入道ケ岳〜鎌ケ岳
 
    906m
    1161m(三重)

NYUDO

2006年4月22日 くもりのちはれ

宮妻峡キャンプ場P7:10〜(入道新道)〜入道ケ岳8:45〜(イワクラ尾根)〜イワクラ(仏岩)9:50〜水沢峠11:00〜水沢岳11:20〜鎌尾根〜鎌ケ岳(13:05〜13:30)〜(カズラ谷)〜P15:05

菰野庁舎前のR306から巡見街道を水沢へ。モミジ谷の新緑が目に沁みる。宮妻荘から宮妻ヒュッテへ右折れ。(道に迷って行き過ぎて戻る。)展望台のような車止めが二箇所。
山は淡い山桜色に被われている。美しい。去年はじめてきて二回目の宮妻峡。こんな綺麗な谷を知って幸せ。
駐車場あたりも丸で春色の絵の具をちりばめたよう・・・。薄緑、薄茶、薄墨桜のような山桜の少し黒っぽいピンク。芽吹いたばかりのその淡さがなんとも優しく柔らかく山肌を彩って綺麗。



内部川を渡って入道への新道をジグザグと登る。地質はヌルヌル。トリカブト、コバイケイソウの若葉を見かける。黒い鎧に赤い星ふたつの 「フタホシテントウ」も。虫も動き出した。春だから。そういえば先週「かえる」のなき声も聞いた。ヒルはまだ大丈夫かな?
尾根に出るとミツバツツジ。樹林越し背後に二日前に雪が降って山頂が白い御在所岳、釈迦ケ岳、鎌ケ岳、キララ峰。峠からの急な上りの水沢岳らしき丸い峰もすぐ右手に。それに続く鎌尾根もデコボコと。
今日のこの尾根は寒い。鎌ケ岳からの風が冷たくひんやりしている。カッパの上衣を着ようかなと思いながらもそのまま行く。笹は短く10センチほど。

北の頭に着くまでのこの尾根が好き。大空にでも続いているかのような笹原道を行くと視野が開けて右手にドーンと鎌ケ岳、御在所岳、キララ峰。大きく望めるようになるその瞬間がいい。
アシビが出てきた。淡いピンクや黄色っぽいものなど色鮮やか。この花を見ると入道ケ岳へ来たんだなと思う。冬鈴鹿おろしをまともに受けるのか、木々は強風にたえて風下にゆがんでいる。
北尾根北の頭から鳥居のある山頂へ。
何となく霞んでいるが、左手に広がる薄緑の大地を見下ろす。ここの緑は茶畑。伏流しているとかで茶色の川砂ばかりが目立つ内部川がうねうねと伊勢湾にそそいでいる。
入道ケ岳山頂。
鳥居まで行ってこの入道ケ岳はグルッと360度眺望が開けた山と分かった。(前回は心に余裕もなくまた見る目もなかったようだ。)
手を広げると体前面180度は大地を独占している。左手指先に養老山脈、右手指先には津から伊勢へと広がる伊勢平野、伊勢湾、知多半島。
背中の180度に目を向ければ石大神、野登、仙ケ岳から鎌ケ岳、御在所岳と続く鈴鹿の峰。
地球の丸さ、大地の広大さを感じる。こんな空間に身を置くと心も体も晴れ晴れして穏やかな気分になる。
厳かに鳥居をくぐる。二本松尾根、井戸谷、池ケ谷を見下ろして奥宮へ。振り返ると鳥居が遠くに。
アシビは見事な花をつけている。遠くから見るとほこりをかぶったような黄砂で被われたようにも見える。
新築された奥宮へ右折れ。
いざなぎのみこと、いざなみのみこと、あまてらすおおみかみ・・・。とこの社のいわれがかかれた立て札。よくわからない。



