夫が三分の二地点へ登る。スノーバーを支点にビレイ。私、左手にバイル、右手にいつものピッケル。初めて使うバイルの刺さり方が鋭い。しっかりしているので落ちる気がしない。アイスクライミングみたいだ。いやそれより楽しい雪壁。両手と両足をかわりばんこに動かして確保地点に到達。自己ビレイ。
フリーできたIさんがここからトップに。ロープをつけかえて、私はユマールでまんなかにつながる。この器具は一人登り練習用で、先日前尾根で夫が使ったばかり。道具を意識せずに行けるようだ。本日のハイライトを両手両足フル稼働で行こう。
核心部総仕上げ、さっきまで見上げていたてっぺんの雪壁に向かう。心臓が破裂しそう!距離が短いのであっという間に雪庇の穴へ。右上すると、真っ白で平らな白馬岳頂上が待っていた。「やったー」 私は雪山白馬岳の頂に立った。感動の瞬間だった。
岩のように固い雪面を歩くと喜びが込み上げてきた。遮るものが何もない雪野原!Iさんとしっかり握手。「ありがとうございました」 直ぐ後から夫もモグラのようにひょっこり顔を出した。本当は私が登り終わるまで下で待つべきだったのだが・・・。
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