白馬岳主稜U 

       2932 (長野・富山)
                         岩手花巻のO川さん提供
白馬岳主稜からのつづき。

2010年5月3日 はれ

テント場4:30〜(白馬主稜)〜山頂直下10:30〜(順番待ち約二時間半)〜白馬岳頂上13:50〜14:30(白馬大雪渓)〜テント(15:30〜16:00)(テント徹収)〜猿倉17:00〜白馬八方温泉〜白馬第五P(車中泊)

山頂直下。
いよいよ本日の核心部。さっきまでは皆、普通に登って行ったのに、雪がゆるんできたからか?ロープを使い始めた。順番待ちだ。6番目。前の人の登り方をよく見る。60mある雪壁を一気に行く人は途中でロープをつないだ。三分の二地点ででビレイする人が多い。
我々も50mロープだからそうしよう。大学山岳会さんもここでつるべ。新人さんがトップで山頂へ向かった!やったね。



すぐ前の四人は三人がユマールで同時に登った。ちょっと変則的な登り方。トップさんは短いスノーバーを何本も使った。

二時間半待ちでいよいよ我々の番が来た。わくわく、ドキドキ。


夫が三分の二地点へ登る。スノーバーを支点にビレイ。私、左手にバイル、右手にいつものピッケル。初めて使うバイルの刺さり方が鋭い。しっかりしているので落ちる気がしない。アイスクライミングみたいだ。いやそれより楽しい雪壁。両手と両足をかわりばんこに動かして確保地点に到達。自己ビレイ。

フリーできたIさんがここからトップに。ロープをつけかえて、私はユマールでまんなかにつながる。この器具は一人登り練習用で、先日前尾根で夫が使ったばかり。道具を意識せずに行けるようだ。本日のハイライトを両手両足フル稼働で行こう。

核心部総仕上げ、さっきまで見上げていたてっぺんの雪壁に向かう。心臓が破裂しそう!距離が短いのであっという間に雪庇の穴へ。右上すると、真っ白で平らな白馬岳頂上が待っていた。「やったー」 私は雪山白馬岳の頂に立った。感動の瞬間だった。

岩のように固い雪面を歩くと喜びが込み上げてきた。遮るものが何もない雪野原!Iさんとしっかり握手。「ありがとうございました」 直ぐ後から夫もモグラのようにひょっこり顔を出した。本当は私が登り終わるまで下で待つべきだったのだが・・・。



後続の若者さんも到達。



白馬岳登頂午後二時。
今、私は白い白馬岳にいるよ。あまりにも神々しい世界に「ここにいていいのかな?」という気分。風がきついので吹き飛ばされないようにしなくちゃ。白馬岳の風と雪を全身に感じ、足跡を印しながら、夢見心地で小屋まで降る。

前方には剣岳と立山、右に毛勝三山、旭岳、背後に雪倉岳、真っ白な北アルプス。目の前には杓子岳と鑓ケ岳が白くでかい。山の雑誌や映像で見る世界が銀の屏風となって、目の前にある。私はなんて素晴らしいところにいるんでしょう。
別次元の世界に、今ここにいることが信じられない・・・



スキーの人が数人登ってきた。白馬山荘は屋根の上まで雪に埋もれていた。登攀道具を片づけながら買ってもらったスポーツ飲料で喉をうるおす。少しずつ緊張感がほぐれていく・・・
もっと白い剣岳や立山を見ていたいけど二時間の待ち時間で予定が大幅に遅れた。先を急ごう。今度は大雪渓を降るのだ。



広い雪原。山頂近くは固い雪だったがだんだん緩んでやわらか。初めはシリセードや駆け下ったりして楽しく雪遊び。でも行けども行けども雪、雪、雪。でこぼこ穴だらけの雪は歩きにくい。あこがれの大雪渓だったけど足が棒になってきた。もう限界だ・・・やっとテントが見えてきた。

つくやいなや撤収作業。安ど感から疲れがどっと出た。くたくたなのに急かされ、話す元気もない。足はフラフラ・・・

高速1000円効果で、遠路岩手から見えた後続若者さん等は、さっそうとスキーで降って行った。今朝猿倉を出て日帰り、明日は鑓温泉へ行くそうだ。いいな。やりたいな白馬で山スキー。



スノーシューをつけてショートカット道をただひたすら歩く。よたよたと何度も転びながら猿倉荘に辿りつく。
おびなたの湯は終了、倉下の湯は超満員、白馬八方温泉でやっと入れた。温泉で温まりながら、ようやく主稜を登り終えたことを実感する。「よかった、無事で」

白馬駅手前の食事処で反省会。その後八方第五駐車場で車中泊。テントの人は祝杯をあげているのかな。
私は、緊張しっぱなしの雪稜歩きと、直下の雪壁初クライミング、べたべた雪の大雪渓に疲労困憊。行動時間は10時間を越えたよ。もう歩けない・・・

雨飾高原へつづく。
         トップメニューへ
inserted by FC2 system