硫黄岳〜横岳

      2760m  2829m(長野)
YOKODAKE

阿弥陀岳からのつづき。

2008年1月5日 晴れ

赤岳鉱泉テント5:30〜硫黄岳7:30〜横岳8:30〜地蔵尾根分岐10:00(地蔵尾根)〜赤岳鉱泉(11:30〜12:20)(テント撤収)〜赤岳山荘P(13:25〜13:45)〜美濃戸口八ヶ岳山荘温泉(14:15〜15:00)〜原村(ガソリン給油・夕食)(15:45〜16:30)〜自宅19:30

朝食。
インスタントおしるこに餅、味噌汁、クリームパン。
昨夜は雪が降らなかったようだ。



硫黄岳へ。
登りの樹林帯で体が重い。今日は体調がいまいちだからゆっくり歩こう。疲れが出てきたかな・・・。
途中で足のつま先が冷たく痛いのでマッサージ休憩。少しあたたまった。

赤岩の頭。
雪崩れそうな斜面が怖くて足早に過ぎる。硫黄岳や蓼科山のモルゲンロートが綺麗。
仙丈岳や甲斐駒ケ岳もピンクだ。
手足が冷たい。カイロを持っている手をグーにする。足のつま先もグーにする。すると不思議、お腹に力が入って体がポカポカ暖かくなってきた。

硫黄岳。
風がきつい。立ち止らずに進む。爆裂火口は黒い口をあけていた。ケルンに沿って足元だけを見て歩く。吹き飛ばされないように足に力を入れて踏ん張って。ここが今日の核心部だ・・・。
「以前怖くて登れなかった横岳まではゼッタイに行こう。」と心に決めていた。前を行く二人には速くてなかなか追いつけない。ただひたすら歩く。ネックウォーマーで被った頬もぴりぴり痛い。凍傷にならないようにさらに上から手袋でも顔を覆う。
やがて難所の鎖場とはしごが現れた。富士山も見えてきた。ここは岩が風を防いでくれて暖かい。吹き飛ばされる心配はまったくない。いつかの恐怖がうそのように楽しく雪の急斜面を登る。


横岳。
赤岳、阿弥陀岳の彼方に南アルプス、御嶽山、乗鞍岳、穂高、中央、周囲の山がずらり顔をそろえている。素晴らしい・・・。
振り返れば硫黄岳への白きたおやかな峰。オオダルミの強風には一時はどうなることかと不安だった。ここから眺めるなだらかさだけの峰からはそんなこと思いも寄らない。優しい雰囲気があるだけだから・・・。
もう峠は越えた。後は楽しい岩歩き。
権現まで来ると地藏尾根や阿弥陀で前二日間お会いした方々と再会。三日連続顔をあわせた!同じような所をうろうろしているってこと?
某山岳会で総勢八名ほど。力量に応じてコースを設定しているようだ。彼らの拠点は天望荘。今日は全員集合で硫黄岳へ行くそうだ。
我々の拠点は赤岳鉱泉。こういうのを定着山行ていうのかな?
「おうわさは聞いております。」???
「すごい足だな・・・。」と勝手にお褒めの?言葉と解釈する。
毎日登って降りてと動き回っている時ばかりに会ったのできっと「超せかせか人間」と思われてしまったのだろう。
ここからの縦走は最高に気分がいい。岩と雪とはしごを楽しく昇り降り。


三叉峰で小休止。見下ろせば杣添尾根にトレースがある。富士山を眺めながら草もちをほおばる。風がない・・・。ここは厳しい縦走路の中での別天地。
尾根を離れて右に大きくトラバース。左の雪壁には両手でピッケルを打ち込んだ。一歩一歩確かめるように進む。こんな所で滑落できない・・・。

地藏尾根手前。
急斜面の降りは、右手岩場の雪にピッケルを刺して慎重に降る。一つ間違ったらどこまで落ちるかわからない。止まれないよ。


前方に孤峰御嶽山。さらに南アルプスも迫ってきた。赤岳が目の前だ。


最後のはしごを降りて一息つくと、稜線上で写真を撮っている女性。「横岳を歩く女性(私のこと)はじめて見た。」と驚かれた。私から言えば「こんな危ない所で写真を撮る女性がいるなんてすごい!尊敬する。」
富山の未来の山岳写真家さん?にシャッターを押してもらう。
今歩いてきた縦走路を振り返って感無量。

地藏尾根。
今回はこの尾根を一回登って二回降る。今年の新雪は最高だ。


少し降りると今日もガイドツアー登山の女性一人。ザイルで確保され、四つんばいでちょっと苦しそう・・・。
夫は「槍が見える。」と言っている。真白き穂高の峰々と大キレット、それに続くアルプスの山並みにしばし見とれる・・・。
急斜面ではトレースを外れてふかふか雪降り。めっちゃ気持いい。


雪は二日前となんら変わらない。降った時そのままのふわふわ、さらさら。結晶がそのまま残っている。ここの雪は融けるということを知らないようだ。
雪に包まれ、雪まみれになれる幸せ。八ヶ岳の青空と雪を独り占め・・・。


中山乗越辺りから仰ぐ横岳。
ついさっきまであの岩場を歩いていたなんて信じられない・・・。



存分に雪と遊んで鉱泉へ戻る。
約一時間でテント撤収。アイゼンワークの為アイゼンをつけたまま降る。山に入る人が次々登ってくる。絶える事がない。
八ヶ岳の神様に、好天に恵まれ、いい雪を楽しませてもらったことに感謝しながら満ち足りた思いで歩く。
林道に降りても雪は途切れることなく積もっている。三日間雪の上ばかり歩いているので靴がまったく汚れない。むしろ雪に磨かれ綺麗になった・・・。

約一時間で赤岳山荘へ到着。
美濃戸口まで数箇所急坂があるのでここでタイヤチェーンをつける。
駐車料金追加払い¥1000(5日の分)

慎重に美濃戸口へ降り、チャーンをはずす。
八ヶ岳山荘温泉¥500

夕焼けに茜色に染まる峰々。何度も振り返って蓼科山から網笠山までの美しい山のラインを目に焼き付ける。
2008年歩き初め。八ヶ岳の新雪を堪能して帰途につく。
今年はどんな山に出会えるかな・・・。

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