唐松岳
        

         2696m(長野

2008年3月16日 晴れ

15日白馬第五P(車中泊)
16日P7:00発〜ゴンドラ乗り場7:30始発〜ゴンドラ、リフト二機〜池山荘8:35〜唐松岳(12:30〜13:00)〜ゴンドラ降り場15:15〜P15:45〜十郎の湯(温泉)17:00〜自宅21:30

ゴンドラ、リフト合計(往復一人))¥3400

風がなく穏やか。
朝食、パン、ヨーグルト、バナナ。
行動食、餅二個、スポーツドリンク、飴。
足慣らしの為、Pからゴンドラのりばまで歩く。ザックの重さ、私12キロ、夫15キロ。テントがないので随分軽い。


最終リフトの始発が遅いのでしばらく待つ。周囲の白馬、五竜、鹿島槍がくっきり。
気温が高く手が冷たくない。山スキーヤーは待ち時間にシールを貼っている。


池山荘に上がる。何となく雪がベタベタしているがつぼ足で歩きはじめる。所々雪面に穴があいてはまり込んだ跡がある。雪融けの五月のような感じ。
赤旗も柔らかい雪に直ぐ刺さる。二月の御嶽山は凍って苦労したけど・・・。


八方山ケルン。
雪質が変わって来た。サクサクしたいい雪。スノーシューをつける。急登は息が上がって足も重くて呼吸を整えるのに休んでばかり。多分ゴンドラやリフトで高度が一気に上がったから。少し頭痛もする。白馬三山や五竜を見ながら、無理せずゆっくり進む。

ここまで上っても風はほとんどない。こんな好天にアルプスを歩けるなんてラッキー!天候がいいと心に余裕があってより楽しくなる。八方尾根の雄大さを感じながら、そしていい雪を楽しみながら歩く。

ダケカンバ林。
ここでスノーシューやワカンを置いて行く。私はアイゼンに替える。前に若いカップル。後から三人グループ。そのうちのリーダーらしき方が歩き方など親切に教えてくれる。
雪はしっとりしてきた。これこそアルプスの雪の感触。山スキーヤー、ボーダーが次々登って来る。

八方池を過ぎるとやっと体が慣れてきて足が軽くなった。

丸山ケルン。
雪に大きい穴。先ほど降りた方が前夜雪洞に泊ったといっていたがきっとその跡。寒くなかったそうだ。

雪は粉雪。山スキーヤーはたいていこの丸山で降りて行った。山スキーとボーダー二人だけがまだまだ上へ進んでいく。どこまで行くのかな? 
白馬三山やこの八方尾根の山肌が真っ白ではない。黒い地肌が見える。今年は昨年より雪が少ない。どことなく雪が黄色く見えるし・・・。黄砂かな?

上からGPSらしき物を使って降りてきた人三人。「左に一メートル行って。」などと案内している。最先端の登山!

この辺りまで夫は「歩きやすい。」とダブルストックでつぼ足だった。でも安全の為、アイゼンをつけるようだ。


だんだん尾根が細くなる。尾根下ではなかった風がここでは強風。不帰の剣に滑落しないようにしゃがんで踏ん張って進む。

雪が少ないので乗り越しが去年とは様子が違う。普通にトラバースする感じで登れた。あっという間に山荘に立っていた。え!もうここ?
ヘリポートらしき高台にはエビノシッポもなく、足元には一面の雪でなく土が顔を出している有様。山荘だけは雪に埋もれている。

頂上付近が風で吹き荒れている様子もない。ただ穏やかに唐松岳が目の前に聳えているばかり。

飛び出している岩やハイマツを歩く。さすがに頂上付近は吹き飛ばされそう。これがアルプスの風だよ。その風に負けないように立って、硬雪にアイゼンを効かせる。出張った雪庇も岩のよう。ピッケルをしっかり差し込んで慎重に一歩一歩・・・。

上から先行三人グループが降りてきた。ロープを使う練習とかで、上の人が雪面に差し込んだピッケルにロープをかけてグリップビレイしようとしている。(これが支点?)真ん中の人はどうやって降りるのだろう。下で教えているリーダーはつぼ足だし・・・。見ていてもよくわからない。
私はその横を慎重にキックステップで登っていく。


唐松岳登頂。

「やったー。」頂上だ。
三年越しの恋が実った瞬間。真白き峰、剣岳、立山、五竜岳が静かに迎えてくれた。「唐松岳の神様ありがとうございます。今日ここに立てて幸せです・・・。」
前二年間の厳しい冬山体験を思いおこし達成感、幸福感に包まれる・・・。天候に恵まれた今日はまるで五月の春山気分だった・・・。

前のボーダー二人はまだまだ先へ進んで行く。恐れるものなど何もないように・・・。

少しも寒くない。手も冷たくない。何時までもここにいたいけど・・・。天候が急変するかも知れないからそろそろ降りよう。


さて直下を降りるのが怖い・・・。この斜面、滑落したらどこまでも止まれないだろう。この硬い雪にアイゼンをどうやって置けばいいのかな?右足はフラットに置いて・・・。
先ほど三人グループがロープワークしていたところでは怖くて腰が引ける・・・。体を横向きにしてピッケルを刺し、かに歩きトラバース。うまく歩けた。その後トレースどおり固い雪の端のとんがりを綱渡りのように歩いた。必死だったのでその時は深く考えもせず・・・。

降りてから見上げて気づいたけどさっきのは雪庇の端?一つ間違えば滑落!きっともう少し雪庇の内側(山側)をトラバースするべきだったのだろう。知らぬが仏とはこういうこと・・・。

強風対策。
風はきつくなったり弱くなったりするらしい。強風が怖くて動けなくなってしまったが風が優しくなった頃を見計らって行動するといいとか。それが読めない私・・・。

この辺りでI藤さんの足がつった。風のない所まで降りて小休止。餅。ウイダー。
他の登山者5人も一緒に・・・。
山スキーやボーダーがまたどんどん上って来る。

唐松山頂から不帰の剣に進んだ二人が滑降を始めた。「不帰の剣Dルンゼ。」から。それは映画のワンシーンのよう。白い峰をあっという間に滑り降り、シュプールを描いて行く・・・。

すごーい。それまでの二人の真剣な話し合いから緻密に検討した結果の行動らしい。素人の私は雪崩れを心配するけど・・・。
眼下の谷に彼らの行動を追う。ゲレンデを卒業、さらに上を目指してこの行動。お見事!

唐松岳Uにつづく。

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