燕岳〜大天井岳〜天上沢
2763m  2922m(長野)


2007年8月12日 晴れ

桑名東(東名阪)19:00〜春日井、小牧(中央道)〜豊科〜中房温泉P22:30

2007年8月13日 快晴

中房温泉P4:00〜燕山荘(8:00〜9:00)〜大天井ヒュッテ(12:00〜12:30)〜貧乏沢入り口13:00〜天上沢出合15:00〜(天上沢)〜北鎌沢出合15:30(テント泊)

お盆なので中央道は車が多い。中房温泉の駐車場はほとんど満車状態。
三時起床。私、ザックの重さ約8キロ。水が重い。夫約18キロ。ヘッドランプをつけて歩きだす。あたりは暗いので足元の灯りばかり見てただひたすら歩く。一時間程で、空が白み始める。その空がだんだんと青みを帯びてきて美しい・・・。ランプはもういらない。
ひんやりした空気を吸って早朝の山を歩く清々しさ、爽やかさが好き。これは夏山だからこそ味わえる感覚。
ベンチをいくつも越え、富士見ベンチまで来ると名前どおり雲海の上に富士山が見えた。


合戦小屋。
夫等は名物のスイカ800円。山ではいつも胃腸が過敏になる私。お腹を冷やしたりしない消化のいいものを。アクエリアスを水で薄めた物、餅、飴。
猛暑が続いているので熱中症などにも気をつけよう。体調を崩さないように水分をしっかりとるようにして。
日焼け止めもたっぷり塗ったし、日よけつき帽子に大きいバンダナ、手袋、サングラスの完全防備。炎天下の縦走路では傘を日傘にして歩こう。いい日よけになるから。

燕山荘。
手前でI藤さんの足がつった。漢方薬芍薬甘草湯を飲む。
私は何となく頭痛。はやめにバファリンを飲んでおく。山荘手前はお花畑。鮮やかな青のトリカブト、黄のウサギギクなど。



山荘に着くと目の前に北アルプスの山並みがどーんと広がった。数年前の春に初めて来て以来今日で二回目。夏山は初めて。緑の稜線に雪渓が白く鮮やか。丸で額に入った絵画か写真を見ているよう。
足元になにやらピンクの小さい花。コマクサ!荒れたザレ場の斜面の所々に咲くその花はやはり高山植物の女王。どことなく気品があってそのうえ可愛い。ずっと会いたかった花だ。たった一株白いコマクサを見つけた。珍しいのかな?
I藤さんの足は診療所の医者も太鼓判の芍薬甘草湯が効いたが、行動中は塩分、マグネシュームなどを含んだスポーツ飲料を飲むようにいわれる。ザックを小屋に置いてサブザックに最低限の物だけ入れ出発。
表銀座コースを歩き始めると「おつかれさま」と声を掛けてくれる人がある。御在所でお会いするK田さん。でかいザックにねじり鉢巻き。真っ黒に日焼けしている。若いってすごい。
12日に上高地から入って今朝常念岳から来たとのこと。早い!。いつも御在所の岩で遊び、登山道を走って鍛えているから私とはレベルが違うよ・・・。
縦走なので車でなく電車とバスを乗り継いできたらしい。立ち話程度で先を急ぐ。
その後も登山道脇にはずっと可愛いコマクサが咲き続けている。心癒され励まされ足取りも軽い。
ハイマツとダケカンバの緑が稜線から山裾までを彩り、その緑が青空に映えて美しい。
はるか前方に槍の穂先、右手にはアルプスの山並みが雲ひとつない空の下に続いている。笠ケ岳から野口五郎岳までの美しい稜線。背後には燕岳、剣立山。今、壮大なパノラマを眺めながら、アルプスを歩けて幸せ。


硫黄尾根の赤茶けた尾根が見えてきた。そして明日歩く緑の北鎌尾根・・・。
振り返ると蒼い高瀬ダムも針ノ木岳の下あたりに見え隠れする。


目の前には大天井岳。迫力ある山容で聳えている。梯子、クサリ場などを通りすぎて、大天井ヒュッテに下る。
この辺りからの大天井岳は前穂のような格好いい岩山。

大天井ヒュッテ。
夫等はカレーライス。私はジャムパン、餅。


ここから望む大天井岳はなだらかでたおやかな峰。この山は見る角度で表情が全く違う・・・。

西岳への道を20分ほど進むと右手に「貧乏沢」の標識。右折れして谷に降りる。余り人が入っていない狭くて急な岩場。藤内沢よりはるかに質素。あるかないかわからない程度の踏み跡がたよりなので心細い。荒れた沢や沢沿いを降る。


なんとなく空が広くなって綺麗な滝が現れた。牛首山からの水が溢れているのだ。
徐々に谷が広くなってさらに下り続けると大きい川に出合った。美しい流れ。これが天上沢。
貧乏沢を下り始めて二時間あまり。急な降りに足がガクガクになった。
左折して天上沢の流れに沿ってさかのぼる。いつのまにか伏流してガラガラした白い川原を30分ほど歩くと広河原に到着。テント二張り。
右手に明日歩く北鎌沢を見上げる。こちらも狭い沢のようだ。ここに幕張。沢の岩に濡れたものを広げる。



夕食。カップメン、レーズンパン、ういろう、ソーセージ。
北鎌沢の水場で明日の飲料用としてペットボトル6本。
汗だくなので、夜用に着替えるとさっぱりした。暑くて寝袋も何もいらない。
いつもながら眠れない。ウトウトするだけ。テントから顔だけ出して夜空を眺める。宝石のような星が瞬いている。
大きい星、小さい星その数無数。紺色の空の部分がないほどにちりばめられている。天の川も綺麗。
あっ流れ星!すーっと尾を引いて流れる。そのたびに願い事を・・・。
満天の星と澄んだ夜空に魅せられる静かな天上沢。ここは俗世と切り離されたアルプスの別天地。
明日、私は北鎌尾根の岩場を滑落せずにちゃんと歩けるだろうか・・・。いつも初めて行く所は不安と緊張感でいっぱいになる私。そしてますます眠れなくなるのだった・・・。

北鎌尾根へつづく
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