御嶽山
    
3067m(長野)

ONTAKESAN

2006年2月19日 晴れ時々くもり

自宅3:00〜羽島〜(名神)(中央道)〜中津川〜(R19)〜(本橋を左折)〜(R20)〜御岳ロープウエイ駐車場6:00〜ロープウエイ乗り場(鹿の瀬駅)8:30〜飯森高原駅(8:40〜8:50)〜九合目覚明堂12:20〜ロープウエイ乗り場(飯森駅)14:40〜鹿の瀬駅14:50〜欅の湯〜道の駅16:20〜自宅19:30


ロープウエイ往復券¥2400


自宅から三時間弱でスキー場駐車場に到着。スキーの車でいっぱい。仰げば彼方に白い峰御嶽山。銀屏風のようにどっしりと聳える。


寒いと思って上下厳寒用のウエアを着る。
ロープウエイ乗り場で標高1570m。気温マイナス五度。十分で飯森高原駅。


ここでMSRのスノーシューをつける。今日初めて。靴の前にゴムバンド三箇所、かかとに一箇所止めるだけで簡単。かかとは浮くタイプ。歩き出すとはまり込まず軽くていい。
靴のつま先部分で雪を捉えていくので安定感がある。足の周りがかさばる感じがするが慣れたらいいのだろう。
第三ペアリフトの上から尾根を直登。夏道ではない樹林帯を行く。所々トレースがある。風はほとんどない。穏やかな天気になりそう。

木の枝に赤布を巻いて行くH町のIさん。樹林帯中ほどでアイゼンに替える。新雪はないし雪は固く締まっている。
乗鞍岳と穂高岳が白く輝く。背後には中央アルプスの白い山並み。


樹林帯を抜けると目の前に御嶽山。白くて迫力がある。高度が上がるとハイマツが出てきた。雪に押されて倒れている。柔軟性があって逞しい生命力に感動する。ダケカンバの林も美しい。
気温が高いのでウエアは上下とも脱ぐ。このあたりから私の苦手な硫黄臭。バンダナを口に巻いて手袋を当てる。
左に八合目の小屋が見えてきた。夏道の隣りの尾根を登っているようだ。振り返れば背後に八ヶ岳。白く三角に大きい赤岳などの南八ヶ岳、蓼科などの北八ヶ岳はほとんど雪が見られず蒼い峰に見える。
山裾がなだらかな白い乗鞍岳が圧巻。剣ケ峰辺りが特に白い。左の三角の笠ケ岳が小さく、黒部五郎岳らしき山も。
焼岳、西穂高岳、その上に黒く槍ヶ岳の穂先、奥穂高岳の山頂は一段と白い。重厚な雰囲気がある。やはり重量感が他の山とは桁外れ。
吊り尾根、前穂高岳、常念岳までも鮮明。こんなにはっきり望めて今日はラッキー。御嶽山の神様に感謝しながら進む。



このあたりから右手カールのような急斜面を眺めて夏道の左の尾根に上がって行く。ボード、スキーを夫々背負った若者が来た。一人はカールの中をスキーで。
尾根に上がる斜面は凍っている。雪と氷の斜面をジグザグに歩く。山側の足はエッジを使って谷側は斜面にあわせてフラットに置く。
斑に現われる雪と氷。なるべく雪斜面を見つけて歩くようにする。固い氷はピッケルも刺さらず怖くて直登できないので・・・。(杖代わりに使っていたピッケルのスピッツエがまん丸になっている。)
真横に亀裂が入ってる。数箇所。これって雪崩れる前の現象?気温が上がった時とか雨の後など危ないのでは?怖いけど今日の所はしまっているからいいかな。


傾斜がきつくなってやっと九合目石堂に辿り着く。立ったところは屋根。ここからが難関だった。
斜面は氷。雪はない。アイゼンをしっかり刺すように蹴りながら登る。氷が固くて分厚すぎてここでもピッケルは刺さらない。
鳥居のある覚明堂手前あたりは全面氷。前爪で氷を蹴って氷面をトラバース。ピッケルのピックをしっかり氷に刺してかにのように横歩き。アイゼンの前爪を蹴りこんで。
必死の思いでここを通過。下りが少し心配・・・。
山スキーの二人が山頂へ向うのを見送る。二人ともアイゼンワークが軽い。ボードの彼は下の石堂から降りたようだ。