そのまま前進してイワクラ尾根へ。このあたりのアシビは大木で暗い感じ。風も冷たく肌寒い。
右側が崩れそうな尾根道を登り下り。木の根があらわになっていたりする。
アカヤシオはほとんど咲いていない。四月は寒い日が多かったからか去年より花が遅いようだ。
踏み跡が何箇所かあるので登山道を外れてしまったりする。そんな時は「一番楽なところを見る。」と道はある。
初めてアカヤシオ。それに続いてイワウチワを見つける。淡いピンクが可愛い。確か去年もたくさん咲いていた。やはりイワクラ尾根はアカヤシオやイワウチワが多い尾根なのだ。
重ね岩に続いてイワクラ(仏岩)に到着。
一年ぶり。友人に会ったような気分。谷側はこんなにスパッと何かで切り落としたように潔い直線を描いていたの?
岩手前のアカヤシオはまだ蕾。尾根上から見おろしていると小さく感じるが傍に行くと思ったより大きくて見上げる。
左周りに谷側へ。イワクラの谷側は平らでてがかりもない。前にテラスのような広い岩場があったように思ったが離れた所でとても狭かった。思い込みが激しい私の記憶はこの程度。
見下ろすとイワクラ谷はまだ冬の様子。尾根下方にアカヤシオの蕾が淡いピンク。萌黄色に染まるのは来週かな?
その後も宮妻峡への斜面崩壊部分はあちこちに。乗ると足元から土が崩れた。
大岩谷を過ぎて宮指路岳への分岐を分ける。水沢峠へ下り水沢岳へ登り返す。前方に峠から山に入った人達数名。「きついけど確か短かったような。」と思っている間に・・・。
水沢岳山頂。峠からわずか20分。
きのこ岩。
風化した花崗岩がきのこのよう。ザレ場を新雪を蹴るように下る。気持ちいい。
通り過ぎたイワクラの岩が天に白く尖っている。格好いい。このあたりだったかな?谷右下に一壁のような大きい岩場を見下ろす。この岩も孤独でいい。
鎌尾根に続く稜線上に鎌ケ岳が目に飛び込んできた。手前には薄緑の笹。少し左手にはその美しい笹の上にアシビの濃い緑がもこもこと。それは一服の絵の様。そしてここはアルプス気分を味わえる場所。丸で槍ヶ岳に向うような・・・。
風がなくなり陽射しも出て来て暑い。バンダナを帽子の下に、ズボンの裾を折り曲げる。
さらに進むと岩がぼろぼろともろい衝立岩。
手前右へ。シャクナゲはまだ咲いてない。左から回り込む。
振り返ると仙ケ岳手前に台形の山。あれが宮指路岳。犬返しの剣も目に入る。そこまでは二山くらい越えるように見えるが起伏は余りないらしい。
そして前方には鎌尾根。日陰には二日前の春の雪。水っぽい。
雨乞岳、イブネの山頂付近も所どころ白い。見下ろす宮妻峡は山桜が美しい。カズラ谷の笹の薄緑も綺麗。
鎌尾根クサリ場に到着。
先端の岩に行って鎌ケ岳を仰ぎ見る。気持ちいい。崩壊した岩石、岩屑があちこちに。
廊下を通って岳峠。さらに鎌ケ岳山頂へ。普通に岩を登って。(大雪の日には岩も何もなかったのだけど。)
「やったー。」鎌ケ岳山頂だ。
今歩いてきた入道ケ岳からの山を前にして最高の気分。見下ろせば新道は宮妻峡からの一番大きい尾根。入道ケ岳山頂の笹原は広く、イワクラ尾根のイワクラもはっきり見える。水沢岳、鎌尾根と目で追う。そして先ほどいた鎌尾根先端の岩。どの峰もどの岩も親しい友達のようで何もかもが愛しい。
パン一個、りんご、飲むヨーグルト、紅茶。


帰りはカズラ谷。
ここも二回目。少し降りて水沢岳を見上げる。手前にアカヤシオ、コブシ、ショウジョウバカマ。
しばらくは御在所岳中道のような明るい尾根道。水場。咲きかけのイワウチワ。ミツバツツジも花が大きくて綺麗。
もうほとんど降りたと思われる地点でイワカガミ。たしか去年もここで見つけた。まだうつむいたまま咲こうかどうしようか迷っているみたい。その側には蕾がいっぱい。来週は咲くかな?
林道に出る。うららかな春風と光に萌え始めている山の緑が目に痛い。
駐車場あたりの山は「これ以上の新緑はないよ。」とばかりに午後の春光に輝いている。美しい。
同じ緑は二つとなく白っぽい緑、茶色っぽい緑、それぞれの木がそれぞれの緑を纏っている。そして山桜も葉が緑のものは白く、葉が茶の物は明るいピンク。
厳しい冬を越えて、今この時を謳歌しているのだ。萌えだした木々の生命力に心打たれる。それは四季を通じて最も生き生きして幸せそうな自然の姿。
今日の主役はオープニングもフィナーレも春光うららかな宮妻峡。木々の「緑」と「桜」に魅せられ、その色の不思議さに心奪われた。
車は柔らかな薄緑色のトンネルをくぐり抜け、緑の風をきって春一色の風景を駆け抜ける。春爛漫。

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