〜小屋7:25〜(前尾根P7〜P2)(8:30〜13:00)〜(前壁ルンゼ)〜(裏道)〜小屋14:30〜P15:00

駐車場でH山岳会さん。
「今日は一壁、明日は前尾根。今夜は道の駅で野宿」と言っている。年度が新しくなって、参加者が多いらしい。
雲ひとつない澄んだ空。大気が爽やか。山も空もくっきり鮮やか。めちゃ気分がいい。

藤内小屋。
仰ぐ砦岩に月が残っている。月と新緑の山なんて風流・・・
白い北谷からみどりの山を仰ぐ。美しい・・・


藤内沢出合。
岩壁に新緑の縁取り。光が溢れてバットレスが白く輝いている。今日は最高のクライミング日和になりそう。



P7。
もうすでに取りついている人がいる。下からは伊吹さん夫婦。「今日は中尾根」
直ぐ後の二人は先に取りつきへ進んだ。その後の人は、一壁へ行くようだ。


我々はダブルロープで、ノーマルルートから。

今日はザックがあるから重い。トップさんは丸岩でビレイしていた。
直前の二人は遠路金沢から、初御在所。トップの女性がベテランらしい。背が高く、手が長く、とてもバランスがいい。

P6。
いつものリッジルートを私が初めてトップで。二本のロープを掛けていく。乗り越しは特別製カラビナで・・・はずして普通のビナに掛けなおす。セカンド二人をルベルソでビレイする。ロープが細いので、頑張らなくても引き上げが楽。
二本のロープを交互に引く。常にぴんと張るようにする。なんかすごいショックを感じた。この時は、私がきちんとビレイしているか試しているんだろうと思っていた。

二人とも上がってきて知った真実。だれかさんが一番はじめの壁で本当に1mほど落ちたらしい。ルベルソでなかったら大変。H谷さんに言われた言葉が頭をよぎる。「岩を怖がらない人は岩登りはしない方がいい」って。 御在所の神様からの忠告、ちゃんと聞いてくださいね。貴重な体験だから・・・

跳び箱岩は半マストで。このビレイでは絶対止めることができない!あとのP3あたりで教えてもらうが二本のカラビナだと流れない?

イワカガミが足元にいっぱい。前尾根は気温が低いから花が遅い。


P5。
今日の核心部、前尾根フランケ藤内沢側ルート。挑戦するのは二回目。
取りつきが難しい。左足、左手で体を左に振る。ガバに掛けた右手を掛け替えて進む。今日は自分の力でできた。その後のスラブは下を見ないで進む。
真ん中の木のある岩に到着。なんとしても取りつけない。今日も上のガバに手が届かない。押し上げてもらって進む。岩に体がくっつきすぎかな?もう少し右から取りつくのかな?

そして、難関の切れ落ちた岩。
もたれかかって足を乗せ換え左へ進み、右に巻く。終了点手前の古いハーケンにシュリンゲとカラビナを掛け、それに自己ビレイする。三番さんが上がったので、終了点にもカラビナをかけて岩を抱きかかえるように降りる。無事終了。

伊吹さん夫婦がツルムのチムニーを登っている。



P4。
今日は凹角ルートと同じように取りつく。三回目のすべり台。上部中ほど、ホールドが少ないので立ち止まってしまった。

今度は、伊吹さんがツルムとオニギリの間にいる。すごーい。


P3。
カンテから登る。6級フエースから登る人の為、支点にカラビナをかけていく。チムニー下でビレイ。ロープが直角になるので先ほどの支点にランナーをかけてもらった。すると角度が緩やかになってロープの流れがよくなった。

ここで、先生が半マストのビレイを二本のカラビナでやって見せてくれる。すると不思議、流れない。なぜだろう、カラビナでロープを挟み込むからかな?こんなことも知っているといざという時に役立つそうだ。


P2。
手前にイワカガミの群生。前回、取りつきが難しかった。右足をクラックに、左足は壁をスメアリングしたらうまく登れた。上部は右岩に体を出して左上のガバを持つ。わかっているけど、左足を上げることができない。頭を上げすぎないようにして、チョックストンを超える。左岩をマントル。
「うまく右岩に出るには、足をもう少し上げてからガバを持つ」

懸垂下降。
「リッジ状になった上部の岩は足で挟み込むようにして降り始める」 そうして見るがやはり振られて怖い。その後はフエースを降る。

金沢さんが来た。手足が長くて何処でも届くから、スイスイ登って行く。

目の前のみどり美しいシロヤシオとヤグラの黒い岩壁に魅せられる・・・
軽くパンとバナナで昼食。結局後続はなくて前尾根は空いていた。



今日は、前壁ルンゼから降りるという。以前、H谷さんから危ないので降りないように言われていた道だけど・・・

二年前の嵐以前から歩いていないし・・・崩落個所があちこちにあり、落ちてきたばかりの岩がゴロゴロしている。こんなのに出合ったら命がないよ。緩んだ岩に乗った細かい砂にも靴を滑らす。砂車?に乗って危ない。

前壁を仰ぐ。さっきまでいた前尾根のP3やP2の荒々しい岩場が、今は頭の上にあった。
以前の登山道に出てそのまま降るが、北谷に滑落しそうで怖い。たしか少し上にう回路があったはず・・・前壁ルンゼと旧裏道は危険。中道よりずっと危ない。

う回路に続く裏道に出ると、はじめて山登りという若い人が数名。コロコロ笑い転げて楽しそう・・・


藤内沢出合。
一壁にはびっしり人が張り付いている。ざっと数えただけでも十数人。みんな、そのまま青空に吸い込まれて天まで登って行ってしまいそう。

黄金色の大地、どこまでも澄んだ空、優しく頬をなでる風。午後になっても、少しも朝と変わらない最高の天気。爽やかな六月の御在所を独り占めして白い河原を歩く。ウサギの耳も立岩も格好いい・・・


小屋に近づくとコンコンという音が聞こえてきた。ボランテイアさんが玄関増設の大工仕事中。そして根ノ平に咲いたササユリと対面する。もうそんな季節!

駐車場で頭の上になにやら白い・・・それはエゴの花だった。

I木さんのおかげで、梅雨前の爽やかな今日、前尾根を歩けてよかった。トップとセカンド其々が体感したP6でのヒヤリ感、次に生かそう。岩登りにうっかりミスはありえない、できない、許されない。命がかかっているのだから・・・

来週は御在所のササユリに会えるかな・・・

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