双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳 
    2860m(岐阜・長野)2841m(岐阜・富山・長野)2924m(長野・富山)

SUGOROKUDAKE

2001年7月19日 晴れ 夫と二人

自宅21:15〜(東海北陸自動車道)飛騨清見〜新穂高温泉P20日1:15(仮眠)

7月20日 晴れ

P5:00〜わさび平6:30〜鏡平〜弓折岳稜線〜双六小屋14:30(テント設営)

昨夜3時間ほどうとうとして歩き出す。睡眠不足で気分が悪い。
蒲田川左俣沿の林道を行く。ワサビ平小屋を過ぎ小池新道に入る。新道は整備され歩きやすいが傾斜は徐々にきつくなってきた。鏡平手前の雪渓で下半身が冷えてしまった。池水面に揺れる槍ヶ岳、穂高岳を楽しむ余裕もなく小屋で少し横になって休ませてもらう。お陰で少し元気になった。
小屋から弓折岳への稜線への登りは傾斜が急であえぎながら進む。
このきつさとは対照的に眼下には鏡平池越に鮮やかな槍ヶ岳と穂高岳がどんどん大きくなる。緑輝く美しい山並みの素晴らしいパノラマ。濃い黄色の大きいシナノキンバイ、白いハクサンイチゲ、クルマユリなどお花畑じゅうたんも広がった。
空の蒼と山の緑の美しさ。一人天を突く槍ヶ岳、険峻な穂高の峰。全てが深く胸に響き入る。いつも写真で見ていた憧れの風景が、今自分の目の前で次々と繰り広げられて行く。感動で体が震えるほどだった。

弓折岳の雪田あたりまで登るとさらに大きく槍ヶ岳、穂高岳が迫り、鷲羽岳も顔を出した。
この稜線歩きは裏銀座という名のとおり、又「これが夏山」と言わんばかりの見事さだった。夏にこんなに雪があるとはすごいと感動しながら歩く。



稜線を巻いてハイマツの中を行くと双六小屋の上に鷲羽岳が大きく見えてきた。
右に樅沢岳を見て左にゆるやかで丸く柔らかな山容の双六岳を見ながら行くと双六小屋についた。テントは大変多く、又登山の人も暗くなってもぞくぞくと途絶えることなく「こんなにたくさんの人がアルプスに入るの?」と驚いた。
小屋の水場から眼前に鷲羽岳、樅沢岳が大きく、又反対方向遠くに笠ケ岳も望めた。



7月21日 晴れ 

テント5:30〜三俣蓮華岳8:00〜三俣山荘9:00〜鷲羽岳10:10〜三俣山荘(11:30〜11:45)〜三俣蓮華岳12:45〜中道分岐13:30〜双六岳(14:00〜14:25)〜双六小屋15:00

昨日はじめて北アルプスを長時間歩いたので、筋肉痛という勲章をもらった。
小屋の裏をテントを見下ろしながら登り、双六岳をまいて中道を行くとお花畑と雪渓が続いていた。スズランの様なアオノツガザクラやクロユリ、コバイケイソウなどの花の写真を撮る人がたくさんいた。
稜線に出ると一面ハイマツが山肌を覆っている。さわってみると弾力性がある。このしなやかさで雪の重さにも耐えているんだなと知った。西に大きなカールを持つ黒部五郎岳が迫力ある山容で迫ってきた。そこからの風は一段ときつく冷たかったが、それは北アルプスの稜線を歩いているんだという満足感に浸れるものでもあった。
こまめにカッパを着たり脱いだりして温度調節をした。黒部五郎岳や水晶岳から来た人などと出会いながら、丸山、三俣蓮華岳へ。
三俣蓮華岳山頂からは黒部五郎岳や槍ヶ岳、今から行く鷲羽岳がひときわ大きく迫り、又三俣山荘、黒部源流、大きく薬師岳などが望めた。


ミヤマキンポウゲ、ミヤマキンバイの広々としたお花畑と雪渓の中を下りて巻道と出会い、三俣山荘へ向かう。
このカールには、他にハクサンイチゲ、ハクサンチドリ、テガタチドリ、コバイケイソウなど。さらにハクサンオミナエシ、クガイソウ、ウバユリ、シモツケソウ、黄のホトトギス、クロユリ、ニッコウキスゲ、カラマツソウ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウ、黄のミヤマダイコンソウ、タカネスミレ、コケモモ、ツマトリソウ、エゾシオガマ、ハハコグサに似たタカネヤハズハハコ、タカネウスユキソウ、ヤマハハコなどあらゆる高山植物が咲いていた。
三俣山荘からは赤茶けた硫黄尾根の向こうに槍ヶ岳を望む。
鷲羽岳への登りはザラザラしたザレのジグザグ道。山頂手前の鷲羽池から望む槍ヶ岳も趣があった。
山頂からは今見てきた黒部五郎岳や槍ヶ岳、この先のワリモ岳、水晶岳が大きく望め360度の展望。




鷲羽岳から見る三俣蓮華岳は、新緑と雪渓で緑と白のコントラストがとても美しい山だった。さらに前の祖父岳、黒部源流を見下ろしながら鷲羽岳山頂を存分に楽しんだ。
帰りは三俣蓮華岳から稜線をそのまま双六岳へ行く。
前方のこれから行く道をはるか遠くに望んだり、今歩いて来た道を振り返ったりして、花や雪渓を眺めながらのゆっくり楽しい稜線歩き。
ガレ岩を登ると双六岳山頂。心地よい疲労感と達成感に包まれて最高の気分だった。ここから、草原のような双六岳と対照的な岩の槍ケ岳、穂高岳を望むのを期待していたがあいにく霧の中だった。でもずっと以前から、双六岳から槍ヶ岳に続いているようなこの道を歩きたかったので夢が叶ってとても幸せだった。

7月22日 晴れ 

テント場6:00〜鏡平(8:00〜8:30)〜わさび平10:40〜新穂高温泉ゲート11:50〜新穂高温泉P(深山荘)12:10〜飛騨清見13:00〜自宅18:30

今日は左手に槍ヶ岳、穂高岳を眺めながらゆっくり帰る。このまま下りるのがもったいなくて、鏡平からもう一度槍ヶ岳、穂高岳の景色を堪能する。
高速は郡上八幡辺りで渋滞。
今回はじめて北アルプスの「夏山」を体験した。今まで本の中の世界だったことが、自分の心と体に深くしみいって感動の連続だった。
ずっと槍ヶ岳、穂高岳などを眺めながらの贅沢な稜線歩きと、たくさんの高山植物に出会えて夢のような山行だった。今後「北アルプス」と聞けば心に深く刻み込まれた今日の山々を思い浮かべるのだろう。

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