尾根を降るほど空が明るくなって、白馬から乗鞍、栂池への白い峰が眩しい。この蒼と白の世界が好き。
天候がいいので何の心配もなく心が晴ればれする。気持ちよくなだらかな八方尾根斜面のしっとりさくさく雪を歩く。北アルプスの雪を感じてルンルン気分で・・・。調子に乗って時々はまり込む。
急斜面降りになるとなんとなく腰が引け前かがみになる。意識して膝にドンと全体重を乗せるようにする。
遠見尾根も明るく輝いて来た。五竜ケ岳が今にも頭を出しそう・・・。
余りの好天に八方池ケルン上でお茶にする。さっさと降りるのがもったいない。少しでも長くこの白い世界にいたい・・・。「ぬれせん」と言う焼餅のようなお菓子と紅茶。いつも山歩きの後、辛い物が欲しくなる。
暖かくて穏やかでまるでゴールデンウイークの頃のよう。陽射しはまったく春。
今、白馬と遠見尾根のはざまで贅沢な展望を楽しむ事ができて幸せ。まさかこの八方尾根でこんなにゆったりできるとは思ってもいなかったのでうれしくて・・・。天候次第で山は天国にも地獄にもなることを知る。今日は天国・・・。
隣りでは滑落訓練している三人グループ。頭から落ちてまるで野球のスライディング。
反対斜面ではボーダーがゲレンデを外れた斜面に歓声をあげている。ゲレンデ6年、今年外へ飛び出したという女性。「この雪を知ったらもう戻れない。」
誰も足を踏み入れてない雪斜面に自分だけのシュプール。華麗な滑りに見とれる。そんな楽しそうな落書きが山肌のあちこちに。
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