唐松岳
    2696m
(富山・長野)


唐松岳冬・Tからの続き。


2007年3月4日 くもりのち快晴

八方尾根スキー場P〜ゴンドラ7:30〜リフト〜黒菱平リフト8:30〜八方池山荘8:45〜八方池ケルン10:30〜唐松山荘11:45〜八方池ケルン14:20〜第二ケルン14:40〜八方池山荘〜リフト〜リフト〜ゴンドラ〜P15:30〜十郎の湯16:30〜豊科18:00〜羽島〜自宅21:00

ハイな気分を引きしめて慎重に降ろう。行きにさっさと通り過ぎた大きい風紋にみとれる。風は芸術作品を次々と作り上げてただ通り過ぎていったのだろうか。
雲が切れて青空が広がり明るい。振り返れば風紋の彼方に聳える唐松岳。凛々しい。
前方には今まで見たことのないような大きい風紋が続く。乗ってみれば硬雪ではまり込まず岩のよう。
雪と風の共同作品に人間の私が勝手に乗る。作品は壊れることなく私のアイゼン跡だけが残る。こんなことできるって思ってもいなかった。今日初めて「岩歩き」でなくて「風紋歩き」を楽しむ。
次々現れるのでそれ全部に乗らなきゃ気がすまない私だった。超気持ちいい。


尾根を降るほど空が明るくなって、白馬から乗鞍、栂池への白い峰が眩しい。この蒼と白の世界が好き。
天候がいいので何の心配もなく心が晴ればれする。気持ちよくなだらかな八方尾根斜面のしっとりさくさく雪を歩く。北アルプスの雪を感じてルンルン気分で・・・。調子に乗って時々はまり込む。
急斜面降りになるとなんとなく腰が引け前かがみになる。意識して膝にドンと全体重を乗せるようにする。
遠見尾根も明るく輝いて来た。五竜ケ岳が今にも頭を出しそう・・・。

余りの好天に八方池ケルン上でお茶にする。さっさと降りるのがもったいない。少しでも長くこの白い世界にいたい・・・。「ぬれせん」と言う焼餅のようなお菓子と紅茶。いつも山歩きの後、辛い物が欲しくなる。
暖かくて穏やかでまるでゴールデンウイークの頃のよう。陽射しはまったく春。
今、白馬と遠見尾根のはざまで贅沢な展望を楽しむ事ができて幸せ。まさかこの八方尾根でこんなにゆったりできるとは思ってもいなかったのでうれしくて・・・。天候次第で山は天国にも地獄にもなることを知る。今日は天国・・・。

隣りでは滑落訓練している三人グループ。頭から落ちてまるで野球のスライディング。
反対斜面ではボーダーがゲレンデを外れた斜面に歓声をあげている。ゲレンデ6年、今年外へ飛び出したという女性。「この雪を知ったらもう戻れない。」
誰も足を踏み入れてない雪斜面に自分だけのシュプール。華麗な滑りに見とれる。そんな楽しそうな落書きが山肌のあちこちに。


八方池ケルン。
ここでアイゼンをはずし、置いて行ったスノーシューに替える。夫はワカン。I藤さんはつぼ足。雪は融けて滑りやすい。急斜面降りのスノーシューは下まで滑って行くようでちょっと怖い。力みが入って踏ん張ってしまう。
下界は快晴。白い尾根に山荘の赤い屋根やスキー場のリフトが見えてきた。はるか彼方に蒼い雨飾山などを見下ろす大パノラマ。これが尾根歩きの醍醐味


池山荘到着。
リフト係の方が「八方池あたり、雪まだありました?今で4月末の状態なので・・・。」と雪不足に困っていた。
スキー場は今季最後とばかりに半そでTシャツのボーダーやスキーヤーであふれ、下の方では雪解けが進んで土が顔を出していた。雪質も気候もまったく五月・・・。
帰りは豊科までスキー帰りの車が渋滞。その後の高速道路は順調。
春山のような穏やかな八方尾根で、北アルプスの雪と白い峰を堪能した一日だった。


     トップメニューへ
inserted by FC2 system