エリザベッタ小屋  

    2258m (イタリア)
TOUR DU MONT BLANC
ボンノム小屋からのつづき。

2011年7月3日 快晴

ボンノムの小屋〜フールのコル(2700m)〜モッテ小屋(2090m)(昼食)〜セイニュのコル(2500m)(フランス、イタリア国境)〜エリザベッタ小屋泊(2258m)
(歩行8時間)

朝、小屋で水筒にお湯をもらう。外に出て、ひんやりした空気を胸いっぱい吸う。パラマウント映画の山が青空に映えて綺麗。

朝日を浴びて、フールのコルへと登る。ちょっとした岩場を超えると、残雪が出て来た。「わーい、雪だ雪」 岩と雪の世界。気温が低いから、しまって歩きやすい。ルンルン・・・

相方がカモシカを発見。遠慮して遠くへ行ってしまったが、ちゃんと雪に爪跡。誰かみたいに、雪、歩きたかったのかも。



小屋から、次々人が登って来るのが見える。ヨーロッパの人は誰もかも、ストックを持っている。その使い方がとてもうまい。はやい。

コルからは、右前方の崩れそうな岩壁を仰ぎながらの急な降り。これから歩くだろうと思われるジグザグ道を見おろす。

足元の岩屑はどれも艶があって黒く薄く剥がれたような形をしている。黒鉛が混じっているそうだ。



その岩屑の隙間をぬって花が・・・あの蒼い花「ゲンテイアナ」です。過酷な環境にも、当たり前のように咲いている。その健気さに心打たれ、神秘的なその深い蒼にも心奪われる・・・


振り返れば、フールのコルが遠く、荒涼とした丘に見える。

マメ科らしい紫の花にも惹かれる。ここだけに群生していた。


銀色の壁が見えて来た。私には雪に見えるけど・・・「黒い滝」は、緑の草原に流れる銀河!

水が流れていると思われる沢に沿って、白や黄色の花がもこもこと咲いている。花がそのまま川の流れ!面白い。


山肌一面が、見事にアルペンローゼにおおわれてきた。美しい緑の山。

斜面一面のお花畑を横目に、緩やかに降り続ける。ずっと左前方にエーギュ・ドウ・グラシェの白い峰を仰ぎながら。

生れたばかりの子牛の傍を通って、何十台もの車が駐車している広い駐車場へ。トイレは新しい。(知るとがっかりするけど、このルートは、何処でも、車で入れるようです)

放牧された牛のカウベルの音色を音楽のように聞く。ここは時間なんてないような、のどかでゆったりした空間だ。


広大な緑の牧草地や牛を見おろして、高巻くように登って行くとモッテ小屋に着いた。

小屋の中には古い農作業の道具が展示されている。スープ、オムレツなど、消化のいいものをいただく。
外にある立派な建物がトイレ。新しくて広い。高さが高いので苦労する。ヨーロッパの人は足が長い!



十人ほどのグループがやってきた。皆が、あたりまえのように、食事の用意をして、すぐにパーテイ。ヨーロッパの人は、食べることと歩くことをゆったり楽しんでいる様子。ハイキングだからか?日本の山歩きの「修行」と言う感じがない。

その傍で濡れたバンダナを干す。柔らかい日差しと、そよ風のお陰で、しばらくテーブルに置くだけで乾いた。


午後一番は張り出した大岩を超えての登り。休んだ後だから、ちょっときつい。モッテ小屋を見おろすようになると前方が開けて来た。

ヨーロッパの人はあまり帽子を被っていない。日差しが柔らかいから?日光浴の目的もあるようで肌を出す人が多い。

挨拶の「ボンジュール」も板についてきた。フランス人気分・・・


セイニュのコル。
フランスとイタリヤの国境だ。「やったー!」皆の表情が一気に明るくなった。「寒い」と言っている人には草陰で風をよけるようにいう。



国境に咲くゲンテイアネは、より深い青で、より美しい。まだ、傍に雪渓がある・・・


ここからはイタリアだ。

コル付近は荒涼として、草木がない。冬の厳しさを感じながら、前方のなめらかな緑の山に見とれて歩く。


すぐ、足元にお花畑が現れた。次々と、ありとあらゆる花が咲き乱れているので、のんびり目を休めている暇はない。「あっ」とか「おっ」とか叫びながら歩く。屈伸運動も忙しいし・・・

ヴェニの谷。
マーモットがあちこち走り回っている。岩に乗って、ちょこんと顔を上げる仕草が可愛い。私の技術では、うまく撮れなかった、残念・・・


小屋が見えて来た。その上には氷河も張り出している。「ルブランジュ氷河」
このコース一番人気の小屋とか。

湿原に白い花が・・・ワタスゲ!はじめて見る花だった。名前通り、綿のようにふわふわしている。傍には白くて小さな礼拝堂。絵になる・・・



明日、歩くコンバル湿原を右手に見降ろす。


すぐそこに小屋が見えているのに、風が冷たくて、寒くて、急な登りだし、なかなか小屋に辿りつけない。

やっと、到着。氷河からの冷気に、小屋の前にはとても長くは立っていられない。凍える!傍に氷河があるとこんなに寒いのだ。


小屋の玄関でスリッパに履き替え、靴は互い違いに結ぶ。

三階の屋根裏部屋へ。天井が狭く斜めになっているので、ねぼけて頭を打たないように気をつけよう。玄関、階段などは、すべて石でできている。できたばかりのようで新しい山小屋。明るくて綺麗。

予約を取るのが難しいとの評判通り、人がいっぱい!

シャワーは、コインを入れて使うもの。ここのはよくお湯が出なかったりするらしい。ぬるくて風邪をひきそうだった。でも気分はさっぱり。スリッパが濡れて困った。やっぱりサンダルがよかったな。トイレは水洗。

濡れたものは洗濯ひもにかけて干す。皆にもかけてもらって、間仕切りにする。今日も、ほとんど汗をかいていない。右足のコブは、バンテリンで手当。うち身で済んでよかった!

夕食。
サラダ、スープ、子牛のステーキ、マッシュポテト、フルーツ。おかわりもできる。この小屋の人気の秘密はここにあり。今日の夕食は豪華!ワインも美味しいし・・・

今年から、イタリアの小屋では、シーツを使うそうだ。化繊の寝袋タイプシーツにくるまる。毛布は一枚あったけど、なくても大丈夫。寒くなかった。

エレナ小屋へつづく。

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