覚明堂から尾根に出ようとするところでIさんの足が攣った。筋肉の張りを取る芍薬甘草湯を飲む。しばらくして治まったが、無理をせずここを今日の山頂とする。ここまで来れただけで私には十分。
先ほどは余裕がなかったけどよく見れば鳥居も覚明像も雪と氷に埋もれている。これが冬の御嶽山。厳しい雪と氷の世界だ。
今からの下りが大変。昨年の千畳敷雪斜面ではなく今日は氷斜面なのだ。こんな所どうやって降りるの?怖くて腰が引ける膝が曲がる。
アイゼンをフラットに置いて氷面を取らえる。膝を伸ばす。背筋を伸ばす。怖いけど今日は泣かない。去年の私とは違う。少し出来るようになってきた。こんな体験は御在所岳ではできない。氷があってもスケールが全然違う。
しっかり片足に体重をかけて必死で降りる。氷の急斜面降り。



やっと下の石堂へ。胸を撫で下ろす。ここからは氷だけでなく雪斜面もあるから大丈夫。
尾根上の倒木で軽く食事。風はほとんどない。乗鞍岳には日が当たってないが、穂高岳に陽光が射して白い峰をより白く輝かせている。
目の前には白銀の中央アルプスの木曽駒ケ岳、宝剣岳、三の沢岳などが南アルプスの峰と重なって美しい。特徴ある三角の山容甲斐駒ケ岳がひときわ目を引く。八ヶ岳の左には浅間山らしい丸い山容の山も・・・。
緊張で引きつっていた顔の筋肉がここでやっと緩む。二月の御嶽山でこんな穏やかな陽差しの下、ゆったりと眺望を楽しめるなんて思ってもいなかった。
雪と氷は厳冬と変わらないが陽射しに春の気配。まるで春山気分。立春を過ぎるとこんな穏やかな日もあるのかな。
この尾根の信じられない暖かさに気分がゆったりして美しいパノラマに魅了され幸せ感に浸る。
先ほどの山スキーヤーが山頂から左手の谷を滑り降りてきてそのままカールへ。


Iさんは赤旗を回収する為もとの尾根道を。私は雪と氷の急斜面を降りる訓練のためカールへ。縞模様の雪と氷斜面。
九合目から降りた様にアイゼンをフラットに置く。雪斜面はアイゼンが滑るけど普通に歩けるし、氷は九合目ほど固くないのでアイゼンがカッチリ利いたまま降りる事ができた。
一度だけアイゼンの歯同士がひっかかって転んだ。緩斜面なので問題ないがこれが稜線や氷の急斜面だったら事故につながるだろう。転ばないように歩かないと・・・。一歩一歩に神経を集中する。
氷雪上のアイゼンワーク訓練を終えてもとの尾根に上がる。(身の軽い夫は下まで滑り降りたかったようだ・・・。)
午後のこの時間になっても「もっとしっかり見てよ。」と言わんばかりに穂高岳は光り輝き続けていた。朝から山を降りる今までずっとその神々しい姿を見せてくれている。周囲の山々も綺麗。
夏道の八合目小屋下斜面に雪洞を掘っている人がいた。ここからだと山頂までの次の日の行動が早い。でも夜は冷えるだろう。雪崩れは大丈夫?クマは来ないかな?いろいろ心配する。
下りのロープウエイからスキー場を見下ろす。このスキー場はなんと広大なんだろう。御嶽山自身スケールが大きいのだから当たり前といえば当たり前だけど・・・。
ボードはゴンドラに持ち込めるようだ。移動が暖かいからいいな。人が多いけどゲレンデが広いので人は疎ら。広すぎて迷子になりそう。滑り降りる人の後ろに雪煙が上がる。きっときめ細かい雪ってことでしょう。気持ちよさそう。
今日見たけど山スキーはとても大変。あんな氷の上を滑るんだもの。私にとって山スキーは程遠い夢・・・。いつかこのスキー場で滑れるようにゲレンデスキーを頑張ろうっと。
木曽温泉を過ぎた辺りに秘湯欅の湯。鉄分を含んだ湯の花が特徴。¥400
川の向岸に「白川の氷柱」。この時期にだけ見ることができるツララ。地中から染み出した水分が凍っている。面白い。
R19は中津川手前で渋滞したが後は順調。天候に恵まれ春山気分の「雪と氷の御嶽山」を楽しんで帰途につく。

帰ってじっくり振り返る。冬の御嶽山を歩けるようになったら一人前かな?半人前にもならず氷斜面におののいた今日の私。
何度も挑戦したらあの氷に慣れるかな?次回は是非今日行けなかった九合目からの尾根を歩いて剣ケ峰に立ちたいよ。
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